「キャリアコンサルタントは稼げない」
「年収が低いからやめた方がいい」
キャリアコンサルタント資格に興味があるものの、こうしたネガティブな声を耳にして不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
たしかに、キャリアコンサルタントは独占業務がなく、資格を取得しただけで収入が大きく上がるわけではありません。実際、平均年収も決して高い水準とはいえないのが現状です。
ですが、資格取得を通して得られるスキルを活かして活躍することで、高年収を目指すことも可能です。キャリアコンサルタントの年収は、「どこで・どのように働くか」によって大きく変わる点が特徴です。
そこで本記事では、キャリアコンサルタントの主な就業先別に年収傾向を詳しく解説します。資格を活かして収入アップを目指す方法も紹介しているので、有資格者の方も是非ご確認ください。


キャリアコンサルタントの年収の傾向と分布
キャリアコンサルタントの年収には、個人ごとに大きなばらつきがあります。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査(2022年実施、2023年公開)によれば、キャリアコンサルタントの年収の分布は、「300~400万円未満」が16.5%ともっとも多く、次いで「400~500万円未満」が14.5%という結果になりました。

キャリアコンサルタント年収の詳細はコチラ
年収帯 | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
なし | 167 | 2.2 |
100万円未満 | 261 | 3.4 |
100〜200万円未満 | 466 | 6.1 |
200〜300万円未満 | 1044 | 13.8 |
300〜400万円未満 | 1253 | 16.5 |
400〜500万円未満 | 1101 | 14.5 |
500〜600万円未満 | 845 | 11.1 |
600〜700万円未満 | 608 | 8.0 |
700〜800万円未満 | 496 | 6.5 |
800〜900万円未満 | 354 | 4.7 |
900〜1,000万円未満 | 285 | 3.8 |
1,000〜1,100万円未満 | 265 | 3.5 |
1,100〜1,200万円未満 | 118 | 1.6 |
1,200〜1,300万円未満 | 107 | 1.4 |
1,300〜1,400万円未満 | 40 | 0.5 |
1,400〜1,500万円未満 | 45 | 0.6 |
1,500〜1,600万円未満 | 32 | 0.4 |
1,600〜1,700万円未満 | 13 | 0.2 |
1,700〜1,800万円未満 | 15 | 0.2 |
1,800〜1,900万円未満 | 12 | 0.2 |
1,900〜2,000万円未満 | 6 | 0.1 |
2,000万円以上 | 53 | 0.7 |
全体 | 7586 | 100.0 |
中央値は「400~500万円未満」であり、かつ回答者の約半数が年収400万円以上という結果が出ており、これは調査年度と同年の日本の平均年収458万円(給与所得者)と同等程度といえるでしょう。
ただし、上記のグラフはフリーランスや会社経営者の年収なども含んだ数値になっているため、正確に比較するためには雇用形態別に年収を確認する必要があります。
そこで、次章からは「雇用形態別」のキャリアコンサルタントの年収分布を解説していきます。
【雇用形態別】キャリアコンサルタントの年収の傾向と分布
キャリアコンサルタントは、働き方によって年収が大きく異なります。ここでは、代表的な働き方として、以下の4種類の雇用形態・就業形態における年収の傾向・分布を解説します。
正規雇用
正規雇用のキャリアコンサルタントはもっとも安定した高収入を実現できる働き方です。
キャリアコンサルタント有資格者の「正規雇用」に絞った年収分布は以下の通りです。

正規雇用のキャリアコンサルタントの年収の詳細はコチラ
年収帯 | 割合(%) |
---|---|
なし | 0.6% |
100万円未満 | 0.3% |
100〜200万円未満 | 0.7% |
200〜300万円未満 | 4.8% |
300〜400万円未満 | 12.1% |
400〜500万円未満 | 14.2% |
500〜600万円未満 | 14.8% |
600〜700万円未満 | 12.1% |
700〜800万円未満 | 10.6% |
800〜900万円未満 | 7.7% |
900〜1,000万円未満 | 6.4% |
1,000〜1,100万円未満 | 6.1% |
1,100〜1,200万円未満 | 2.7% |
1,200〜1,300万円未満 | 2.5% |
1,300〜1,400万円未満 | 0.9% |
1,400〜1,500万円未満 | 1.0% |
