土地家屋調査士の合格率と難易度は?不動産系の他資格と比較!

土地家屋調査士の難易度と合格率を解説!不動産系資格と比較
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「土地家屋調査士(通称:調査士)」は世間ではそこまで知名度の高くない職業ですが、歴とした難関国家資格の一つです。

認知度が低いマイナー資格のため、「どんな仕事をする人?」「どうやったらなれるの?」と疑問に思う人も少なくないと思います。

そこで本記事では、調査士の仕事内容や試験概要、その難易度、おすすめの勉強方法、最後に調査士資格を取得するメリット・デメリットについて解説します。調査士を目指す人は、ぜひ最後までお読みください。

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目次

土地家屋調査士とは?

土地家屋調査士法(通称:調査士法)第1条には、「調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする」と定められています。

つまり、土地家屋調査士は、次の2つの業務の専門家ということになります。

土地家屋調査士の専門分野業務
不動産の表示に関する登記の業務

土地や建物の形状や大きさを資料に残し申請することです。土地や建物の売買をする際に、その土地や建物の情報がはっきりしていないと、正確な情報に基づく売買ができないため、「登記」という形で、誰でも見られる資料に残しておく必要があります。

土地の筆界を明らかにする業務

土地と土地の境界をはっきりと確定させることです。土地の相続をする際に、一つの土地を二つに分けたり、反対に二つ以上の土地を一つに合併したりすることがあり、一つひとつの土地の境界をはっきりさせておく必要があります。

そのため、土地家屋調査士のクライアントとなるのは、主に次の4つが挙げられます。

土地家屋調査士の主なクライアント
  • ハウスメーカー
  • ディベロッパー
  • 不動産仲介会社
  • 個人

こういったクライアントからの依頼を受け、土地家屋調査士は仕事をしていくことになります。

土地家屋調査士の具体的な業務内容について、以下に詳しく解説していきます。

土地家屋調査士の仕事内容

調査士の代表的な仕事内容である「筆界特定(境界をはっきりさせること)」を例に、具体的な業務の流れを見ていきましょう。「筆界特定」は、次の1~6の順で行います。

筆界特定の主な手順
  1. 資料調査
  2. 現況測量
  3. 図面作成
  4. 境界立ち会い
  5. 確定測量
  6. 登記申請

それぞれどのような業務なのか、解説していきます。

資料調査

「資料調査」とは、法務局や役所等へ行って、測量に必要な資料を集めることです。

ここでいう資料とは、多くの場合、土地や建物の「要約書」や「公図」を指します。どのような形状の土地なのか、どんな人が所有しているのかなどの情報がまとめられている資料を、測量のために収集していくこととなります。

なお、資料によっては、オンラインでの取得も可能となっています。

現況測量

「現況測量」とは、収集した資料をもとに、土地や建物の現状をおおまかに把握するために、実際に現地へ赴き測量することです。

三脚の上に少し大きなカメラのようなものが付いており、作業服を着た人がそのカメラのようなものを眺めたり、ペンでメモをしたりしているのを街中で見かけたこともあるのではないでしょうか。あのような仕事が「現況測量」です。

なお、「測量士」も測量を行うことがありますが、違いについては後述します。

図面作成

「図面作成」とは、現況測量で得た情報を「図面」に落とし込む作業のことです。基本的には、CADソフトという専用のソフトを使用して、細かく図面を作成します。

「図面作成」においては、計算のために電卓を用いたり、測定のために定規を使ったりと、やや理系的な要素が含まれており、この点は、他の法律系士業との大きな違いであり、調査士の仕事の特徴ともいえます。

ただ、理系の学部や学科を卒業している必要はありません。

境界立ち合い

「境界立ち会い」とは、「現況測量」で測量した隣地の所有者に対して、土地の境界線を説明し、了承を得ることです。

隣地の所有者から了承を得たことの証としては、署名や押印をもらうのが一般的です。この工程は、後の登記申請を行うにあたって必要なものとなります。

確定測量

「確定測量」とは、境界を確定させるための測量のことです。

現況測量では、土地や建物の状況をおおまかに把握することが目的でしたが、「確定測量」においては、形状や大きさなどを正式に測量します。ミリ単位で正確に測量することが求められるため、慎重に作業をしなければなりません。

