【最新】キャリアコンサルティング技能士の難易度はどれくらい?1級・2級の合格率推移や受験要件を徹底解説

キャリアコンサルティング技能士とは?難易度や検定合格のメリットを解説
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キャリア支援の仕事をしている人や、国家資格キャリアコンサルタントを取得した人の中には「キャリアコンサルティング技能士」について興味を持っている人は多いのではないでしょうか。

キャリアコンサルタント資格の上位資格に位置づけられるキャリアコンサルティング技能士は、1級は「指導者レベル」、2級は「熟練レベル」とそれぞれ求められるレベルが設定されており、スキルアップを目指す人におすすめの資格です。

本記事では、キャリアコンサルティング技能士について難易度や受験要件、検定合格のメリット等を解説していきます。

キャリアコンサルタントの副業におすすめ!

目次

キャリアコンサルティング技能士とは?

キャリアコンサルティング技能士とは、「キャリアコンサルティングに関する知識・スキル」を図る技能検定です。その歴史は国家資格キャリアコンサルタントよりも古く、2008年の政令改正に伴って技能検定に追加された職種です。

「キャリアコンサルティング技能士」は当該技能検定に合格した人のことをいい、1級は「指導者レベル」、2級は「熟練レベル」と定義されており、「標準レベル」を保証する国家資格キャリアコンサルタントの上位資格に位置づけられています。

2023年3月31日時点の技能士人数は11,794名(1級技能士621人・2級技能士11,173人)となっており、国家資格者より更に少数精鋭となっていることが分かります。

キャリアコンサルティング技能士1級キャリアコンサルティング技能士2級合計
621名11,173名11,794名
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルティング技能士数」

キャリアコンサルタントの上位資格

前述したように、キャリアコンサルティング技能士は国家資格キャリアコンサルタントの上位資格です。

キャリアコンサルタント資格と違い、技能検定1級・2級ともに実務経験が無ければ受験できない検定となっており、簡単に挑戦することは出来ません。キャリアコンサルタント養成講座を修了すれば未経験でも挑戦できる国家資格と比べ、検定に挑戦する自体のハードルが高いことが分かります。

求められるレベルとしては「標準レベル」とされるキャリアコンサルタント資格と比べ、それぞれ「熟練レベル」「指導者レベル」と高い水準が求められています。

資格求められるレベル合格難易度
キャリコンサルタント(国家資格)標準レベル普通
キャリアコンサルティング技能士2級熟練レベル難易度が高い
キャリアコンサルティング技能士1級指導者レベルとても難易度が高い
キャリコンとキャリアコンサルティング技能士の求められるレベル

では、上記のキャリアコンサルティング技能士に求められる「熟練レベル」「指導者レベル」とは、具体的にどのようなスキルを求められるのでしょうか。以下にキャリアコンサルティング技能士に求められる水準について詳しく解説していきます。

参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「国家検定キャリアコンサルティング技能検定

キャリアコンサルティング技能士2級は熟練レベル

前述したように、キャリアコンサルティング技能士2級は「熟練レベル」に位置づけられており、安定したキャリア相談の実施が求められます。

実務レベルとしては、社会人(求職者・在職者問わず)だけではなく学生も含めた幅広い相談者に対し、実践経験に裏打ちされたキャリアコンサルティングを提供することが求められます。

難しい相談ケースであったとしても対応可能なレベルで、他機関や組織内の適切な連携・リファーを通して安定したキャリアコンサルティングを行うことが求められています。2023年3月31日時点で11,173人の2級技能士が輩出されており、全国各地で活躍しています。

キャリアコンサルティング技能士2級に求められる役割

  • 他部門・他機関との連携やリファー
  • 企業内におけるキャリアコンサルティング関連の仕組みの構築
  • キャリアコンサルタント養成講座の講師

キャリアコンサルティング技能士1級は指導者レベル

キャリアコンサルティング技能士1級は「指導者レベル」とされており、どのような相談者・ケースに対しても安定した優れたキャリア相談の実施が求められます。

実務レベルとしては、複雑で解決が難しい相談者に対するキャリアコンサルティング対応や、そういった事例の発表を行うことが求められます。

キャリアコンサルティング技能士1級は「指導者レベル」の名の通り、キャリアコンサルタントの後進育成はもとより、領域をまたいだ折衝・調整スキルも役割として求めらます。

