社労士試験の難易度と合格率は?難しい理由や必要な勉強時間を徹底解説!

社労士の難易度と合格率を徹底解説!独学が難しい理由や学習ポイントも紹介
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社会保険労務士(通称:社労士)は、文字どおり「社会保険」と「労務」に関するプロフェッショナルです。年に1回実施される社労士試験に合格し、登録を受けた者は社労士になることが出来ます。

この資格に興味を持っている人の中には、「社労士試験はどれくらい難しいの?」「社労士試験はなんで難しいの?」という疑問を抱く人も少なくないと思います。

本記事では、社労士試験の難易度や試験概要、試験に合格するためのおすすめの勉強方法について解説します。

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目次

社労士試験の難易度は高い

社労士試験の難易度は非常に高く、合格率は約2〜9%を推移しており、数ある試験の中でも難関試験に分類できます。

社労士試験の合格が難しい理由として、以下の6つが挙げられます。

それぞれ詳しく解説していきます。

社労士試験が難しい理由①:試験範囲が膨大である

理由の1つめは「試験範囲が膨大である」ことです。社労士試験の試験範囲は次の10科目となっています。

社会保険労務士の試験科目
  1. 労働基準法
  2. 労働安全衛生法
  3. 労働者災害補償保険法
  4. 雇用保険法
  5. 労働保険徴収法
  6. 労務管理その他労働に関する一般常識
  7. 社会保険に関する一般常識
  8. 健康保険法
  9. 厚生年金保険法
  10. 国民年金法

上記のような広大な試験範囲を網羅する必要があるため、市販の参考書であっても、ページ数の合計は2,000ページを超えるものがほとんどです。この膨大な試験範囲を満遍なく学習していく必要があるため、社労士試験の合格は難しいといえます。

社労士試験が難しい理由②:学習内容そのものが複雑で難しい

理由の2つめは「学習内容そのものが複雑で難しい」ことです。

社労士試験で学習するのは、医療保険や年金を主とした、日本における社会保障制度全般です。特に医療保険や年金は、国民全てを対象とした制度となっているため、原則的なルールのほかに、例外的なルールが多く存在します。

また、日常生活ではほとんど耳にしないような専門用語も多数出てくるため、日常的に社保や労務関連の仕事をしていない人の場合は、理解するための難易度が高い内容となっています。

こうした複雑な制度設計と難解な専門用語を理解していく必要があるため、社労士試験は難しいといえます。

社労士試験が難しい理由③:選択式試験と択一式試験に対応する必要がある

理由の3つめは「選択式試験と択一式試験に対応する必要がある」ことです。

選択式試験とは、語句が並ぶ語群の中から、空欄に入る適切な語句を選択する形式の試験です。これに対して、択一式試験とは、5つの選択肢の中から、適切な選択肢を選択する形式の試験です。

これら2つの形式の試験に対する学習方法は異なるため、それぞれに対応した学習をする必要があります。

このように、2つの形式の試験に対応するための学習をしたうえで、それぞれの試験を突破しなければならないため、社労士試験は難しいといえます。

社労士試験当日は午前:選択式試験・午後:択一式試験が実施される

社労士試験が難しい理由④:出題数に対して試験時間が短い

理由の4つめは「出題数に対して試験時間が短い」ことです。

前述のとおり、社労士試験は、選択式試験と択一式試験から構成されています。そして、午前の選択式試験は80分、午後の択一式試験は210分で実施されます。

このうち、特に択一式試験は特に時間を短く感じる場合が多く、5つの選択肢から成る問題70問を210分で解く必要があります。

210分の試験時間で70問の問題を解こうとすると、1問にかけられる時間は3分です。見直しの時間も考慮すると、2分30秒程度で解くのが理想といえます。上記の仮定の場合、2分30秒の間に5つの選択肢に目を通し、適切な選択肢を判断しなければなりません。

この問題数に対して試験時間が短いことが、社労士試験が難しい理由の一つといえます。

社労士試験が難しい理由⑤:各科目に合格基準点がある

理由の5つめは「各科目に合格基準点がある」ことです。社労士試験には、選択式試験と択一式試験のそれぞれに合格基準点があるのはもちろん、各科目にも合格基準点が存在します。