また、ここで得られたデータを関係各署に提出することとなりますので、調査士にとって非常に重要な業務であるといえます。

登記申請

「登記申請」とは、土地や建物の登記を法務局に申請することです。

土地や建物の登記とは、それぞれの形状や境界などを示した情報のことで、これを法務局に申請することで、測量してきた土地や建物の境界が正式に確定されることになります。

これまで解説してきた1〜5の業務は、登記申請を行うためのものといえます。

土地家屋調査士の独占業務

土地家屋調査士の独占業務は2つです。

土地家屋調査士の独占業務
  • 不動産表題部の登記申請
  • 登記や土地の境界を特定するための測量

それぞれどのような業務なのか見ていきましょう。

不動産表題部の登記申請

土地家屋調査士の独占業務の一つは、「不動産における表題部の登記申請」ができることです。この業務は、強力な独占業務であるといわれています。

不動産の登記は、「表題部」と「権利部」の2つに分かれています。「表題部」とは、土地や建物の所在や目的、面積といった不動産の基本情報を記載した部分です。「権利部」とは、所有権や抵当権といった不動産に付随する権利関係を記載した部分です。このうち、「権利部」の登記は任意となっています。つまり、「権利部」の登記をするかどうかは、不動産の所有者が決められるということです。

これに対して、「表題部」の登記は義務となっています。つまり、「表題部」の登記をするかどうか、不動産の所有者が自由に決められるものではなく、必ずしなければならないということです。

なお、土地家屋調査士が「表題部」の登記申請を独占的に行うことができるのに対して、「権利部」の登記申請を独占的に行うのは「司法書士」です。不動産の登記申請ができるという点では共通していますが、「表題部」と「権利部」とで棲み分けがされているのです。

ここまでみてきたように、不動産所有者の義務である「表題部」の登記申請という重要な業務を独占的に行うことができることから、土地家屋調査士の「不動産における表題部の登記申請」は、強力な独占業務であるといわれています。

登記や土地の境界を特定するための測量

土地家屋調査士の二つめの独占業務は、「測量」です。

測量に関する他の資格として「測量士」がありますが、「測量士」は、土地の開発や建物の建設を目的として測量を行うのに対し、土地家屋調査士は、「表題部」の登記や土地の境界をはっきりさせることを目的として測量を行うことができます。

また、測量士は、建設用地などの大きな土地の測量がメインとなるのに対し、土地家屋調査士は、個人が所有する土地の測量がメインとなります。同じ「測量」を行う仕事ですが、この測量の「目的」が両者の大きな違いとなっているのです。

土地家屋調査士試験の概要

土地家屋調査士になるためには、年に1度実施される国家試験に合格しなければなりません。

土地家屋調査士の試験概要は以下のとおりです。

資格土地家屋調査士
資格の種類国家資格
受験資格誰でも受験可能
受験手数料8,300円
受験地全国9か所で実施
試験日【筆記試験】
例年:10月第3日曜
【口述試験】
例年:1月中旬
合格発表日2月上旬
土地家屋調査士の試験概要

受験手数料は8,300円(令和5年度)、試験は東京、大阪、名古屋など主要9都市で実施されます。

土地家屋調査士試験は、筆記試験と口述試験に分かれており、メインとなる筆記試験は、例年、10月の第3日曜日、午前の部と午後の部に分けて行われます。

筆記試験の合格者が対象となる口述試験は、例年、翌年1月中旬頃に行われており、筆記試験と口述試験に合格すると、晴れて土地家屋調査士試験に合格となります。

筆記試験の概要

メインとなる筆記試験の詳細について、午前の部と午後の部に分けて解説していきます。

午前の部(測量科目)は特定の資格保持者は免除される

午前の部では、「平面測量」と「作図」の試験が行われます。

「平面測量」においては、5肢択一式の問題が10問出題されます。「作図」においては、1つの大問の中に6つの小問があり、実際に縮尺図を作成するような問題も出題されます。

この午前の部の試験は、測量士、測量士補、一級建築士もしくは二級建築士の有資格者であれば、免除することができます。

そして、土地家屋調査士試験の合格者のほとんど(下表参照)は、いずれかの資格を取得し、午前の部の免除を受け、午後の部の試験だけを受けています。

午前の部(測量科目)受験者数午後の部(法律科目)受験者数
81名2,117名
参照:法務省「令和5年度土地家屋調査士試験筆記試験 総合得点別員数表」

午前の部の試験内容は、かなり難易度が高く、テキストや問題集もあまりないため、科目免除を受け、午後の部の一本に絞って受験をするというのが合格のセオリーとなっているといえるでしょう。