キャリアコンサルタントの中でも一部の人間しか資格取得に足らず、1級技能士は2023年3月31日時点でわずか621人しかいません。

キャリアコンサルティング技能士1級に求められる役割

  • キャリアコンサルティングに関する率先した啓蒙活動
  • キャリアに関する研究の実施や事例発表
  • キャリアコンサルタント養成講座の講師

国家資格キャリアコンサルタントとの違い

キャリアコンサルティング技能士と国家資格キャリアコンサルタントの主な違いは以下の通りです。

キャリアコンサルティング技能士と国家資格キャリアコンサルタントの違い
  • 「標準レベル」である国家資格に対し、技能士は「2級:熟練レベル」「1級:指導者レベル」
  • 資格取得の難易度が違う
  • 技能士は国家資格と違って更新期限が無い

キャリアコンサルティング技能士の職域として「キャリア相談」となる点は国家資格と同様ですが、2級では「熟練レベルのキャリアコンサルティング」が求められます。

また、1級では「指導者レベル」が求められ、キャリアコンサルタントに対する事例を通したスーパービジョンが求められます。そのため、キャリアコンサルティング技能士1級の実技面接試験では、「指導者としてのロープレ」が行われ、そのスキルを確認されることになります。

また、国家資格キャリアコンサルタントと違って更新期限が無いため、一度合格すれば無期限に「キャリアコンサルティング技能士」を名乗ることが可能になります。

キャリアコンサルティング技能士の難易度と合格率

キャリアコンサルティング技能士1級・2級に求められる水準がそれぞれ「熟練レベル」「指導者レベル」とお伝えしましたが、資格取得の難易度はどれくらいなのでしょうか?

結論をお伝えすると、キャリアコンサルティング技能検定の合格難易度は1級・2級ともに非常に高く、簡単に取得することは出来ません。求められる水準である「熟練レベル」「指導者レベル」の名の通り、高いキャリアコンサルティングスキルと知識が求められます。

資格求められるレベル合格難易度
キャリコンサルタント(国家資格)標準レベル普通
キャリアコンサルティング技能士2級熟練レベル難易度が高い
キャリアコンサルティング技能士1級指導者レベルとても難易度が高い
キャリアコンサルティング技能士の求められるレベル

ここではキャリアコンサルティング技能検定の難易度について、合格率推移のグラフと共に解説していきます。

キャリアコンサルティング技能士2級の難易度と合格率

「指導者レベル」であるキャリアコンサルティング2級技能検定は合格難易度が高い、難しい検定試験です。

合格率は学科試験・実技試験で大きく異なっており、最新の結果推移としては以下の通りです。

キャリアコンサルティング技能士2級の学科試験の難易度と合格率

キャリアコンサルティング技能士2級・学科試験合格率の推移
第28回試験合格率
57.40%
第29回試験合格率
68.87%
第30回試験合格率
58.18%
試験回受験申込者数合格者数合格率
第28回784人450人57.40%
第29回954人657人68.87%
第30回923人537人58.18%
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「合格発表 国家検定キャリアコンサルティング技能検定」

結論としては、キャリコン技能士2級の学科試験は難しくありません。

キャリアコンサルティング技能士の学科試験合格率は概ね50%~70%を推移しており、そこまで難しい試験ではないことが分かります。合格率だけを見ると、難易度は国家資格キャリアコンサルタントとそこまで変わりません。

つまり、キャリアコンサルティング技能士2級の難しさは「実技試験」にあることが分かります。

キャリアコンサルティング技能士2級の実技試験の難易度と合格率

キャリアコンサルティング技能士2級・実技試験合格率の推移
第28回試験合格率
17.63%
第29回試験合格率
15.36%
第30回試験合格率
17.72%
試験回受験申込者数合格者数合格率
第28回1,520人268人17.63%
第29回1,523人234人15.36%
第30回1,597人283人17.72%
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「合格発表 国家検定キャリアコンサルティング技能検定」

キャリアコンサルティング技能士2級の実技試験の難易度は高く、上表を見ると分かるようにその合格率は基本的に20%以下で推移しています。

キャリアコンサルティング技能士2級の受験生は最低でも3年以上の実務経験を持っていることを考慮すると、合格が非常に難しい検定試験であることが分かります。

キャリアコンサルティング技能士2級は実技試験が難しい

キャリアコンサルティング技能士の学科・実技試験の合格率推移
キャリアコンサルティング技能士の学科・実技試験の合格率推移グラフ

キャリアコンサルティング技能士2級の難しさは実技試験にあり、上図の折れ線グラフを見ると分かるように、学科試験と比較すると合格率が40~50ポイントも開きがあります。