選択式試験においては、総得点としての合格基準点のほか、8科目それぞれに合格基準点があるため、合計で9つの合格基準点を突破しなければなりません。

択一式試験においても、総得点としての合格基準点のほか、7科目それぞれに合格基準点があるため、合計で8つの合格基準点を突破しなければなりません。

社労士試験全体でいえば、「17」もの合格基準点を突破して初めて、社労士試験の合格を手にすることができるのです。

逆に、どれか1つでも合格基準点に満たなければ、それだけで不合格となってしまうため、満遍なく学習する必要があります。

社労士試験が難しい理由⑥:科目合格制度がない

理由の6つめは「科目合格がない」ことです。

中小企業診断士試験など、試験科目が多く、各科目の難易度が高い試験には、科目合格という制度があります。

それに対し、社労士試験においては、科目合格という制度はありません。そのため、選択式試験の合格基準点を全て満たしたものの、択一式試験の合格基準点を一部満たしていなかったという場合には、選択式試験も含めて、翌年の試験を一から受験する必要があるのです。

試験科目が多く、各科目の難易度が高いにもかかわらず科目合格がないというのは、社労士試験が難しい理由の一つといえます。

タケダ(通信講座講師)

社労士試験は、よく「傘回し」に例えられます。傘回しでは、傘の上に置いた玉を落とさないように、傘を回し続けないといけません。
同じように、社労士試験ではすべての科目において合格基準点を満たせるだけの実力を身に付け、それを保持し続けなければならないのです。
各科目に足切りラインがあり、かつ科目合格の制度が無い点が、社労士試験が難しい理由の一つといえます。

社労士の合格率推移

2013年に実施された第45回試験以降の受験者数、合格者数、合格率の推移は次表のとおりです。

試験年度
(試験回)
受験者数合格者数合格率
2023年度
(第55回)
42,741人2,720人6.4%
2022年度
(第54回)
40,633人2,134人5.3%
2021年度
(第53回)
37,306人2,937人7.9%
2020年度
(第52回)
34,845人2,237人6.4%
2019年度
(第51回)
38,428人2,525人6.6%
2018年度
(第50回)
38,427人2,413人6.3%
2017年度
(第49回)
38,685人2,613人6.8%
2016年度
(第48回)
39,972人1,770人4.4%
2015年度
(第47回)
40,712人1,051人2.6%
2014年度
(第46回)
44,546人4,156人9.3%
2013年度
(第45回)
49,292人2,666人5.4%
社会保険労務士試験の合格率推移
参照:厚生労働省「社会保険労務士試験の結果について」

2020年までは、受験者数が徐々に減少していましたが、2021年以降は再び増加傾向にあり、受験者数が4万人を超える人気の国家資格となっています。

2015年度試験は合格率2.6%と非常に厳しい数字となっていましたが、当該試験年度を除くと概ね5~9%程度を推移しています。合格率が基本的に10%を下回っており、合格が難しい難関試験といえるでしょう。

社労士試験の科目免除者の合格率は高い

社労士試験には「科目免除」という制度があります。一定の実務経験等があると、試験科目の免除を受けることができ、これを「科目免除」といいます。

科目免除を受けた受験者数、合格者数、合格率は次表のとおりです。

年度
(試験回)
受験者数合格者数合格率
2023年度
(第55回)
834人 不明 不明
2022年度
(第54回)
841人 不明不明 
2021年度
(第53回)
841人106人12.6%
2020年度
(第52回)
834人72人8.6%
2019年度
(第51回)
992人98人9.9%
2018年度
(第50回)
982人90人9.2%
2017年度
(第49回)
994人104人10.5%
2016年度
(第48回)
1,034人114人11.0%
2015年度
(第47回)
1,022人58人5.7%
2014年度
(第46回)
1,071人117人10.9%
2013年度
(第45回)
1,112人97人8.7%
社労士試験科目免除者の合格率
参照:厚生労働省「社会保険労務士試験の結果について」
※2022年度以降、合格者数に占める科目免除者数の公表が無いため不明

上表の合格率推移を見ると、科目免除を受けていない受験者の合格率よりも、科目免除者の合格率の方が例年約2~3ポイント高くなっていることが分かります。

科目免除者とは?