午後の部は5肢択一式と記述式試験

続いて、午後の部についてもみていきます。

午後の部は、5肢択一式と記述式の大きく2つの形式の出題となっています。5肢択一式では、民法や不動産登記法などから計20問が、記述式では、土地と建物のそれぞれについて、計算や作図の問題が1題ずつ出題されます。

5肢択一式は1問につき2.5点の計50点、記述式は各25点の計50点という配点となっており、合計100点満点の試験です。

令和5年度試験における合格基準点は、5肢択一式が「35点/50点」、記述式が「29点/50点」となっています。ただし、それぞれの基準点をクリアしたとしても試験合格とはならず、100点満点のうち、合計で「72点」以上の得点をしなければ合格とはなりません。

つまり、各基準点に8点の上乗せをしなければ、最終的な合格基準点には届かないのです。ほとんどの人が午前の部の免除を受ける試験にもかかわらず、最終合格率は9%前後(詳細は後述します)ということで、この合格率の低さが午後の部の難しさを物語っているといえます。

土地家屋調査士は誰でも受験可能

ここまで、調査士試験の概要を見てきましたが、民法をはじめとした法律や計算・作図など専門知識が必要な試験であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

このように専門知識を問う調査士試験ですが、実は、試験を受けるための受験資格はありません。つまり、誰でも受験することができる試験なのです。

受験資格がなく、誰でも受けられる試験であるという点においては、調査士と同じく登記を独占業務とする司法書士試験や不動産系資格である宅地建物取引士(以下「宅建士」といいます。)試験と共通しているといえるでしょう。

土地家屋調査士の難易度と合格率は?

調査士試験は、数ある資格試験の中でも、いわゆる難関試験であるといえます。

では、どれくらい難しい試験なのか、実際の合格率を見てみましょう。

土地家屋調査士の合格率

調査士試験における過去10年間の合格率推移は次表のとおりです。

年度受験者数(人)合格者数(人)合格率
2023年4,4294289.7%
2022年4,4044249.6%
2021年3,85940410.5%
2020年3,78539210.4%
2019年4,1984069.7%
2018年4,3804189.5%
2017年4,6004008.7%
2016年4,5064028.9%
2015年4,5684038.8%
2014年4,6174078.8%
参考:日本土地家屋調査士連合会「土地家屋調査士を目指す方へ」

受験者数は4,000人前後、合格者数は400人前後、合格率は9%前後と、ほぼ横ばいで推移していることが分かります。

他の士業資格と比較すると、受験者数はそこまで多くないものの、その合格率から間違いなく難関試験であるといえます。

土地家屋調査士合格に必要な勉強時間の目安

調査士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は、約1,000〜1,200時間と言われています。

1年かけて合格しようとすると、1日につき2〜3時間程度の勉強時間を確保しなければなりません。

合格率約4~5%、目安勉強時間が約3,000時間の司法書士試験と比較すると、3分の1程度の勉強時間で合格できる試験だといえますが、合格率約17%、目安勉強時間が約500時間の宅建士試験と比較すると、倍以上の勉強時間の確保が必要となります。

土地家屋調査士と他の不動産系国家資格の難易度と合格率を比較

調査士と同じ不動産系国家資格の合格率は次表のとおりです。

スクロールできます
試験年度土地家屋調査士宅建賃貸不動産経営管理士マンション管理士管理業務主任者
2023年9.7%17.2%27.9%10.1%21.9%
2022年9.6%17.0%27.7%11.5%18.9%
2021年10.5%16.8%31.5%9.9%19.4%
2020年10.4%15.3%29.8%8.6%23.9%
2019年9.7%17.0%36.8%8.2%23.2%
不動産系資格の合格率比較
※令和2年及び令和3年の宅建士試験の合格率は、10月試験と12月試験の平均値で算出しています。

