JCDA(⽇本キャリア開発協会)のことを、「キャリアコンサルタント試験の実施団体」としてしか認識していない、という人もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はJCDAに入会してキャリアコンサルタントとして活動することで、「2万人を超えるネットワークへの参加」や「更新講習やスキルアップ研修が割引」等、様々なメリットを受けることが出来ます。
また、よく誤解している人がいますが、「CDAカリキュラム対応のキャリコン養成講座」を受講していなくても、JCDAに入会することは可能です。
本記事では、JCDAのメリットや入会方法、CDA資格の取得方法等について解説していきます。JCDA事務局長の佐々木様に、JCDAの魅力やキャリコン業界の課題についてインタビューも行いましたので、是非ご確認ください。
JCDA(日本キャリア開発協会)とは?
JCDA(正式名称:日本キャリア開発協会)は2000年に創立されて以降、キャリアカウンセリングの普及に従事してきた法人です。JCDAは約2万⼈の会員が所属するNPO法⼈です。会員のボランティア活動組織として9つの⽀部会と33の地区会が運営されていて、会員間の活動も活発です。
「キャリアカウンセリング機能を社会システムとして具現化する」のビジョンに基づき、キャリアコンサルタントの技能向上のための研修やキャリアコンサルタント国家試験の実施、会員同士の交流や啓発、様々な自主的な活動の支援を行っています。
協会正式名称 | 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会 |
---|---|
略称 | JCDA(Japan Career Development Association) |
会員数 | JCDA個人会員数:21,838名 一般会員:13名 CDA会員:20,393名 研究会員:12名 キャリア会員:1,418名 名誉会員:2名 (2024年3月31日時点) |
認定資格 | CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)資格 |
公式HP | j-cda.jp |
JCDA(日本キャリア開発協会)の活動内容
JCDAはそのビジョンに基づき、キャリアカウンセリングを社会のインフラとして定着させるために様々な活動を行っています。JCDAの主な活動内容は以下の通りです。
- キャリアコンサルタント試験の実施
- CDA資格の認定
- CDA会員の交流の場の提供
- 継続学習の提供
- 更新講習の開講
- 講演会の開催
- 研究会の推進
- キャリアカウンセリングの実践の場の提供
上記を見ると分かるように、JCDAではキャリアコンサルタントの入り口となる国家試験の実施に始まり、更新講習を通してスキルアップを支援し、実践の場の提供まで行っています。
国家資格キャリアコンサルタントの登録試験機関
JCDAはキャリアコンサルタントの国家試験の実施団体でもあります。
キャリアコンサルタント試験は厚生労働大臣によって登録された登録試験機関が実施しており、現在はJCDAを含む以下の2つの団体が試験団体となっています。
- JCDA(日本キャリア開発協会)
- CC協議会(キャリアコンサルティング協議会)
キャリアコンサルタント試験は上記のどちらの団体で受験しても大きく難易度が変わるわけではありませんが、論述試験の内容や面接(ロープレ)試験の評価項目が異なる点には注意しておきましょう
>JCDAとキャリアコンサルティング協議会の試験の違いを解説
経験代謝によるキャリアカウンセリングを推進
JCDAは「経験代謝」という考え方に基づいたキャリアカウンセリングを行っています。
経験代謝とは、カウンセリングにおける語りを通して、相談者が「自身の経験に映る自分」をみることで、「経験から学ぶサイクル」を生み出し、成長へつなげていくというキャリアカウンセリングの考え方です。
経験代謝のキャリアカウンセリングを学ぶ場合は、日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座や更新講習、JCDAのピアトレーニングを受講するとよいでしょう。
経験代謝は各種の書籍で独学で学ぶことも可能ですが、やや難易度の高い考え方・技法のため、養成講座等で体系的に学ぶ方がオススメです。
JCDA(日本キャリア開発協会)の会員制度