前述のとおり、「科目免除」とは、一定の実務経験等により試験科目の免除を受けることができる制度で、社労士試験において「科目免除」を受けて受験する者を科目免除者と言います。

また、科目免除を受けることができる条件に該当する「免除資格」は主に次のものがあります。

免除資格
国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険法令に関する施行事務に従事した期間が通算して10年以上になる方
厚生労働大臣が指定する団体の役員若しくは従業者として労働社会保険法令事務に従事した期間が通算して15年以上になる方又は社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の補助者として労働社会保険法令事務に従事した期間が通算して15年以上になる方で、全国社会保険労務士会連合会が行う免除指定講習を修了した方
日本年金機構の役員又は従業者として社会保険諸法令の実施事務に従事した期間(日本年金機構の設立当時の役員又は職員として採用された方にあっては、社会保険庁の職員として社会保険諸法令の施行事務に従事した期間を含む。)が通算して15年以上になる方
全国健康保険協会の役員又は従業者として社会保険諸法令の実施事務に従事した期間(全国健康保険協会設立当時の役員又は職員として採用された方にあっては、社会保険庁の職員として社会保険諸法令の施行事務に従事した期間を含む。)が通算して15年以上になる方
参照:全国社会保険労務士会連合会試験センター「免除資格者」

なお、上記のほかにも免除資格が認められる実務経験があります。

上記の免除資格は一例となるので、詳細を知りたい人は以下から「試験科目の一部免除資格者一覧」をご確認ください。

参照:全国社会保険労務士会連合会試験センター「試験科目の一部免除資格者一覧」

科目免除を受ける場合の注意点

社労士試験の科目免除を受けるためには、受験申込に合わせて、免除申請を行う必要があります。実務経験により申請する場合には、「実務経験証明書」の提出が求められます。

免除申請を行った後の審査結果については、受験票とは別で自宅に郵送されます。

審査の結果、免除資格に該当しない場合であっても、社労士試験の受験資格がある場合には、受験申込みの取消しや受験手数料の返金は認められないため注意が必要です。

また、一度、試験科目の免除決定を受けると、試験に合格するまで有効とされますが、免除決定を受けた科目を変更することはできないため注意が必要です。

免除決定を受けた科目変更はできないため注意!

社労士試験の合格者の属性

社労士試験は様々な属性の方が受験しています。そして例年、合格者の属性が公表されています。

2023年度試験における合格者の年齢別、職業別、男女別の構成はそれぞれ以下のとおりです。

宅建合格者の年齢別構成比率
合格者の年代構成比率
29歳以下11.8%
30代32.6%
40代29.2%
50代18.9%
60歳以上7.5%
合格者の年代と比率
参照:厚生労働省「第55回社会保険労務士試験合格者の年齢別・職業別・男女別構成」

年齢別構成を見ると、30代の合格者が最も多く、次いで40代、50代と続いています。

宅建合格者の職業別構成比率の円グラフ
合格者の職業構成比率
会社員58.8%
無職12.3%
公務員8.8%
団体職員4.6%
自営業4.3%
役員2.9%
学生0.8%
その他7.5%
合格者の職業と比率
参照:厚生労働省「第55回社会保険労務士試験合格者の年齢別・職業別・男女別構成」

職業別構成比率を見ると、合格者のうち約6割が会社員となっており、合格者の多くが、仕事をしながら勉強を続けていることが見て取れます。

宅建合格者の男女別構成比率の円グラフ
合格者の性別構成比率
男性61.2%
女性38.8%
合格者の性別と比率
参照:厚生労働省「第55回社会保険労務士試験合格者の年齢別・職業別・男女別構成」

合格者の男女別構成比率を見ると、合格者の男女比はおよそ6:4となっており、男性の合格者数の方が多いことが分かります。

社労士の試験概要

ここからは、社労士試験の概要について解説します。社会保険労務士の試験に関する基本情報は次表の通りです。

資格社会保険労務士
資格の種類国家資格
受験資格あり
(1)学歴
(2)実務経験
(3)試験合格
受験手数料15,000円
受験地北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、福岡県、熊本県及び沖縄県
※2023年度の実績です。
※試験実施年により変更の可能性があります。
試験日2024年8月25日(日)
合格発表日2024年10月2日(水)
社会保険労務士試験の基本情報