1,500〜1,600万円未満 | 0.6% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.3% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.3% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.3% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.2% |
2,000万円以上 | 1.0% |
上記を見ると分かるように、正規雇用のキャリアコンサルタントの最も多い年収層は500万円~600万円未満(14.8%)で、15.9%が年収1,000万円を超えているのが特徴です。
これは、給与所得者全体の正社員の平均年収は523万円(国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」)を上回っていることから、働き方次第で高い年収を得られる資格といえるでしょう。
ただし、「キャリアコンサルティングに関連する活動」による収入が全体に占める割合については、8割以上と回答した割合は11.6%と低く、本業以外での収入が多くを占めていることがわかります。
「キャリアコンサルティングに関連する活動」が 80%以上の正規雇用の方に絞ると、23.1%が400〜500万円、21.8%が300〜400万円となっており、1,000万円以上の割合は6.9%です。
年収帯 | 割合(%) |
---|---|
なし | 0.4% |
100万円未満 | 0% |
100〜200万円未満 | 0.9% |
200〜300万円未満 | 8.3% |
300〜400万円未満 | 21.8% |
400〜500万円未満 | 23.1% |
500〜600万円未満 | 14.4% |
600〜700万円未満 | 10% |
700〜800万円未満 | 7% |
800〜900万円未満 | 5.2% |
900〜1,000万円未満 | 1.7% |
1,000〜1,100万円未満 | 3.5% |
1,100〜1,200万円未満 | 2.6% |
1,200〜1,300万円未満 | 0.4% |
1,400〜1,500万円未満 | 0.4% |
1,800〜1,900万円未満 | 0% |
2,000万円以上 | 0% |
このことから、正規雇用で働いているキャリアコンサルタントであったとしても、「キャリアコンサルティング」が主業務の働き方の場合は、年収が低くなる傾向があることが分かります。
非正規雇用
非正規雇用のキャリアコンサルタントは、正規雇用と比較して年収が大幅に低い傾向があります(以下表を参照)。
年収帯 | 正規雇用(%) | 非正規雇用(%) |
---|---|---|
なし | 0.6% | 0.3% |
100万円未満 | 0.3% | 3.6% |
100〜200万円未満 | 0.7% | 10.8% |
200〜300万円未満 | 4.8% | 28.0% |
300〜400万円未満 | 12.1% | 26.2% |
400〜500万円未満 | 14.2% | 18.6% |
500〜600万円未満 | 14.8% | 7.2% |
600〜700万円未満 | 12.1% | 2.6% |
700〜800万円未満 | 10.6% | 1.0% |
800〜900万円未満 | 7.7% | 0.6% |
900〜1,000万円未満 | 6.4% | 0.2% |
1,000〜1,100万円未満 | 6.1% | 0.3% |
1,100〜1,200万円未満 | 2.7% | 0.1% |
1,200〜1,300万円未満 | 2.5% | 0.1% |
1,300〜1,400万円未満 | 0.9% | 0.0% |
1,400〜1,500万円未満 | 1.0% | 0.0% |
1,500〜1,600万円未満 | 0.6% | 0.0% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.3% | 0.0% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.3% | 0.0% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.3% | 0.0% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.2% | 0.0% |
2,000万円以上 | 1.0% | 0.1% |
上表を見ると分かるように、全体の68.9%が年収400万円未満に留まり、特に年収200万円~300万円未満(28.0%)と300万円~400万円未満(26.2%)に集中しています。
要因の一つとして考えられるのが、公的機関や教育機関で契約社員や派遣社員として働く場合、報酬が低く抑えられることに加え、昇給も見込みづらい点が考えられます。