JCDAでは、キャリアカウンセラーの育成とスキル向上を目的に活動を行っています。
キャリコンサルタント資格保持者はJCDAに入会することで、各種研修や会員同士の学びの場、専門情報を含む会報誌の提供など、豊富なサポートを受けることができます。
また、JCDAでは無料の会員限定メールマガジン配信や、会員限定の情報(会員のみHPにて閲覧可能)を受けとることが出来るため、キャリアコンサルタントとして活動していく⼈には必⾒の情報といえるでしょう。
個人会員は2万人を超えており(2024年3月31日時点:21,838人)、キャリアコンサルタント最大のネットワークに参加できる点も魅力の一つといえます。
- 個人会員数:21,838人(以下内訳)
- 一般会員::13人
- CDA会員:20,393人
- 研究会員:12人
- キャリア会員:1,418人
- 名誉会員:2人
実はCDA養成カリキュラム未受講者も入会可能
JCDA会員となるには、「JCDA認定のCDA養成カリキュラム」を修了しキャリアコンサルタント国家試験に合格するというルートが最も一般的です。
CDA養成カリキュラムは現在は株式会社日本マンパワーのみが開講しており、同校の開講するキャリアコンサルタント養成講座を修了後にJCDA入会を行うルートがJCDA入会の王道ルートといえるでしょう。
ですが、実はCDA養成カリキュラム未受講者もJCDAに入会することが可能です。
CDA養成カリキュラム未受講者がJCDAに入会するための条件は以下の通りです。
- キャリアコンサルタント資格保持者
- キャリアコンサルタント国家試験の合格者
- キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)合格者
※入会金5,000円、年会費8,000円が必要
※上記は「キャリア会員」の条件
※「一般会員」の場合は上記の条件は不要
日本マンパワーの受講生にとってはJCDAの会員制度に関する認知度は高いものの、同社のCDA養成カリキュラムを受講していない場合でもJCDA入会が可能であることは意外と知られていません。
JCDA会員になることで様々なメリット(以下に詳細を解説)があるので、キャリアコンサルタントとして自己研鑽やネットワークの形成を重要視する方は入会を検討するようにしておきましょう。
JCDA会員になるメリット
JCDAの会員になることで、キャリアコンサルタントとして活動する上で様々なサポートを受けることが出来ます。
JCDAに入会することで得られる主なメリットは以下の通りです。
- 更新講習をはじめとした研修を割引受講可能
- ピアトレーニング(ロープレ)を受講可能
- 支部・地区会(地域活動促進及び親睦)イベントや、各テーマに沿った相互研鑽を行う会である啓発交流会への参加
- 指導者研修(認定スーパーバイザー等)を受講可能(※)
- 実践の場が得られる(※)
※CDA会員限定の特典です
上記のように、JCDAに入会することで同会の質の高い更新講習が割引受講できることに加え、貴重なピアトレーニングの場を持つことが出来ます。
キャリアコンサルタントにとって、資格取得はゴールではなく新しい活動の出発地点です。
資格取得後にキャリア支援に携わっている(もしくはこれから携わる)キャリアコンサルタントの方は、JCDAに入会して、自己研鑽とネットワークの構築を進めていくとよいでしょう。
JCDA会員に必要な費用
JCDAの会員制度には「個人会員」と「法人会員」の2種類があり、個人会員の中でも5つの種類があります。
キャリコンサルタントに最もニーズの高い「CDA会員」と「キャリア会員」について、必要な費用を以下表にまとめましたので、ご確認ください。
会員の種類 | 入会金 | 年会費 | 会員数(※2) |
---|---|---|---|
CDA会員 | 5,000円 | 8,000円(※1) | 20,393名 |
キャリア会員 | 5,000円 | 8,000円(※1) | 1,418名 |
※1 2024年9月までの入会の場合は年会費7,000円
※2 会員数は2024年3月31日時点の数字
入会金に加え年会費が必要になりますが、会員になれば1万円以上の割引を受けられるキャリアコンサルタント更新講習(JCDA開講の講習)もあるため、キャリアコンサルタント資格を更新する⼈にとっては決して大きな負担ではありません。
JCDA会員の各種メリットと費用を鑑みて、入会を検討していきましょう。
CDA資格とは?