社労士試験の特徴は、「受験資格」があることです。

行政書士試験をはじめとして、誰でも受験可能な国家試験がある一方で、社労士試験を受験するためには、次の3つのうちのいずれかを満たしていなければなりません。

それぞれ以下に解説していきます。

参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格について」

学歴による社労士受験資格

学歴による受験資格の代表は「大学、短期大学卒業」です。また、他にも専門学校(修業年限2年以上)卒業や高等専門学校失業によって、社会保険労務士試験に挑戦することが可能です。

ただし、高校卒業という学歴では、社労士試験を受験できないので注意しておきましょう。

実務経験による社労士受験資格

学歴による受験資格を満たさない場合でも、一定の「実務経験」があれば、社労士試験を受験することができます。

例えば、会社の従業員として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事している場合には、一定の実務経験があるものとして、社労士試験を受験することができます。

試験合格による社労士受験資格

そのほか、特定の試験に合格することで、社労士試験の受験資格を得ることもできます。

合格による受験資格が認められている試験としては、司法試験予備試験、税理士試験、司法書士試験、行政書士試験などがあります。

社労士試験と同等程度かそれ以上の難易度の試験も含まれていますが、学歴や実務経験がない場合には、他の資格試験に合格することで、受験資格を得ることも可能です。

社労士の合格基準(合格ライン)と平均点

先述のとおり、社労士試験には、選択式試験と択一式試験のそれぞれの総得点と、科目ごとの合格基準点が存在します。

総得点としての合格基準点は、選択式試験・択一式試験ともに7割となっており、選択式試験においては28点(満点は40点)、択一式試験においては49点(満点は70点)とされています。

また、選択式試験においては各科目3点以上、択一式試験においては各科目4点以上という合格基準点もあります。

つまり、各科目において合格基準点以上の得点ができなければ、不合格となってしまうのです。

ただ、選択式試験・択一式試験のいずれにおいても、総得点及び科目ごとの合格基準点は、試験実施年によって引き下がることがあります。これを「引き下げ補正」といいます。

この引き下げ補正は、「各年度における総得点及び各科目の平均点及び得点分布等の試験結果を総合的に勘案して補正を行うものとする」とされています。

総得点について見れば、合格基準点が7割となることはほとんどなく、例年7割弱となっています。

また、科目ごとの合格基準点については、年度により、引き下げ補正が行われることもあれば、行われないこともあり、蓋を開けてみなければ分かりません。

そのため、社労士試験に挑む際には、選択式試験と択一式試験のそれぞれにおいて総得点として7割を目標としたうえで、選択式試験においては各科目3点以上、択一式試験においては各科目4点以上を確保するのが得策といえます。

なお、社労士試験の平均点を見てみると、選択式試験においては6割程度、択一式試験においては5割弱となっています(※詳細は次項で解説)。 

参照:厚生労働省「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」

選択式試験の合格基準と平均点の推移(過去5年分)

過去5年間の社労士試験における選択式試験の合格基準点と平均点の推移は、次表のとおりです。

試験年度
(試験回)
得点区分合格基準点平均点
2023年度
(第55回)
総得点26点以上23.3点
各科目3点以上2.2~3.9点
2022年度
(第54回)
総得点27点以上24.6点
各科目3点以上2.5~3.6点
2021年度
(第53回)
総得点24点以上21.8点
各科目3点以上
労働に関する一般常識:1点以上
国民年金法:2点以上
1.5~3.3点
2020年度
(第52回)
総得点25点以上22.7点
各科目3点以上
労働に関する一般常識:2点以上
社会保険に関する一般常識:2点以上
健康保険法:2点以上
1.9~4.3点
2019年度
(第51回)
総得点26点以上23.7点
各科目3点以上
社会保険に関する一般常識:2点以上
1.6~3.9点
社会保険労務士の選択式試験の合格基準点と平均点

社労士の選択式試験の合格基準点(総得点)は24~27点で推移していることが分かります。

選択式試験は40点満点

また、各科目の合格基準点については、試験実施年により引き下げ補正があり、2021年度においては、合格基準点が「1点」となる事態も生じています。

各科目で3点以上を確保したうえで、総得点として7割の28点を取ることができれば、合格基準点割れとなる心配はないといえるため、受験勉強の際の一つの目安にするとよいでしょう。

択一式試験の合格基準と平均点の推移(過去5年分)