キャリアコンサルティング技能検定の実技試験は、国家資格キャリコン試験と同様に論述試験と面接試験で構成されていますが、面接試験の試験時間は30分(ロールプレイ20分+口頭試問10分)と長くとられています。

そのため、ロールプレイの中ではより実践に近いキャリアコンサルティングが求められ、合格ハードルも高く設定されているといえます。

キャリアコンサルティング技能士1級は指導者レベル

キャリアコンサルティング技能士1級の難易度はどれくらいなのでしょうか。

結論としては、指導者レベルであるキャリアコンサルティング技能士1級の難易度は2級よりもさらに高く、合格率としては以下の通りとなっています。

キャリアコンサルティング技能士1級の学科試験の難易度と合格率

キャリアコンサルティング技能士1級・学科試験合格率の推移
第10回試験合格率
14.57%
第11回試験合格率
62.56%
第12回試験合格率
38.86%
試験回受験申込者数合格者数合格率
第10回460人407人14.57%
第11回633人396人62.56%
第12回543人211人38.86%
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「合格発表 国家検定キャリアコンサルティング技能検定」

キャリアコンサルティング技能士1級の検定試験は学科試験も非常に難しく、第10回試験は合格率14.57%と8割以上の受験生が不合格となる結果になりました。

また、合格率が安定していないことも特徴のひとつで、第11回試験は合格率62.56%と高い結果が出ています。

そのため、確実に合格するためには徹底した試験対策が必要となります。

キャリアコンサルティング技能士1級の実技試験の難易度と合格率

キャリアコンサルティング技能士1級・実技試験合格率の推移
第10回試験合格率
7.25%
第11回試験合格率
9.62%
第12回試験合格率
6.77%
試験回受験申込者数合格者数合格率
第10回814人59人7.25%
第11回769人74人9.62%
第12回886人60人6.77%
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「合格発表 国家検定キャリアコンサルティング技能検定」

キャリアコンサルティング技能士1級の実技試験難易度は非常に高く、合格率は基本的に10%以下を推移しています。

上表を見ると、1回の試験で合格者が100人未満と非常に狭き門であることが分かります。

キャリアコンサルティング技能士1級の実技試験が難しい理由

キャリコン技能士1級の実技試験は2級と同じく(論述+面接試験)で構成されています。

面接試験の内容の違いとしては、キャリアコンサルタント試験や技能検定2級とは異なり「指導者」としてのロールプレイを行う点が挙げられます。具体的には、受験生はキャリアコンサルタントの指導者として事例相談を受けるロールプレイとなっており、相談者の成長を促すための対して適切な指導や介入を行うことが求められます。

これまでの実技試験内容と異なることや、事例指導の実践経験がない人でも検定受験を出来ることが検定難易度を高めているといえるでしょう。そのため、キャリアコンサルティング技能士1級の合格率は非常に低く、難易度の高い検定試験となっています。