フリーランス・個人事業主
フリーランス・個人事業主のキャリアコンサルタントは、もっとも年収の変動性が高く、個人の働き方次第で収入が変わりやすい働き方といえます。
以下は、フリーランスとして活動するキャリアコンサルタントの年収の分布です。
年収帯 | 割合 |
---|---|
なし | 1.6% |
100万円未満 | 11.5% |
100〜200万円未満 | 16.8% |
200〜300万円未満 | 22.5% |
300〜400万円未満 | 16.5% |
400〜500万円未満 | 11.5% |
500〜600万円未満 | 7.3% |
600〜700万円未満 | 4.0% |
700〜800万円未満 | 2.6% |
800〜900万円未満 | 1.6% |
900〜1,000万円未満 | 0.9% |
1,000〜1,100万円未満 | 0.9% |
1,100〜1,200万円未満 | 0.9% |
1,200〜1,300万円未満 | 0.0% |
1,300〜1,400万円未満 | 0.4% |
1,400〜1,500万円未満 | 0.2% |
1,500〜1,600万円未満 | 0.0% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.2% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.0% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.2% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.0% |
2,000万円以上 | 0.4% |
半数以上(52.4%)が年収300万円未満である一方で、3.2%が年収1,000万円を超えており、極端な二極化が特徴です。
労働政策研究・研修機構の調査によれば、フリーランス・自営のキャリアコンサルタントが1カ月あたりの仕事を行った平均日数は8.5日(中央値は7.0日)、1カ月あたりの相談件数の平均は26.5件(中央値は10.0件)となっており、独立してもフルタイム相当の仕事を獲得していないことが、年収の低さにつながっていることが分かります。

フリーランスとして独立しているキャリアコンサルタントの場合、仕事の受注件数がそのまま収入に直結します。
そのため、年収を重視するのであれば、いきなり独立するのではなく、副業としてキャリア支援の仕事を始め、十分な顧客基盤を築いてから独立を検討する方がいいでしょう。
キャリアバディでは、オンラインで気軽にキャリア相談を始められるプラットフォームを提供しています。
副業からスタートしたいキャリアコンサルタントの方は、ぜひご登録ください。
会社経営・団体運営
会社経営・団体運営をしているキャリアコンサルタントは、年収においてもっとも高いポテンシャルを持つ働き方です。
年収帯 | 割合 |
---|---|
なし | 0.0% |
100万円未満 | 6.5% |
100〜200万円未満 | 7.2% |
200〜300万円未満 | 11.6% |
300〜400万円未満 | 18.8% |
400〜500万円未満 | 11.6% |
500〜600万円未満 | 9.4% |
600〜700万円未満 | 9.4% |
700〜800万円未満 | 8.0% |
800〜900万円未満 | 5.1% |
900〜1,000万円未満 | 2.2% |
1,000〜1,100万円未満 | 2.9% |
1,100〜1,200万円未満 | 0.7% |
1,200〜1,300万円未満 | 2.9% |
1,300〜1,400万円未満 | 0.0% |
1,400〜1,500万円未満 | 0.0% |
1,500〜1,600万円未満 | 1.4% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.0% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.0% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.0% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.0% |
2,000万円以上 | 2.2% |
上表を見ると分かるように、平均の年収帯は決して高くないものの、2,000万円を超える年収を得ているキャリコンが2.2%もいる点が特徴といえるでしょう。
自ら経営を行う場合、キャリアコンサルタントとしての業務に加えて、人材紹介会社や研修会社の経営者として事業規模を拡大、業績を年収に直結させることが可能です。



言うまでもなく、会社経営には常にリスクが伴います。
キャリアコンサルタントとして起業する場合も同様で、ビジネスモデルの磨き込みや、安定した収益基盤の構築は欠かせません。