JCDA(日本キャリア開発協会)ではCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)という資格の認定を行っています。
CDAの歴史は長く、2016年に国家資格化したキャリアコンサルタントに対しCDAは2000年から資格認定を開始しており、国内のキャリア支援者の養成にいち早く携わっていたことが分かります。
CDA資格取得のメリット
CDA資格を取得してJCDAの「CDA会員」となることで、以下のメリットがあります。
- JCDA会員の各種サポートが受けられる
- 実践の場が得られる
- 指導者研修を受講可能
- JCDA認定CDAインストラクター
- JCDA認定スーパーバイザー等
JCDA個人会員の中でも「実践の場」や「指導者研修」はCDA会員のみが得られる独自の特典となっています。
もしもJCDAのスーパーバイザー講座を受講し、養成講座の講師などを目指したい人の場合は、「CDA資格の取得方法」を確認の上で、認定資格取得を目指すとよいでしょう。
CDA資格取得の注意点
CDA資格取得を検討する上で、事前に理解しておくべき注意点は以下の2点です。
- 入会金と年会費が必要
(JCDA会員に必要な費用はこちら) - 5年毎に更新が必要
- 独自の更新ポイント100ポイントが必要
CDA資格はキャリコンサルタント同様に「5年毎」に更新が必要です。
更新のためには、独自の「更新ポイント」が100ポイント必要となります。この更新ポイントはJCDAで開講されるキャリアコンサルタント更新講習受講や支部における勉強会の参加などによって取得可能です。
更新講習の更新ポイントは受講団体に関わらず「講習時間1時間につき2ポイント」となるため、キャリアコンサルタント資格更新に必要な講習「38時間」を受講したとしても、残り24ポイント(100ポイント-38時間×2ポイント)必要となります。
- 更新講習やスキルアップ研修の受講
(更新講習時間1時間につき2ポイント、スキルアップ研修1日につき15ポイント) - キャリアカウンセリングの実務の実施(1日5ポイント。年間120日以上は50ポイント)
- キャリアカウンセリングを受ける(1回5ポイント)
- JCDA以外が主催するキャリアに関する研修の受講(1回5ポイント)
- ⽀部会や地区会の勉強会参加を含む各種活動(1回5ポイント)
- ⾃主的な勉強会の実施・参加(1回5ポイント)
- キャリアに関するレポートの執筆(文字数により5ポイントもしくは10ポイント)
- JCDAが実施するアンケートの回答(アンケート内容によりポイント数が異なる)
- JCDA通常総会における表決権行使(1回7ポイント) 等
上記を⾒ると分かるように、更新講習の受講だけでなく、CDA資格はそれ以外の様々な活動でもポイントを貯めることができます。コミュニケーションを通じて行われる採用活動や教育などもポイント対象になるようです。残りの24ポイントも、5年間の中でこれらの活動を組み合わせることで取得でき、CDA資格も更新しやすいと言えます。
上記のような認定資格更新の仕組みは、CDA認定資格取得者のスキルの質を高め、CDA資格者全体の価値を高いものにするための仕組みのひとつといえます。そのため、特に「資格取得後も積極的に自己研鑽を積みたい」と考えている人には、特におすすめの資格といえます。
CDA資格の取得方法
JCDAの認定資格「CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)」の資格を取得する方法は、主に以下の3つのリートがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
CDA資格対応キャリコン養成講座を受講する場合の流れ
CDA資格を取得するためには、CDAカリキュラムに対応した「日本マンパワー」のキャリアコンサルタント養成講座を受講する方法が最もメジャーなルートです。
CDAのカリキュラム対応した養成講座を受講する場合、資格認定の流れは以下の通りです。
日本キャリア開発協会(JCDA) に入会
JCDA入会と共にCDA資格に認定。個人会員の中でも「CDA会員」という会員の種類となります。
国家資格キャリアコンサルタント試験の合格日から2年以内に入会することが必要です。
合格日から2年以上経った人は、入会前に指定の講座を1つ受講することが必要になります。
そのため、合格したら早目に入会するのが良いでしょう。
入会金5,000円、年会費8,000円(※)が必要です。
※年会費は2024年9月までは7,000円
参照:日本キャリア開発協会「入会」のご案内」