キャリコンサルティング技能士1級の実技面接試験は「指導者」としてのロープレを行う

キャリアコンサルティング技能士の受験要件はハードルが高い

キャリアコンサルティング技能士の受験要件を満たすハードルは高く、最低でも2級は3年以上、1級は6年以上の実務経験が必要となります。

このことから、国家資格キャリアコンサルタントと比べると検定試験に挑戦するハードルそのものが高いことが分かります。

技能検定1級・2級の受験要件について、それぞれ以下で解説していきます。

技能士2級の受験要件

キャリアコンサルティング技能士2級の受験要件は以下の通りです。

  • 5年以上の実務経験を有する者
  • 4年以上の実務経験を有する者で、大学(※1)において検定職種に関する科目(※2)について20単位以上修得し、卒業したもの
  • 4年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験(※3)の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの又はこれと同等以上の講習を修了したもの
  • 3年以上の実務経験を有する者で、大学院(※4)において検定職種に関する科目(※2)について8単位以上修得し、修了したもの
  • 3年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験(※3)に合格したもの、又はキャリアコンサルタントであるもの(※5)
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「受検概要」
※1大学には、課程が学校教育法による大学の学士課程と同等の教育水準であると独立行政法人大学改革支援・学位授与機構によって認定された大学及び学校教育法による大学と同等以上と認められる外国の学校を含む。
※2検定職種に関する科目とは、研究科や専攻の名称にとらわれず、心理学・教育学・社会学・経営学・社会福祉学・看護学・その他の人間科学及び人事・労務管理関連科目のうち、協議会が認めたものに限る
※3キャリアコンサルタント試験とは、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第30条の4に規定するキャリアコンサルタント試験をいう。
※4大学院には、学校教育法による大学院の他、課程が学校教育法による大学院と同等の教育水準であると独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が認定した大学院及び学校教育法による大学院と同等以上と認められる外国の学校を含む。
※5キャリアコンサルタントであるものとは、職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタントであるものをいう。

上記のいずれかを満たせば、キャリアコンサルティング技能検定に挑戦することが可能となります。

受験生の中で最も多いのは「3年以上の経験&キャリアコンサルタント資格」によるもので、2番目が「5年以上の実務経験」となります。

キャリアコンサルティング技能士2級を目指す人は、自身が満たしている受験資格についてしっかり確認しておきましょう。

技能士1級の受験要件

キャリアコンサルティング技能士1級の受験要件は以下の通りです。

  • 10年以上の実務経験を有する者
  • 9年以上の実務経験を有する者で、大学※1において検定職種に関する科目※2について20単位以上修得し、卒業したもの
  • 9年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験※3の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの又はこれと同等以上の講習を修了したもの
  • 8年以上の実務経験を有する者で、大学院※4において検定職種に関する科目について8単位以上修得し、修了したもの
  • 8年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験※3に合格したもの、又はキャリアコンサルタントであるもの※5
  • 2級の技能検定に合格した者で、その後、3年以上の実務経験を有するもの
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「受検概要」
※諸条件については2級技能士の項目を参照

キャリアコンサルティング技能士1級の受験要件は非常に高く、2級合格者でも「合格後3年以上の実務経験」が必要なります。そのため、最低でもキャリアコンサルティングの実務経験が6年以上は無いと、1級検定に挑戦することは出来ないといえます。

技能士1級に挑戦する受験生の中で最も多いのは「技能士2級合格&合格後3年以上の経験」によるもので、2番目が「10年以上の実務経験」となります。

キャリアコンサルティング技能士1級の合格は非常に狭き門ですが、キャリアアップ・スキルアップのためには有用な検定試験です。そのため、自身が挑戦するためのルートをしっかりと確認して準備を進めるとよいでしょう。

キャリアコンサルティング技能検定の概要

ここではキャリアコンサルティング技能検定の試験形式や受験に必要な費用、合格ライン等の概要を解説していきます。

キャリアコンサルティング技能検定は、標準レベルキャリアコンサルタントと同様に学科試験・実技試験に分かれており、それぞれ解説していきます。

キャリアコンサルティング技能士2級の学科試験

キャリアコンサルティング技能士2級の学科試験については以下の通り開催されています

試験形式筆記試験
・回答方法:4択のマークシート形式
・問題数:50問(1問2点)
試験時間100分
合格ライン100点満点中70点
受験手数料8,900円
キャリアコンサルティング技能士2級の学科試験
※受験手数料は非課税となります

前述したように、キャリアコンサルティング技能士2級の学科試験は決して難しくありません。しっかり対策をしておけば十分合格を狙いやすい上、万が一実技試験が不合格になってしまった場合にも、学科試験に合格していれば次回試験は免除されます。

そのため、これから2級技能士に挑戦する方は、学科試験は確実に合格できるように徹底して対策するとよいでしょう。

キャリアコンサルティング技能士2級の実技試験

キャリアコンサルティング技能士2級の実技試験については以下の通りです。

論述試験出題形式記述式による回答
(キャリアコンサルティングケース1例に対して回答)
試験時間60分
面接試験
(ロールプレイ+口頭試問)
出題形式・ロールプレイ:実際の相談ケースのロールプレイを行う。
・口頭試問:ロールプレイを行ったキャリア相談ケースに対して、面接官からの質問へ回答する
試験時間30分
(ロールプレイ20分、口頭試問10分)
合格ライン論述:100点満点で60点以上の得点
面接:100点満点で60点以上の得点
※各評価区分ごとに満点の60%以上の得点が必要です。
受験手数料29,900円
キャリアコンサルティング技能士2級の学科試験
※受験手数料は非課税となります