独立を検討する際は、リスクを見越した上で、事前に十分な準備と検討を行うことが重要です。


【就業先別】キャリアコンサルタントの年収の傾向と分布
キャリアコンサルタントの年収は、就業先によっても大きく異なります。
ここでは、代表的な就業先として、5つのケースにおける年収の傾向・分布を解説していきます。
企業(自社内)
自身が勤める企業内で、人材育成やキャリア支援、研修などに携わるキャリアコンサルタントは多く、労働政策研究・研修機構の調査では全体の23.3%を占めていることが分かります。
自社で活躍するキャリアコンサルタントの年収の傾向は以下の通りです。
年収帯 | 割合(%) |
---|---|
100万円未満 | 0.8% |
100〜200万円未満 | 1.2% |
200〜300万円未満 | 3.2% |
300〜400万円未満 | 8.1% |
400〜500万円未満 | 11.7% |
500〜600万円未満 | 15.0% |
600〜700万円未満 | 11.5% |
700〜800万円未満 | 10.9% |
800〜900万円未満 | 8.2% |
900〜1,000万円未満 | 7.4% |
1,000〜1,100万円未満 | 7.7% |
1,100〜1,200万円未満 | 3.6% |
1,200〜1,300万円未満 | 3.4% |
1,300〜1,400万円未満 | 1.3% |
1,400〜1,500万円未満 | 1.6% |
1,500〜1,600万円未満 | 1.0% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.4% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.7% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.3% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.2% |
2,000万円以上 | 1.0% |
自社内でキャリアコンサルタントとして活動する人の年収は比較的高く、400~800万円未満がボリュームゾーンとなっています。
年収が高い要因の一つとして、正規雇用で働いている人の割合が88.2%と高いことが要因として考えられます。
企業(自社外)
自社外の企業においてキャリア支援研修などを行うキャリアコンサルタントの年収の傾向は、以下表の通りです。
年収帯 | 割合(%) |
---|---|
100万円未満 | 4.5% |
100〜200万円未満 | 5.3% |
200〜300万円未満 | 11.4% |
300〜400万円未満 | 14.5% |
400〜500万円未満 | 12.3% |
500〜600万円未満 | 14.1% |
600〜700万円未満 | 9.7% |
700〜800万円未満 | 7.2% |
800〜900万円未満 | 5.9% |
900〜1,000万円未満 | 4.0% |
1,000〜1,100万円未満 | 3.2% |
1,100〜1,200万円未満 | 1.3% |
1,200〜1,300万円未満 | 1.3% |
1,300〜1,400万円未満 | 0.9% |
1,400〜1,500万円未満 | 0.7% |
1,500〜1,600万円未満 | 0.7% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.1% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.0% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.3% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.0% |
2,000万円以上 | 1.9% |
上記の表からわかるように、自社外の企業で働くキャリアコンサルタントは、年収300〜400万円の層が最も多く、自社内で勤務するキャリアコンサルタントに比べて、やや年収が低い傾向があります。
この要因の一つとして、自社外で活動するキャリアコンサルタントの正規雇用率が38.3%と比較的低い点が挙げられます。
就業先 | 正規雇用の割合 |
---|---|
企業(自社内) | 88.2% |
企業(自社外) | 38.3% |
公共の需給調整機関
ハローワーク・自治体などの公共の需給調整機関で活動するキャリアコンサルタントは、求職者の就職支援やキャリア形成をサポートする専門家として、面談業務求人の総会、応募書類の添削アドバイス業務などを行います。
公共の需給調整機関で活動するキャリアコンサルタントの年収の傾向は、以下の通りです。
年収帯 | 割合(%) |
---|---|
100万円未満 | 1.8% |