上表からも分かるとおり、主な不動産系国家資格と比較しても、土地家屋調査士の国家試験の合格率は低く、トップクラスに難しい試験であるといえるでしょう。

土地家屋調査士の難易度が高い理由

先述のとおり、調査士試験の合格率は9%前後で推移しています。

10人に1人も合格できない難関試験ですが、ここまで難易度が高い理由は何なのでしょうか。その理由を一つずつ見ていきます。

土地家屋調査士の難易度が高い理由①:相対評価の試験である

調査士試験が難関試験であると言われる理由の一つめは、「相対評価」の試験であることです。

相対評価の対義語は絶対評価であり、行政書士試験に代表されるように、合格基準点を確保すれば全員が合格できるのが絶対評価の試験です。対して調査士試験は、合格基準点が毎年異なります。合格者数が約400人となるように、試験実施者側で調整されるためです。

知識や実力があったとしても、それよりも知識や実力のある受験者が一定数いれば、合格することができません。つまり、他の受験者との競争に勝たなければ合格を掴み取ることができない試験なのです。

土地家屋調査士の難易度が高い理由②:単なる法律系試験ではない

試験概要で解説したとおり、調査士試験の試験科目は、民法や不動産登記法などの法律系科目が半分、計算や作図の問題が残り半分を占めています。

法律系科目だけでも、初学者がすぐにマスターできるものではありません。法律系科目だけで合格基準点を確保することですら、非常に骨の折れることなのです。それに加えて、計算や作図の問題においては、特殊な電卓を用いて計算したり、定規を使って図面を作成したりする必要があります。

理解や暗記はもちろん必要ですが、その他に、電卓や定規といったアイテムに慣れ、使いこなせるようになっておく必要もあるのです。これは、他の法律系資格との大きな違いであり、調査士試験を難しくしている要因の一つであるといえます。

土地家屋調査士の難易度が高い理由③:試験時間が短い

午後の部の試験時間は2時間30分です。

この決められた時間の中で、5肢択一式の問題を20問、記述式の問題を2問解かなければなりません。記述式においては、問題文から必要な情報を読み取り、電卓や定規を使って計算や作図をすることが求められるため、一定程度以上の事務処理能力が必要となってきます。

調査士試験は、実務家登用試験です。実務家になり、クライアントの要望に応えるためには、事務処理能力は欠かせません。実務家になる素質があるのかどうかを、試験を通して見極めているわけです。

限られた時間の中で少しでも早く問題が解けるよう、電卓や定規の扱いについては、本試験までに慣れておくようにしましょう。

土地家屋調査士の合格を目指すためのおすすめ勉強方法

土地家屋調査士試験に合格するための勉強方法としては以下の選択肢があります。

土地家屋調査士のオススメ勉強方法
  • 独学
  • 通信学習
  • 予備校の利用

上記3つの学習方法について、メリット・デメリットを解説していくので、自分に合った勉強方法を検討してみてください。

独学で勉強する

受験を考えた場合に、まず思い浮かぶのが「独学」での学習です。

独学のメリット・デメリットは次のとおりです。

独学で試験勉強する場合のメリット

受験にかかる費用を抑えられる
参考書等を一式揃えたとしても、独学の場合は、かなり安価に抑えることができます。通信学習や予備校利用の場合と比較すると、10分の1以下に抑えることも十分に可能で、金銭的な負担はかなり軽減できます。
自分のペースで勉強できる
独学の場合、決まったスケジュールがありませんので、自分のペースで勉強を進めることができます。平日は少なめに、休日は多めに勉強するといった調整も自分で決めることができます。

独学で試験勉強する際のデメリット

合格までに時間がかかる可能性が高まる
先述のとおり、調査士試験は合格率約9%の難関試験です。試験科目の専門性も高いため、初学者の人にとって、簡単に合格できる試験ではありません。通信学習や予備校利用の場合には、講師の講義を聴くことができたり、受験テクニックを教えてもらえたりしますが、独学の場合には自分で情報収集をするしかありません。独学で勉強をしていたために、合格までに数年かかってしまうといったケースも少なからずあります。受験にかかる費用と合格までにかかる時間を比較するというのは、非常に重要になってきます。
自分一人で勉強を続けなければならない
調査士試験で出題される科目は、どれも専門性の高い科目ばかりです。初めて法律に触れる人もいるでしょうし、作図が初めてという人もいるでしょう。独学の場合、初めて出会う専門性の高い話を自分で理解していく必要があります。不明点や疑問点があっても、誰にも聞けないことも十分に想定されます。それでも、試験当日まで勉強を続けなければ、合格を掴むことはできません。試験科目を確認した上で、勉強方法を判断するのが良いでしょう。