過去5年間の社労士試験における択一式試験の合格基準点と平均点の推移は次表のとおりです。

試験年度
(試験回)
得点区分合格基準点平均点
2023年度
(第55回)
総得点45点以上31.8点
各科目4点以上3.9~5.5点
2022年度
(第54回)
総得点44点以上30.9点
各科目4点以上4.0~4.7点
2021年度
(第53回)
総得点45点以上32.3点
各科目4点以上4.3~5.0点
2020年度
(第52回)
総得点44点以上31.5点
各科目4点以上4.1~5.2点
2019年度
(第51回)
総得点43点以上30.2点
各科目4点以上3.8~5.0点
択一式試験の合格基準と平均点

総得点としての合格基準点は43~45点で推移しており、選択式試験よりも振れ幅が少ないのが択一式試験の特徴といえます。

択一式試験は70点満点の試験

また、上表を見ると分かるように、各科目の合格基準点について、過去5年間において引き下げ補正はありません。

各科目で4点以上を確保したうえで、選択式試験と同様、総得点として7割にあたる49点を取ることができれば、合格基準点割れとなる心配はないといえるため、受験勉強の際の一つの目安にするとよいでしょう。

社労士試験の合格のために必要な勉強時間

社労士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は、一般的に「800〜1,000時間」といわれています。そのため、1日3時間勉強したとしても、1年程度の学習期間が必要となるのが社労士試験です。

なお、他の士業資格試験における勉強時間との比較について、次表をご覧ください。

資格勉強時間
社労士800~1,000時間
税理士約4,000時間
司法書士約3,000時間
行政書士600~1,000時間
社労士と他国家資格の勉強時間比較

超難関試験に分類される税理士試験や司法書士試験と比較すると、4分の1~3分の1程度の勉強時間で合格することができますが、行政書士試験と比較すると同等程度か、社労士試験の方がやや難しいといえます。

社労士試験に合格するためのポイント

ここからは、社労士試験に合格するためのポイントについて解説します。社労士試験に合格するためのコツは、主に以下の2点です。

社労士試験の合格のポイント

苦手科目を作らない

社労士試験に合格するために欠かせないのは「苦手科目を作らないこと」です。

先述のとおり、社労士試験には、合計17もの合格基準点が存在します。

このうち、科目ごとの基準点が15個を占めます。

苦手科目が1つでもあると、科目ごとの合格基準点を超えられず、結果として不合格となってしまうのが社労士試験です。

得意科目を伸ばすよりも、苦手科目を克服することが社労士試験を攻略するためのポイントです。

模擬試験を受ける

「模擬試験を受けること」も社労士試験に合格するためには重要です。

「模擬試験を受ける」とは、本試験を想定して作られた問題を、本試験と同じ時間、同じ形式で解いていくことをいいます。

社労士試験は、1日の中で、午前と午後に分けて実施されます。午前の選択式試験は80分、午後の択一式試験は210分もあります。

模擬試験を受けないまま、いきなり本試験を受けると、ペース配分が分からず、途中で集中力が切れてしまい、長丁場の試験に勝つことができません。

本試験のイメージを掴むためには、模擬試験を受けるのが一番です。

例年5月頃から各資格予備校が模擬試験の提供を開始するため、ぜひ一度受けてみてください。

社労士試験は独学で合格出来るのか?

社労士試験に独学で合格することはできるのでしょうか。

SNSや個人ブログを見ると、「3ヶ月の独学で社労士試験に合格!」「初学者ながら独学6ヶ月で合格!」など、独学で合格したという記事や体験談が散見されます。

こうした記事を見ると、「独学で社労士試験に合格できるのではないか」と、そう感じる方もいるかもしれません。

しかし、独学で合格した方の話をよく聞いてみると、1日の勉強量が並外れていたり、他の資格試験に多数合格していることが分かります。

先述のとおり、社労士試験の合格率は6〜7%と、難関試験であることに変わりはなく、独学で簡単に合格できる試験ではありません。社労士の独学合格が難しい理由として、以下に解説していきます。