100〜200万円未満 | 4.6% |
200〜300万円未満 | 18.6% |
300〜400万円未満 | 26.8% |
400〜500万円未満 | 31.0% |
500〜600万円未満 | 9.3% |
600〜700万円未満 | 3.1% |
700〜800万円未満 | 2.5% |
800〜900万円未満 | 0.7% |
900〜1,000万円未満 | 0.2% |
1,000〜1,100万円未満 | 0.6% |
1,100〜1,200万円未満 | 0.0% |
1,200〜1,300万円未満 | 0.1% |
1,300〜1,400万円未満 | 0.0% |
1,400〜1,500万円未満 | 0.0% |
1,500〜1,600万円未満 | 0.1% |
1,600〜1,700万円未満 | 0.0% |
1,700〜1,800万円未満 | 0.0% |
1,800〜1,900万円未満 | 0.0% |
1,900〜2,000万円未満 | 0.0% |
2,000万円以上 | 0.0% |
公共の需給調整機関で働くキャリアコンサルタントの約8割(82.8%)が年収500万円未満に分布しており、年収は高くない傾向があります。
民間の需給調整機関とは異なり、成果を上げても昇給や賞与に反映されることは極めてまれな上、正規雇用で働くキャリアコンサルタントの割合が9.7%と極めて低いことが要因として考えられます。
民間の需給調整機関
転職エージェントや人材派遣会社等の民間の労働者派遣事業者で活動するキャリアコンサルタントについて、年収の傾向および分布は以下の通りです。
年収帯 | 割合(%) |
---|---|
100万円未満 | 1.6% |
100~200万円未満 | 4.1% |
200~300万円未満 | 14.4% |
300~400万円未満 | 20.7% |
400~500万円未満 | 15.4% |
500~600万円未満 | 14.1% |
600~700万円未満 | 11.6% |
700~800万円未満 | 6.6% |
800~900万円未満 | 4.7% |
900~1,000万円未満 | 3.1% |
1,000~1,100万円未満 | 0.9% |
1,100~1,200万円未満 | 0.6% |
1,200~1,300万円未満 | 1.3% |
1,300~1,400万円未満 | 0.0% |
1,400~1,500万円未満 | 0.3% |
1,500~1,600万円未満 | 0.0% |
1,600~1,700万円未満 | 0.0% |
1,700~1,800万円未満 | 0.0% |
1,800~1,900万円未満 | 0.0% |
1,900~2,000万円未満 | 0.0% |
2,000万円以上 | 0.3% |
※弊社の依頼により、労働政策研究・研修機構が再集計した結果に基づく
転職エージェントや人材派遣会社で働くキャリアコンサルタントは、労働集約型のビジネスモデルのため、個人目標やノルマが厳しい傾向にあります。
特に、成果報酬型の人材会社では、売上トップのプレイヤーの年収は1,000万円超えるケースもあり、会社員でありながら、高収入を目指しやすい働き方の一つといえるでしょう。
学校・教育機関
学校・教育機関で活動するキャリアコンサルタントは、大学・短大・専門学校などの就職を控えた高等教育機関や、小学校・中学校・高校、社会人向けの職業訓練機関等が挙げられます。
それぞれの教育機関で働くキャリアコンサルタントの年収傾向は、以下のとおりです。
【大学・短大・専門学校等の高等教育機関】
年収帯 | 割合 |
---|---|
100万円未満 | 3.7% |
100〜200万円未満 | 9.8% |
200〜300万円未満 | 16.6% |
300〜400万円未満 | 16.2% |
400〜500万円未満 | 12.3% |
500〜600万円未満 | 8.8% |
600〜700万円未満 | 8.4% |
【小学校・中学校・高校等の初等中等教育機関】
年収帯 | 割合 |
---|---|
100万円未満 | 4.9% |
100〜200万円未満 | 9.8% |
200〜300万円未満 | 16.9% |
300〜400万円未満 | 12.6% |
400〜500万円未満 | 14.2% |
500〜600万円未満 | 11.5% |
600〜700万円未満 | 8.7% |
【職業訓練機関・施設等】
年収帯 | 割合 |
---|---|
100万円未満 | 3.3% |
100〜200万円未満 | 9.1% |
200〜300万円未満 | 28.0% |
300〜400万円未満 | 23.9% |
400〜500万円未満 | 11.1% |
500〜600万円未満 | 9.1% |
600〜700万円未満 | 3.7% |
働く学校・教育機関によって年収帯ごとの割合は異なりますが、いずれも200〜500万円未満に集中していることがわかります。