通信学習を利用する

次に、「通信学習」を利用した場合のメリット・デメリットについて見てみます。

通信学習のメリット

スキマ時間を有効活用できる
通信学習を利用することの最大のメリットは、スキマ時間を有効活用できることです。
電車での移動中やトイレ・お風呂の中など、ちょっとしたスキマ時間に、質の高い講義を視聴することができるため、参考書がメインとなる独学の場合と比べて、学習効率は高まります。
スキマ時間の積み重ねが、やがて大きな差となり、実力の差、合否の差に繋がってくるのです。
講師の講義を手軽に受けることができる
独学との大きな違いは、試験対策のプロである講師の講義を受けられることです。
試験科目は専門性の高いものばかりですので、これまで耳にしたことのない用語や考え方が数多く出てくるでしょう。このときに、誰にも教えてもらえない状況だと、難解な用語の応酬に心が折れてしまいかねません。
しかし、通信学習を利用することで、講師による分かりやすい講義により理解が進むため、勉強が続けやすくなります。
全国どこでも受講できる
通信学習の場合、日本全国どこに住んでいても、はたまた海外に住んでいたとしても、受講することができます。場所や時間にとらわれず勉強を進めることができる点は、大きなメリットといえます。

通信学習のデメリット

講師への直接質問が難しい
予備校に通う場合と異なり、講師との直接的なやりとりはほとんどありません。そのため、疑問点や不明点をすぐに質問することができなかったり、消化不良になってしまったりすることも出てくるでしょう。
※講座によっては、メールでの質問回答をしてくれるものもあるため、通信学習を利用する際の判断要素にするとよいでしょう。
ネット環境が必要になる
通信学習の場合、基本的には、スマホやPCを用いて講義を視聴することになります。そのため、ネット環境は不可欠のため、現在インターネット環境が無い人にとってはデメリットといえるでしょう。
ただ最近は、スマホの普及により、Wi-Fiが完備されている施設が増えているため、外出先でも勉強しやすくなっているといえます。

予備校に通って勉強する

最後に、「予備校」を利用した場合のメリット・デメリットについて見てみます。

予備校で試験対策を行うメリット

講師を目の前に講義を受けられる
試験対策のプロである講師を目の前に講義を受けられるのは、予備校利用ならではのメリットです。
熱のこもった講義を直接受けることで勉強のモチベーションが上がり、分からないことがあっても、講義の後にすぐに質問することができるため、つまずくことなく勉強を進めることができます。
勉強せざるを得ない環境を作ることができる
予備校を利用する場合、授業の日時が決まっているため、半ば強制的に勉強をしていくことになります。
独学や通信学習の場合には、自分で勉強を進めていく必要があるのに対し、予備校の場合は、教室に行けば、同じ試験を目指す受講生仲間がいて、講師のサポートのもと勉強を進めていくことができます。
自己管理に苦手意識があったとしても、試験当日まで勉強を続けやすい方法といえるでしょう。

予備校で試験対策を行うデメリット

費用が高額
予備校を利用する場合の最大のデメリットは、高額な費用がかかることです。
土地家屋調査士の通信学習の場合の相場は30~40万円程度であるのに対し、予備校の場合は50~70万円程度の費用がかかります。社会人であっても、気軽に出せる額ではなく、予備校を利用する場合は「必ず1回で合格する」という覚悟が必要といえます。
時間と場所と自由が少ない
先述のとおり、予備校を利用すると、講義の日時が決まっています。決まった日時に、決まった場所へ行き、講義を受けなければなりません。そのため、忙しい社会人の場合は、残業や飲み会などにより都合が合わない日が出てくることが考えられます。
通えない日が続くと、勉強のモチベーション低下に繋がることも考えられ、費用面も考慮すると、予備校を利用するか否かは、慎重に検討すべきです。