※独学とは、各資格予備校が提供する基礎講義や問題演習講義を受けず、市販の参考書や問題集で勉強を進めることを指しています。

社労士試験の独学合格が難しい理由①:モチベーションを保ちづらい

理由の1つめは「モチベーションが保ちづらい」ことです。社労士試験の一般的な学習期間は6〜12か月といわれており、モチベーションの維持が鍵となります。

半年~1年にわたって勉強をし続けなければ合格することは難しいですが、毎日勉強を続けるというのは容易なことではありません。

社労士試験を受験する人の多くは社会人です。仕事上の必要性から受験をする場合を除くと、自分の意思で受験を決めた人ばかりのはずです。

独学の場合、自分で勉強の計画を立て、計画に沿って実行し、遅れが出れば修正しながら、本試験まで勉強を続けなければなりません。

しかし、独学だからこそ、絶対に社労士になりたいといった強い目的意識がなければ、日々の忙しさを理由に、勉強を辞めてしまうのです。

独学で社労士合格を目指す場合は、忙しい中でもモチベーションが維持できるだけの強い目的意識を持ったうえで、試験勉強に挑むようにしましょう。

社労士試験の独学合格が難しい理由②:試験の専門性が高い

理由の2つめは「試験の専門性が高い」ことです。先述のとおり、社労士試験において学習する科目は、広い意味で社会保障制度に関するものです。

社労士試験に合格し、社労士としてプロの仕事をするのであれば、日本で用意されている様々な社会保障制度に精通していなければなりません。そのため、社労士の登竜門である社労士試験においては、専門性の高い知識が問われます。

社労士試験では、社労士になれるだけの高い専門性が備わっているか、専門性を身につけるための努力ができるか、といったことが見られています。

こうしたメッセージを汲み取ったうえで、独学での挑戦を検討するようにしましょう。

社労士試験の独学合格が難しい理由③:試験範囲の法律改正が多い

理由の3つめは「試験範囲の法律改正が多い」ことです。社労士試験の大きな特徴として、法律改正が多いことが挙げられます。他の資格試験を見ても、これほど改正が多い試験はありません。

しかも、法律改正のタイミングは、法律によりバラつきがあり、個人で予測することは困難です。

独学の場合、市販の参考書や問題集を購入して勉強に励むことになりますが、参考書や問題集が出版された後に改正される法律が多くあるのです。

各資格予備校では、法律改正に特化した講座が用意されている場合が多いですが、独学の場合は自分で改正情報を取得し、手元の参考書や問題集に反映する必要があります。

改正内容が反映できていないと、本試験で問われた際に、適切な正誤判断ができなくなり、結果として合格は遠のいてしまいます。

法律改正の多さという社労士試験の特徴も把握したうえで、独学で挑むべきか否か、慎重に検討するようにしましょう。

社労士試験の独学合格が難しい理由④:白書・統計の対策が必要

社労士試験は、単に法律からの出題だけではありません。

10ある試験科目のうち「労務管理その他の労働に関する一般常識」及び「社会保険に関する一般常識」においては、「厚生労働白書」や「労働経済白書」をはじめとした、厚生労働省が管轄、公表している各種白書・統計からの出題があります。

この白書・統計からの出題とは、例えば次のようなものです。

女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が最も高く、次いで総合職、限定総合職の順となっている。他方、男性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、総合職が最も高く、次いで一般職、限定総合職の順となっている。

引用:令和5年度の社労士試験「労務管理その他の労働に関する一般常識 問1」

また、出題の対象となる白書・統計は膨大です。それにもかかわらず、本試験で必ず出題されるとは限りません。そのため、他の法令科目と異なり、短時間で要点を押さえていくことが必要となります。

そこで、各資格予備校では、白書・統計対策としての講座が開講されています。本試験での出題が予想される白書・統計を抜粋した教材が作成され、プロの講師が要点を絞って解説する、といった内容です。

こうした講座を受講することによって、短時間で要点を掴むことができます。逆に、独学の場合には、自分でこういった白書や統計情報についての対策を立てなければなりません。

独学だからといって、白書・統計の対策を全くしないまま本試験に臨むと、いざ白書・統計からの出題があった場合に適切な正誤判断ができず、基準点割れによる足切りとなってしまうおそれがあります。