技能士2級の試験は論述試験と面接試験で構成されており、ほとんど国家資格キャリアコンサルタント試験と同じ内容となっています。

ただし、面接試験の持ち時間は国家試験より長く、30分(ロールプレイ20分+口頭試問10分)の持ち時間で行われます。ロールプレイケースについては、受験票と共に複数の事例が事前に共有され、試験本番の際に自身の担当数ケースが分かる形となります。

キャリアコンサルティング技能士2級の実技試験は合格率の低い、難易度の高い試験となります。合格を目指す方は養成講座仲間や有料の試験対策講座、ロープレ練習会等を活用して対策を行うとよいでしょう。

キャリアコンサルティング技能士2級の面接試験における評価区分

キャリアコンサルティング技能士2級実技面接試験の評価区分は、以下の4つとなっています。

技能士2級実技面接試験の評価区分

  • 基本的態度
  • 関係構築力
  • 問題把握力
  • 具体的展開力

実技試験の合格を得るためには、論述・面接試験ともに60%以上の得点をが必要となりますが、上記4つの評価項目においても満点の60%以上が必要となります。

国家資格レベルキャリアコンサルタント試験と比較すると、足切りラインが高く実技試験の難易度を引き上げる要因となっています。

各評価項目で合格点を得るためには、自分自身の苦手な評価項目をしっかり把握したうえで対策を行うことが求められます。よりフラットな意見を取り入れて対策を行いたい場合は、2級技能士の対策講座等を探して申し込むとよいでしょう。

参照:キャリアコンサルティング協議会「2級実技(面接)試験実施概要」

キャリアコンサルティング技能士1級の学科試験

キャリアコンサルティング技能士1級の学科試験の実施概要は以下の通りです。

試験形式筆記試験
・回答方法:5択のマークシート形式
・問題数:50問(1問2点)
試験時間100分
合格ライン100点満点中70点
受験手数料8,900円
キャリアコンサルティング技能士1級の学科試験
※受験手数料は非課税となります

キャリアコンサルティング技能士1級は、学科試験も合格率が低い科目となっています。標準レベル~熟練レベルキャリアコンサルタントと違い「五肢択一」による回答を求められます。

問われる内容もより専門的になるので、試験対策の際にはしっかり過去問などを確認して学習を進めましょう。

参照:キャリアコンサルティング協議会「過去問題/学習情報」

キャリアコンサルティング技能士1級の実技試験

キャリアコンサルティング技能士1級の実技試験は、以下の内容で実施されています。

論述試験出題形式記述式による回答
試験時間60分
面接試験
(ロールプレイ+口頭試問)
出題形式・ロールプレイ:受験生がキャリアコンサルタントの指導者役となりロールプレイを行う。
・口頭試問:ロールプレイを行った事例指導ケースに対して、面接官からの質問へ回答する
試験時間
40分
(ロールプレイ30分、口頭試問10分)
合格ライン論述:100点満点で60点以上の得点
面接:100点満点で60点以上の得点
※各評価区分ごとに満点の60%以上の得点が必要です。
受験手数料29,900円
キャリアコンサルティング技能士1級の学科試験
※受験手数料は非課税となります

「指導者レベル」を求められるキャリアコンサルティング技能士1級の面接試験では、実際に「指導者役として事例指導を行う」というロールプレイを行います。

指導を通して事例相談者(キャリアコンサルタント)への気付きを促し、より良いキャリアコンサルティングの実施とキャリアコンサルタント育成のスキルを問う試験内容となっています。当該試験の受験資格を満たした人であっても、体系的に指導・育成をしてきた経験が豊富な受験生ばかりではないため、試験合格率は低く難易度が高い試験といえます。

キャリアコンサルタントの後進育成まで求められる1級技能士ならではの試験内容といえるでしょう。

キャリアコンサルティング技能士1級の面接試験における評価区分

キャリアコンサルティング技能士の実技面接試験の評価項目は以下の通りとなっており、項目としては2級技能士ト同様の内容となっています。

技能士1級実技面接試験の評価区分

  • 基本的態度
  • 関係構築力
  • 問題把握力
  • 具体的展開力

ただし、評価項目の内容としては「指導者レベル」だからこそ求められる内容となっており、例えば具体的展開力では以下のように定義をされています。

具体的展開力:事例相談者の問題を解決するために、適切な目標を設定し、効果的な指導を企画
することができること。事例相談者に対して、適切でわかりやすく、理論的・具体的な説明を行
うことができること。指導プロセスにおける個々のセッションの中で、事例指導者が企画した指
導方法を効果的に遂行するために、専門的な介入を行うことができるこ