CDA資格取得することで様々なメリットがあるので、「日本マンパワー」のキャリコン養成講座修了生は、積極的に入会と資格取得を検討するとよいでしょう。
CDA資格対応ではないキャリコン養成講座を受講する場合の流れ
実は、CDAカリキュラムに対応したキャリコン養成講座以外を受講していても、CDA資格を取得することが可能です。主な資格取得の流れは以下の通りです。
キャリアコンサルタント養成講座を修了(CDAカリキュラム非対応)
日本キャリア開発協会(JCDA) に入会
JCDAが指定する講座を3つ受講
JCDAが指定する講座を受講する必要がありますが、先にJCDAに入会しておくことで、無料もしくは割引価格で受講可能です。
CDA資格認定
「キャリア会員」から「CDA会員」への移行手続きが別途必要です。
上記の「日本キャリア開発協会(JCDA) に入会」はJCDAが指定する講座を受講後でも問題ありません。
ですが、先にキャリア会員として入会することで必須講座が割引価格(もしくは無料)で受講できるので、CDA資格取得を目指す人は上記の流れがオススメです。
キャリコン養成講座を受講せずに国家資格を取得する場合の流れ
キャリアコンサルタント養成講座を受講しておらず、3年以上の実務経験を積んで国家資格を取得した人の場合、CDA資格取得の流れは以下の通りです。
実務経験3年以上
日本キャリア開発協会(JCDA) に入会
JCDAが指定する講座を4つ受講
JCDAに指定された講座を4つ受講する必要があります。
JCDA入会前に受講することも可能ですが、先にJCDAに入会しておくことで、無料もしくは割引価格で必要講座を受講可能です。
CDA資格認定
「キャリア会員」から「CDA会員」への移行手続きが別途必要です。
上図を見ると分かるように、養成講座を未受講の人がCDA資格認定を受けるためには、JCDAが指定する講座を4つ受講する必要があります。
この場合においても、受講前にJCDAに入会することで受講料割引を受けることが出来るので、上記の手順をしっかり確認しておきましょう
2016年3月以前に標準レベルキャリア・コンサルタント取得者、技能士合格者は別途条件有り(以下参照)
参照:日本キャリア開発協会「CDAになるには」
JCDAの魅力についてインタビュー!
最後に、JCDA(日本キャリア開発協会)の事務局長を務める佐々木好様へ、JCDAの魅力についてお伺いしました。
JCDAの魅力について教えてください。
日本キャリア開発協会(JCDA)は、全米キャリア開発協会(NCDA)の国際提携機関として2000年に設立され、キャリアカウンセリングの普及に努めてきたNPO法人です。
JCDAの魅力は、21,895名(2024年6月1日時点)の会員同士がつながり、相互に研鑽し合うネットワークだと考えています。
全国で活動するCDAやキャリアコンサルタント資格を持つプロフェッショナルが、キャリアカウンセリングを通じて、相談者が自分自身の価値観や幸福感を見出し、成長につなげるサポートを提供しています。
JCDAの目指すキャリアカウンセリングは、「経験代謝」という考え方をベースにしています。
「経験代謝」とは、相談者の語りのなかの「経験に映る自分」を観るということを通して、相談者が自分らしさに気づき、成長につなげるという考え方です。
人が内的に成長し、自身の価値観・幸福感と社会とのつながりを実感することによって、より自律的で有意義な人生を送ることができるようになることを支援しています。
CDA(Career Development Adviser)資格の魅力について教えてください。
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー:Career Development Adviser)は、JCDAが認定する資格です。
誰もが「ありたい自分」を持つという肯定的な人間観を基本とし、相談者の『自己概念の成長』を通して「その人らしい生き方・働き方」をサポートするという点が特徴です。
すでに約2万人の資格保有者がさまざまな領域で活躍しています。
また、資格を取得された方々向けの学習の場や研修もたくさん用意されています。
JCDAには9つの支部と33の地区があり、新規で資格を取得した会員を先輩が歓迎するウェルカムトレーニングや、無料で何度でも参加できるピアトレーニングやピアワークショップ、人生すごろく金の糸のワークショップを開催。
研究会や啓発交流会では、それぞれの会員の経験や興味あるテーマを持ち寄り、キャリアカウンセリングを通して社会貢献するための調査研究や学習を推進しています。
キャリアコンサルタント業界の課題について
キャリアコンサルタント業界(取り巻く環境)について、どのようなことが課題だと考えていますか?