白書・統計への対策も考慮したうえで、独学での挑戦を検討するようにしましょう。

社労士合格のためのおすすめ勉強方法とメリット・デメリット

前述のとおり、社労士試験に独学で合格するためには、乗り越えなければならない高い壁があり険しい道といえます。

そこで以下では、独学以外の勉強方法とそのメリット・デメリットについて解説します。

通信講座を利用するメリットとデメリット

1つめの方法は、各資格予備校が提供する「通信講座の利用」です。

スマホやパソコンの普及により、通信講座の利用も一般的になりました。スマホやパソコンがあれば、都合のよい時間に、好きな場所で講義を視聴することができます。

難解な専門用語や複雑な制度も、講師が分かりやすく噛み砕いて教えてくれます。また、本試験で頻出の論点や傾向、対策など、独学では得られない話を聞くこともできます。

そのため、仕事で忙しい社会人の方や小さなお子さんを育てる主婦の方にとって、メリットの大きい勉強方法といえます。

しかし、通信講座にもデメリットはあります。独学の場合と比べて、費用がかかることです。

各資格予備校が提供する通信講座を利用する場合、最低でも5万円程度の費用がかかります。最近では、月額制の講座も出てきていますが、通信講座を利用する場合の費用の相場は10万円前後となっています。

また、通信講座を利用するといっても、基本的には、自分で講義を視聴し、問題演習を進めていかなければなりません。

ペース配分やモチベーションの維持といった課題は、自分で乗り越える必要があるため注意しましょう。

通信講座のメリット時間・場所にとらわれず勉強することができる講義を視聴することができる
通信講座のデメリット5~10万円程度の費用がかかる自分でペース配分やモチベーション維持をしなければならない
通信講座がおすすめな人忙しい社会人子育て中の主婦社労士試験の初学者
社労士通信講座のメリット・デメリットまとめ

予備校に通って勉強するメリットとデメリット

2つめの方法は「予備校の利用」です。

各資格予備校が構える教室に通い、講師の生講義を受けながら勉強する方法です。

予備校利用の最大のメリットは、強制力をもって勉強を進められることです。予備校を利用する場合、講義の日時と場所が決まっています。そのため、毎回の講義で、予習や復習が求められるのが一般的であるため、自ずと勉強することになります。

講義では、プロの講師による講義を目の前で受けることができ、講義終了後には、不明点や疑問点について講師に直接質問することもできるのも、予備校利用ならではの魅力です。

また、定期的に講義が行われ、教室では他の受験生の勉強している姿が目に入るため、モチベーションの維持がしやすいのもメリットです。

外からの刺激により、モチベーションを保ったまま勉強を続けることができるのが、予備校利用の魅力です。

しかし、デメリットもあります。最大のデメリットは、費用が高いことです。

独学の場合、市販の参考書や問題集を購入したとしても、1万円以下で教材を揃えることができます。通信講座であっても、10万円程度で受講することができ、他の資格試験と比較しても高額とはいえません。

ただ、予備校を利用するとなると、相場は20万円程度に跳ね上がります。「20万円」と聞くと、社会人であっても、気軽に支払える金額ではないと感じる方が多いのではないでしょうか。

また、時間的・場所的に拘束される点もデメリットといえます。特に、忙しい社会人の方や子育て中の主婦の方にとって、本試験までに何度も教室に通うことはハードルが高いといえます。

独学や通信講座よりも勉強が捗る環境ではありますが、費用が高額であり時間的・場所的に拘束されることから、慎重な検討が必要といえます。

予備校のメリット強制力をもって勉強することができるモチベーションの維持がしやすい
予備校のデメリット費用が高額になる時間的・場所的に拘束される
予備校がおすすめな人「絶対に合格したい!」という強い意思がある人社労士試験の初学者
社労士予備校のメリット・デメリットまとめ

社労士試験の難易度・合格率まとめ

この記事では、社労士試験の概要や合格率、おすすめの勉強方法について解説しました。

社労士試験は、勉強すれば誰でも合格できる試験ではありません。100人が受験しても6、7人しか合格できない試験です。

社労士試験の受験を検討する場合には、試験の概要や特徴を確認し、受験の目的意識を強く持ったうえで、最適な勉強方法を検討するようにしましょう。

ただ、社労士試験に合格することにより得られるものは「合格証」という形式的なものだけではありません。

試験勉強を通じて手に入れた「習慣」や「経験」は、長い人生において大きな武器になります。

挑戦する価値のある試験だと感じた方は、一歩踏み出してみましょう。

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