ここまで見てきたとおり、どの勉強方法であっても一長一短があるため、自分自身の目的・目標に合わせて試験対策方法を選択する必要があります。

自分の現在地と試験実施日から、合格を掴み取るための最良の方法は何か、しっかりと考えてみてください。

また、資格試験は長期戦となりますので、試験実施日まで継続できるかどうかという点も考慮して、勉強方法を選ぶようにしましょう。

土地家屋調査士の資格取得メリット

これまで見てきたように、調査士試験は合格率の低い難関試験ですが、同時に、調査士の仕事は大きな可能性を秘めています。

そこで、調査士資格を取得するとどのようなメリットがあるのか、順番に解説していきます。

不動産業界への転職に役立つ

メリットの一つめは、資格を活かして転職ができることです。

世間的には知名度が高くない調査士ですが、不動産業界ではよく知られた資格です。試験の難易度を知る人も多いため、業界未経験で実務経験がなくても、試験に合格しているだけで、高い評価を得られる可能性が十分にあります。

また、将来の独立開業を目指し、実務未経験の状態から経験を積むために調査士事務所へ転職する場合も、資格があるに越したことはありません。

不動産業界や調査士事務所への転職を考えている人にとって、調査士資格の取得は強い味方となるでしょう。

独占業務があるので安定して働ける

先述のとおり、調査士には、強力な独占業務があります。相続により土地を分割したり、建物を新築したりすることは、今後もなくなることはないでしょう。

大きな制度変更等がない限りは、表題部登記の必要性がなくなることはなく、調査士の業務がなくなることも考えにくいため、安定して働ける可能性が高いといえます。

手に職をつけて働きたい人には特にオススメの国家資格といえるでしょう。

デスクワークとフィールドワークのバランスが良い

調査士の仕事は、申請書類や図面の作成といったデスクワークと測量等のフィールドワークの大きく二つから成り立っています。

事務仕事ばかりだと飽きてしまう人にとっても、外仕事ばかりでは大変だと感じる人にとっても、とてもバランスの良い仕事だといえます。

独立開業ができる

調査士は、試験合格後に独立開業が狙える資格です。

経営者として自由に働きたい人や大きなことにチャレンジしたい人にとって、独立開業というのは、大きな魅力に感じるのではないでしょうか。

土地家屋調査士資格取得のデメリットや注意点

調査士について、リサーチ不足のまま受験し、合格できたものの「こんなはずじゃなかった」ということがあっては元も子もありません。

資格取得にあたって、デメリットも把握した上で、受験を検討するようにしましょう。

資格取得までに時間を要する

先述のとおり、調査士試験に合格するための目安勉強時間は約1,000〜1,200時間です。

1年で合格しようとすると、1日に3時間程度勉強する必要があります。つまり、これまで別のことに費やしていた時間を勉強に充てなければならないということです。

合格を目指すのであれば、受験生の間は、仕事や食事、お風呂、睡眠などに使う時間以外は、すべて勉強に充てるといった覚悟を持った方が良いでしょう。そこまでの覚悟ができない場合は、一度立ち止まって、本当に受験をするのかどうか検討し直してみてください。

体力勝負の仕事である

調査士の仕事にフィールドワークが伴うことは、これまでに説明してきたとおりです。

夏の暑い日であっても冬の寒い日であっても、外に出て測量をしたり、隣地の人を訪ねたりすることもあります。

また、交渉や説得をする場面も出てきます。少なからず体力が求められる仕事であることは、事前に理解しておきましょう。

技術だけでなく、一定のコミュニケーション能力が求められる

調査士の仕事は、専門的で技術的なものばかりですが、技術屋ではありません。

むしろ、一定のコミュニケーション能力が求められる場面の方が多いといえます。仕事を受注する際には、クライアントとのやり取りが発生しますし、境界を特定する際には、隣地の所有者に対して説明し、納得してもらわなければなりません。

不動産そのものだけではなく、人を相手にする仕事であるということも忘れないようにしましょう。

土地家屋調査士の難易度・合格率まとめ

この記事では、調査士の仕事内容や試験の概要、難易度とその理由、おすすめの勉強方法、資格取得後のメリット・デメリットについて解説してきました。調査士試験の受験を考えている人であっても、この記事を読んで、「知らなかった!」「初めて知った!」という発見があった人もいたのではないかと思います。

調査士試験の受験を検討している人は、この記事を読んでいただいたうえで、覚悟をもって、試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

資格取得のメリットとしても触れましたが、調査士は、独占業務があり独立開業が狙える資格です。試験に合格するためには、少なからず犠牲を払う必要はありますが、それでもそれに見合うだけの魅力ある資格です。自分自身の明るい未来のために、覚悟が決まった人は、ぜひ一歩踏み出してみてください。

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