同調査によれば、キャリアコンサルタント有資格者の15.4%が教育機関を占めており、就職支援やキャリア教育を担うやりがいのある仕事といえるでしょう。


キャリアコンサルタントの年収が低いと言われる理由
「キャリアコンサルタントの年収は低い」といわれることがありますが、実際の年収水準はどうなのでしょうか。
正規雇用に限定して比較すると、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によれば、正規雇用で働くキャリアコンサルタントの年収は「500〜600万円未満」が最も多く、中央値も600〜700万円未満となっています。
これに対し、国税庁が発表した「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員全体の平均給与は530万円となっており、キャリアコンサルタントの収入が特別に低いわけではありません。
では、国内の平均年収と比べても引けをとらないにも関わらず、キャリアコンサルタントの年収が低いといわれる理由は何でしょうか。理由として、以下の3点が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。



キャリアコンサルタントの年収は低くないものの、「稼げない」というイメージが独り歩きし、現実と乖離しているケースが散見されます。
そこでここでは、「キャリコンは稼げない」というイメージの原因を解説していきます。
業務独占資格ではないから
キャリアコンサルタントは「名称独占」の国家資格ですが、「業務独占資格」ではありません。
そのため、「キャリアコンサルタント」という名称は国家資格保有者しか使用できないものの、キャリア相談業務(キャリアコンサルティング)自体は無資格者でも行うことができます。
実際、転職エージェントのキャリアアドバイザーや企業の人事担当者は、資格がなくても転職相談やキャリア支援を行っています。
さらに、キャリアコンサルタントには独占業務を持っていないがゆえに、
- 「どの業務を依頼できるのかが分かりづらい」
- 「料金設定の基準が不明確」
といった状況が生じやすく、結果的に資格を取得しても収入に直結しにくいことが、「キャリアコンサルタントは年収が低い」と言われる要因となっています。
キャリア相談の認知度が低く仕事そのものが少ない傾向がある
日本では、キャリア相談を受ける文化が十分に浸透していません。
また、ハローワークやジョブカフェなど無料の公的サービスが充実しているため、有料のキャリア相談に対する需要が限定的です。
労働政策研究・研修機構の調査によると、キャリアコンサルタント有資格者の活動頻度は「ほぼ毎日活動している」が28.4%に対して、「活動していない」が29.7%、「不定期に活動している」が17.5%となっており、キャリアコンサルティングの活動が活発とはいえません。
活動頻度 | 割合(%) |
---|---|
ほぼ毎日活動している | 28.4% |
週2~3回程度活動している | 9.3% |
週1回程度活動している | 4.9% |
月に2~3回程度活動している | 7.0% |
月1回程度活動している | 3.2% |
不定期に活動している | 17.5% |
活動していない | 29.7% |
また、キャリアコンサルティングに専業で携わっている割合は38.3%に留まっており、有資格者であっても活動が限定的であることが現状です。
キャリアコンサルティングに関連する活動の 専業・兼業の割合 | 割合(%) |
---|---|
専任・専業 | 38.3% |
兼任・兼業 | 61.7% |
このように、キャリアコンサルタントは企業内や労働需給調整機関での需要は高い一方、個人向けサービスの市場はまだ発展途上にあります。
そのため、資格を取得したとしても、すぐに年収が伸びるわけではない状況といえるでしょう。



有料キャリア相談の市場はまだまだ発展途上のため、専業で就職するのは難しいケースも有ります。
そのため、キャリアコンサルタント取得後は、まずは副業でキャリア支援を始めることがおすすめです。
副業でキャリア支援をしたい人は、ぜひキャリアバディをご活用ください!
サービスの単価設定が難しく利益を出しにくいから
キャリアコンサルタントのサービスは効果の測定や成果の数値化が困難です。そのため、適正な単価設定が難しく、低価格競争に陥りやすい市場といえます。
キャリアコンサルティングの成果は「転職の成功」「働きがいの向上」など、中長期的かつ主観的な要素が多く、即座に効果を実感できません。
また、カウンセリング業務は労働集約型の働き方であり、1日に対応できる件数に限界があります。キャリアカウンセリング自体の時間だけではなく、準備の時間も必要であることを考慮すると、1日あたりの収入には限りがあるでしょう。
高単価設定の難しさや、1日あたりの収入の限度があることから、キャリアコンサルタント資格を取得しても年収アップにつなげ辛いケースがあるといえるでしょう。