キャリアコンサルタント業界全体の課題としては、キャリアコンサルタントとして資格を取得された方々が、自らのキャリア形成を起点に、自分を取り巻く環境や社会に主体的に働きかけていくような流れをまだ十分に作れていないことだと考えています。
対人支援職という性質上、「誰かの力になりたい」「誰かの支援をしたい」と願って資格を取得される方が多いからかもしれませんが、「(支援を)求められている、環境から必要とされているからそれに応える」という受け身のスタンスの方が多いような印象です。
「待って」いるのに出番がないという悩みもよくお聴きします。
学んだことを発揮したいのに発揮する場がないという寂しいお気持ちに共感する一方で、キャリアの学びには、そのような悩みや葛藤を打開するようなアプローチやヒントが沢山あるようにも思います。
そういう意味で、「誰かの支援」を考えるのと同時に、自らの内的成長やキャリア形成にまずは真剣に取り組んで欲しいという期待があります。
自分自身の人生を見つめなおし、心のエネルギーに向き合うプロセスの中で、自分の成長のイメージや歩みだしたい一歩が見えてくるのではないかと感じております。
私たちJCDAもCDAやキャリアコンサルタントを輩出する機関として、資格者の方の内的成長と「ありたい自分」の実現に寄与したいと思います。
キャリアコンサルティング推進のための取り組みについて
JCDAとして、キャリアコンサルティング推進のために特に力をいれて取り組まれていることを教えてください。
JCDAがキャリアコンサルティング推進のために特に力を入れている領域は主に4点です。
1つは、「病気の治療と仕事の両立支援」のような社会全体で取り組んでいくべき社会課題について、キャリアカウンセラーとしての専門性を発揮していくモデルを示すことで、課題解決に貢献するのと同時に、私たちの専門性の認知度を高めていくことです。
JCDAでは、キャリアカウンセリングと企業のしごと体験によるがん患者の就労支援「りぼら(リハビリボランティア)」のプログラムを開発し、2020年度より休眠預金活用事業採択プロジェクトとしてスタート、3ヵ年の活動をしたのちに現在はJCDAの事業として展開しています。
また、全国各都道府県の労働局が主催する、治療と仕事の両立支援のための「地域両立支援推進チーム」の会議にCDA会員を派遣して、キャリアコンサルタントが両立支援に貢献できる領域について発信し、他の専門家との協働の可能性を拓こうとしています。
参考:日本キャリア開発協会「治療と仕事の両立支援事業」
参考:厚生労働省「治療と仕事の両立支援のための「地域両立支援推進チーム」の設置について」
2つめは、キャリアの定期診断「キャリアドック」サービスの展開です。
キャリアドックとは、定期的にキャリアカウンセリングを受けるなどの各種サポートによって、自分の強みや課題、ありたい姿を明らかにし、自分らしい生き方・社会とのかかわり方を描く仕組みです。
厚生労働省が推進している「セルフキャリアドック」は、企業などの組織に所属している方のキャリア形成支援が対象ですが、JCDAの「キャリアドック」は、あらゆる人々に、定期的そして継続的にこの仕組みを利用していただくことを目指しています。
また、この取り組みを通じて、CDAの実践の場を拡大していきたいと思います。
参考:日本キャリア開発協会「JCDAのキャリアドック」
3つめは、「人生すごろく金の糸」の展開です。
「人生すごろく金の糸~golden thread~」はキャリアカウンセリングにおいて重要な「自分を振り返ること」、「経験や思いを言葉にすること」をゲーム形式で仲間と一緒に楽しみながら出来る自己探索ツールです。私たちは生まれてからこれまで様々な経験をしています。
それらひとつひとつの経験にその人にとっての意味があり、その経験を物語る中からそれらの経験をつなぐ自分らしさが見えてきます。