引用:キャリアコンサルティング協議会「1級実技(面接)試験実施概要」

1級の実技試験では、自身のキャリアコンサルティング能力ではなく「キャリアコンサルタントを適切に指導するスキル」、いわゆる「スーパービジョン」を行うスキルが求められます。

そのため、キャリア相談に関する知識や経験が豊富であることは前提としつつも、それらを育成・指導に活かせるように体系的にスキルを身に付ける必要があるでしょう。

参照:キャリアコンサルティング協議会「1級実技(面接)試験実施概要」

キャリコン技能検定受験者の傾向から見る難易度

キャリアコンサルティング技能士試験における鬼門は論述と面接から構成される「実技試験」です。この実技試験の模範解答は公開されていませんが、「採点官から観た受験者の傾向」が過去問と共に公開されており、検定試験に挑戦する人にとっては貴重な情報源となります。

ここでは、第30回キャリアコンサルティング技能士2級の「実技面接試験」についての傾向を分析し、合格のために必要な要素を考察していきます。

第30回キャリアコンサルティング技能検定の傾向

以下は試験団体である「キャリアコンサルティング協議会」が発表した「第30回キャリアコンサルティング技能士2級の実技面接試験の傾向」です。

相談者への敬意が感じられる方が増えたと思います。また、よい支援をしたいという強い気持ちが感じられる場面も多く見られました。
一方で、試験という特殊な場面であるからだとは思いますが、相談者の問題は概ね理解することは出来ても、その問題を解決するための目標や方策について、十分な共有がされないケースが散見されました。またそれらが相談者の利益に繋がるものであればよいですが、抽象的であったり、紋切型と捉えられるようなものも見受けられました。
また今回の傾向として、キャリアコンサルタントの話す量が多く説明が冗長的であったり、目標や方策が単一的である場合が多かったことも気になりました。
以前の「受検者の傾向」でもお伝えしたことと重複しますが、まずは目の前にいる相談者にきちんと向き合って欲しいと思います。相談は、相談者とキャリアコンサルタントとの共同作業で成立します。対人援助職としての基本を常に見直していただくこと、そして試験においても実際の相談場面で意識されていることを実践していただきたいと思います。

引用:キャリアコンサルティング協議会「2023 年度前期2級実技(面接)試験 面接試験官から観た受検者の傾向」

上記を見ると、技能検定2級の傾向として、「目標・方策の共有」に課題がある受験者が多かったことが分かります。これは、相談者へ提示される目標が「抽象的」であったり、「型通りの回答」になってしまっていたことが原因と考えられます。

キャリアコンサルティング技能検定はあくまで「試験の場」ではありますが、合格を得るためには実際のキャリア相談を想定した場の実践力が求められます。2級技能士では「熟練レベル」の水準が求められており、国家資格者や実務経験が長い受験生でも上記のような傾向が出来ることから、難易度の高い検定であることが分かります。

前提として、相談者の悩みはその相談者だけが持つ唯一無二のものです。ステレオタイプに方にはめてキャリア支援を行うのではなく、パーソンセンタード・アプローチの考え方・態度をベースに相談者のことを理解する姿勢が求められます。そのうえで、その相談者に「どんな支援が必要か」をキャリアの専門家として考え、目標や方策の形に落とし込んで助言を行う必要があるのです。

技能検定の「試験対策」を意識しすぎてしまうと型通りのロールプレイになりがちなので、対策を行う際には「熟練レベルとしての実践力をつける」という視点でスキルを磨くとよいでしょう。

キャリアコンサルティング技能検定の試験対策方法

本記事ではここまでを通して、キャリアコンサルティング技能検定に合格する難易度が非常に高いことをお伝えしてきました。それでは、検定合格を目指す場合にはどのような勉強方法・試験対策方法があるのでしょうか?