キャリアコンサルタントが年収アップを実現する方法
キャリアコンサルタントが年収をアップするには、現在の働き方を踏まえながら効果的な活動方法を見極める必要があるでしょう。
ここでは、キャリアコンサルタント資格を活かして年収アップを目指す方法を6つ解説します。
社内で活動を広げて評価を高める
企業内キャリアコンサルタントが年収アップを実現するには、キャリア相談業務だけではなく、人事制度設計や組織開発など、戦略的な領域に活動範囲を広げ、評価を高めることが効果的です。
人事部門の中核メンバーとして組織全体の成長に貢献することで、管理職や役員への昇進機会が生まれ、年収アップが期待できるでしょう。
キャリアコンサルタントとしての知見やスキルを活かし、人材育成プログラムの企画・運営、リーダーシップ開発研修の設計、タレントマネジメントシステムの構築などに携わり、高い年収を得られる場合も考えられます。
また、社内での評価向上のため、社内のキャリア相談を行っている場合は成果を定量的に測定し、従業員エンゲージメントや定着率向上への貢献を数値で示すことも重要です。
上位資格や関連資格の取得で専門性を高める
キャリアコンサルタントとして年収を高めたい場合、上位資格や相性のいい関連資格を取得することがおすすめです。
具体的には、キャリアコンサルティング技能士1級・2級等の上位資格の取得や、産業カウンセラーやコーチング資格等をダブルライセンスで取得することで、専門性を高めて市場価値を向上させることが大切です。
また、キャリアコンサルティング技能士を取得すれば、キャリコン養成講座や更新講習の講師として働く道も見えてきます。
特に、ゆくゆくは独立を目指す場合、資格の組みあわせによる差別化が非常に重要になります。専門領域を明確にすることで、無資格者や他のキャリアコンサルタントとの競争を避けつつ、高単価の仕事を受注しやすくなるでしょう。
キャリア相談の副業を始める
本業を維持しながらキャリア相談の副業をはじめるのも、年収アップにはおすすめです。
副業では本業の安定収入を確保しながら、キャリア相談業務の経験を積むことができるため、リスクを最小限に抑えながら追加収入を得られ、将来の独立への準備も兼ねることができます。
オンライン面談が普及したことで、時間や場所の制約が軽減され、会社員として働いている人でも、平日の夜間や週末を活用した効率的な活動ができるでしょう。
目指す収入に対して月何件のキャリア相談を提供すればよいかを考え、適切な料金設定を行うことで、キャリアコンサルタントとして副収入を得られるでしょう。



当社が提供している「キャリアバディ」に登録すれば、オンライン面談ツールや予約カレンダーを使い、すぐにキャリア相談を始められます。
副業を始めたいキャリアコンサルタントの方は、ぜひご登録ください。
キャリアコンサルティングスキルの向上で単価アップを狙う
専門的なキャリアコンサルティングスキルを向上させることで、面談単価を引き上げることが可能です。
キャリア相談を受けるクライアントが本当に求めているのは、単なる話し相手ではなく、具体的な問題解決の方法や、その実現につながる実践的なアドバイスです。
そのため、高度なアセスメント技術やコーチング手法、特定業界に関する知識などを身につけることで、他のキャリアコンサルタントとの差別化が図れ、一般的な相場よりも高い価格での提供が可能になります。
ただし、単価アップを狙う際は、キャリアコンサルタントのスキル向上や専門分野に特化することとあわせて、個人のブランディングも重要です。
高収入を得られる職場に転職する
キャリアコンサルタントが年収アップを実現する最も現実的な方法として、高収入を得られる職場への転職が考えられます。
職場や職種によってキャリアコンサルタントの年収には大きな差があるため、自身の希望する年収でキャリアコンサルタントの求人があるかを確認する必要があります。
求人を探す際は、キャリアコンサルタント資格を必須とする求人はもちろん、資格要件の記載はないものの、キャリアコンサルタント資格を活用できる求人にも注目してみるのがおすすめです。
キャリア支援に関わる求人に幅を広げたうえで、キャリアコンサルタント資格はもちろん、キャリア相談の実績や経験をアピールし、高収入とやりがいを両立できる職場を見つけましょう。



具体的には、大手人材会社のキャリアアドバイザーや、外資系企業の人事部門であれば、キャリアコンサルタント資格を活かしながら、高い年収で働ける求人も多く存在します。
ただし、転職エージェントや人材派遣会社は成果主義の傾向が強く、個人の売上が伸びなければ高収入を得るのは難しいため、注意しておきましょう。
独立しフリーランスとして活動する
独立してフリーランスとして活動することで、年収1,000万円以上の高収入を目指すことが可能です。
フリーランスには収入に上限がなく、専門性と営業力次第で高収入を実現可能で、労働政策研究・研修機構の調査でも約3.4%の人が年収1,000万円以上を達成していることが分かっています。