過去、現在、未来をつなぐ “自分らしさ”(金の糸)に気づく体験をたくさんの方にして頂きたいと考えており、CDAやキャリアコンサルタントの皆さんには是非このすごろくゲームを使って、キャリアカウンセリングの魅力を発信していって頂きたいと願っています。
2022年からは、金の糸の優れた活用事例や企画を表彰する「金の糸アワード」も実施していますので、是非ご応募ください。
参考:日本キャリア開発協会「人生すごろく「金の糸」」
参考:日本キャリア開発協会「人生すごろく金の糸アワード2023」
4つめは、「CDA STUDENT」資格の普及です。
「CDA STUDENT」は、大学生等が「ありたい自分」に紐づいた、自律的キャリアの基礎を学んでいることを証明する資格です(専門家であるCDA とは異なります)。
大学時代は社会への移行準備期間として、かつては既存の社会への適応という文脈で語られてきました。しかし昨今、大学・企業双方の声として、社会がいかに変化しようとも自律的に生きる力が学生に求められる方向にシフトしてきました。
社会や環境の中で生じる事象を自分事として捉え、自らがチェンジエージェント(変革推進者)となり得る人材、その根底には「ありたい自分」への気づきが不可欠だとJCDA では考えています。
参考:日本キャリア開発協会「CDA STUDENT(大学生等対象資格)」
キャリアという言葉はこの20年でかなり社会に浸透してきたように感じていますが、それでもキャリアコンサルタントは「職業紹介をしてくれる人」といった、ある一面しかまだ伝わっていないのも事実です。
キャリア業界のパイオニアとして、また、NPO法人として、キャリアカウンセリングの普及活動を通じて社会的使命を果たしていきたいと考えております。
キャリアコンサルタントへひとこと!
キャリアコンサルタントとして活動している方へ、メッセージをお願いいたします。
キャリアコンサルタントとしてすでに実践をされている方は、JCDAのキャリアドックや金の糸アワード、社会貢献領域の取り組みにもぜひ積極的に参加してほしいと思います。
ひとつには、JCDAでの活動の経験を、ご自身のキャリアカウンセリングの業務に、何らかの形で生かしてほしいと思うからです。
それは、単なる知識、スキルの習得だけでなく、様々な活動の場面に参加して頂くことによって、より視野が拡大したキャリアカウンセリングを今の実践現場で生かしてほしいからです。
ある企業で活躍しているCDAの人が、他の企業や学生を対象とした支援をしている人、地域貢献を中心に活動している人等と出会うことで、新たな学びを得て頂きたいと思います。
JCDAはそのような出会いや新たなつながりを創るコミュニティでありたいと考えています。
もう一つは、あらためて、CDAやキャリアコンサルタントの役割をもう一度問い直してみることです。
個々人の自己成長の支援だけではなく、社会とのつながりを通して、よりよい社会の形成に寄与する責務が私たちにはあるのではないかと思っています。皆さんの興味を「社会」にも向けてほしいと願っています。
今はキャリアコンサルタントとしての活動の場をもっていない方も、皆さんが日常で観ている「社会」に何か心動くことがあるはずです。その時に感じたこと、考えたことを仲間に話してみて問いかけをもらったり、ご自身が作成したライフラインチャートをもう一度見直してみたりすると、きっとご自身につながる何かがあるのではないでしょうか。
私たちCDAやキャリアコンサルタントの専門性は、カウンセリングのテクニックだけでなく、社会と自己のつながりの意味作りにあります。
一歩を踏み出して、共に取り組んでまいりましょう。
JCDAの会員制度とCDA資格まとめ
キャリアカウンセリングの普及に取り組むJCDAでは、キャリアカウンセラー養成や2万人を超えるネットワークによる勉強会・研究会により、継続的な学習を行うことが可能です。
キャリアコンサルタントとして、相談者のための支援スキルを伸ばしたいと考えている人は、是非入会を検討するとよいでしょう。