>フリーランス・個人事業主のキャリコンの年収は本記事のこちら
ただし、資格を取得しただけで独立できるわけではなく、キャリコンとしての専門性と継続的な営業努力が不可欠です。
さらに、独立後は収入の不安定性や事業運営の責任も伴うため、慎重な準備と戦略的なアプローチが必要な点は事前に理解しておきましょう。
フリーランスは、個人として実績や経験、スキルを求められるため、いきなり独立するのではなく、コツコツと実績を積み上げることが大切です。
そのため、可能であれば副業でキャリア相談の実績を積んだり、人脈を広げたりして、収入の土台をつくったうえで、フリーランスのキャリアコンサルタントとして独立を検討するようにしましょう。
キャリアコンサルタントに副業がおすすめの理由
これからキャリアコンサルタント資格を取得する人や、現在キャリアコンサルタント資格の活用を模索している人には、まずは副業からはじめるのもおすすめです。
キャリアコンサルタントに副業がおすすめの理由は、大きく以下の3点があります。
副業であれば、自分自身にあった働き方で本業とは別の副収入を得られるため、資格活用の第一歩としておすすめです。
それぞれ詳しく解説していきます。
実務経験の幅を広げられる
副業を通じた活動は、本業とは異なる業界・職種・年代のクライアントと接することとなり、キャリアコンサルタントとしての実務経験の幅を広げられます。
企業内や公的機関でキャリアコンサルタントとして働いている場合、特定の業界や職種に限定された相談者が多く、経験できる事例が偏りがちです。
また、本業でキャリアコンサルティングを行う機会が少ない、もしくはない場合、まずは副業で実務経験を積んでいくことが考えられます。
キャリアバディのようなプラットフォームに登録して活動することで、多様な相談者のキャリア支援を行うことができるため、副業に興味があるキャリコンの方は是非ご登録ください。
相談者の多様化に対応できるようになる
副業でキャリア相談を行うと、本業では出会う機会の少ない多様な相談者から依頼を受けることができます。
たとえば、育児と仕事の両立を目指す女性、定年後の再就職を考える50代、フリーランスから正社員への転身を希望するITエンジニアなど、幅広い価値観に触れることで、より実践的なキャリア支援が可能になります。
また例えば、本業で製造業の企業内キャリアコンサルタントとして働いている場合、副業でIT業界やサービス業の転職支援を行うことで、異業種への転職パターンや、求められるスキルの違いを理解できるでしょう。
また、本業では40代以上の中高年への支援が中心だった場合、副業で20代・30代の若手支援を行うことで、世代特有の価値観やキャリア観を学べるでしょう。



ただし、相談者の役に立つキャリアコンサルティングを提供するためには、本業とは異なるとしても「知見がある領域」でサービスを提供することを心がけましょう。
フラットなキャリア支援が可能
転職エージェントや人材派遣会社といった民間の需給調整機関では、求人者が費用を支払うビジネスモデル上、「求職者を転職させること」が目的になりやすく、支援内容も求人紹介や採用成功に偏りがちです。
結果として、中長期的なキャリア形成や本質的なキャリアの悩みについて、じっくり支援できないケースも少なくありません。
たとえば、転職だけでなく現職でのキャリアアップ、副業・独立、資格取得など幅広い選択肢を提示し、相談者が自分らしいキャリアを描けるようサポートできます。
そのため「企業目線ではなく、純粋にキャリア支援をしたい」「転職ありきではないキャリア相談を提供したい」と考える方は、副業でキャリアコンサルティングを行うといいでしょう。
特に、フラットなキャリア支援にこだわりたい人は、キャリア相談のプラットフォーム「キャリアバディ」に登録し、オンラインでキャリア支援をすることがおすすめです。
キャリアコンサルタントの年収が低いと言われる理由まとめ
キャリアコンサルタントの年収は雇用形態や就業先によって大きく異なります。また企業内では雇用の安定性・年収共に高くなりますが、公共機関では社会貢献度が高い一方、年収は決して高くはありません。
「キャリアコンサルタントは年収が低い」といわれる理由には、キャリアコンサルタントが業務独占資格でないことや、認知度の不足から仕事が少ないこと等が挙げられます。
しかし、キャリアコンサルタント資格取得を通して得られる知見を活用することで、年収アップは十分可能といえるでしょう。
その選択肢のひとつが、副業という活動方法です。副業であれば、本業の収入を保ちつつ、キャリコン資格を活かして副収入を得ることが可能です。また、転職エージェントや人材派遣会社では難しい「フラットなキャリア支援」により信頼関係も構築しやすいため、資格取得後の活用方法としておすすめです。
キャリアコンサルタント資格で収入アップを目指すには、現在の働き方や課題を踏まえ、最適な活用方法を具体的に検討するようにしましょう。