結論からお伝えすると、キャリアコンサルティング技能検定は独学で対策を行うのが難しく、合格を目指す際には試験対策講座を受講するのが望ましいといえるでしょう。

独学が難しい理由としては、技能士2級では高いキャリアコンサルティング能力を求められ、1級の実務試験では指導者レベルの確認のために「スーパービジョンの場面を想定したロープレ」を行います。普段の仕事を通して実務に携わっている人であっても、自身のクセや弱点に自分で気づくことは難しく、スキルアップのためには第三者の目線とアドバイスが必要となります。

技能士合格を目指す人の大半は、何かの形でキャリア支援や人材育成に携わっている人になります。そのため、仕事に活かせるスキルアップのためにも、対策講座の受講等を通してスキルアップと検定合格を目指すとよいでしょう。

キャリアコンサルティング技能士取得のメリット

キャリアコンサルティング技能士を取得するメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

代表的な検定合格のメリットは以下の通りです。

キャリコン技能検定に合格するメリット

  • 上位資格として仕事に活かせる
  • 国家資格更新における講習が初回免除
  • 更新期限が無い

上位資格として仕事に活かせる

キャリアコンサルティング技能士を取得するメリットとして最も大きいものとして、「仕事に活かすことが出来る」という点が挙げられます。

キャリアコンサルタントの上位資格である技能検定に合格することで、自身の能力の証明を行うことが出来ます。それによってクライアント獲得に繋がったり、企業内のキャリア関連事業の提案に繋がることもあるようです。

また、キャリアコンサルタント養成講座の講師職は「技能士2級以上が望ましい」という応募要件となっているものも多く、キャリアコンサルティング技能士を取得することで仕事の幅を広げることが可能となります。

国家資格更新における講習が初回免除

キャリアコンサルティング技能検定の資格を取得することで、キャリアコンサルタント資格更新に必要な講習が免除になるケースがあります。

更新講習が免除になるケースには以下の2種類があります。

キャリアコンサルタント更新講習が免除になるケース

  • キャリアコンサルティング技能検定1級合格:毎更新時の技能講習が免除
  • 技能検定1級もしくは2級に合格:合格時の次回更新に限り知識講習・技能講習ともに免除

いずれの場合においても、更新申請自体は必要なので忘れずに手続きを行いましょう。

キャリアコンサルティング技能士は更新期限が無い

キャリアコンサルタント国家資格と違い、キャリアコンサルティング技能士の資格には有効期限がありません。

そのため、「技能検定を取得したら国家資格の更新とは別に講習が必要」ということにはならないので、安心して資格取得を目指すことが出来ます。

キャリアコンサルティング技能士取得のデメリット

キャリアコンサルティング技能士取得を目指すうえで、デメリットはあるのでしょうか?

ここではキャリアコンサルティング技能士取得において理解しておくべき注意点を取り上げます。

キャリコン技能検定に合格するデメリット

  • 国家資格同様に独占業務は無い
  • 受験料が必要

検定試験に合格するデメリットはほとんどありませんが、念のため以下をしっかりと確認しておきましょう。

国家資格同様に独占業務は無い

キャリコンサルティング技能士1級・2級ともに、「独占業務」はありません。そのため、国家資格であるキャリアコンサルタント資格同様に「資格を取得しないと出来ない仕事」は基本的にありません。そのため、キャリアコンサルティング技能検定に合格しても、それ自体が仕事に直結するケースは少ないといえます。

ただし、キャリアコンサルタント養成講座の講師等、求人によっては「キャリアコンサルティング技能士2級以上」が条件として求められる場合も増えているようです。

また、技能士を取得することで他キャリアコンサルタントと差別化も可能になるので、結果的に仕事の獲得に結び付くこともあるでしょう。

受験料が必要

キャリアコンサルティング技能検定を受験する際、1級・2級とも総額38,800円(学科8,900円+実技29,900円)が必要となります。

技能士受験にあたっては養成講習等に通う必要はありませんが、受験手数料は必ずかかる費用となります。

そのため、キャリアコンサルティング技能士を目指す際は「何のために検定合格を目指すのか」という自身の目的を定めたうえで、費用と天秤にかけて考えていきましょう。

キャリアコンサルティング技能士は取得すべきなのか

ここまで、キャリアコンサルティング技能士の難易度や資格取得におけるメリット・デメリットを解説してきましたが、「結局、検定合格を目指すべきかどうか分からない」と悩む人は多いのではないでしょうか。

結論としては、キャリアコンサルティングをはじめとしたキャリア支援を生業にしている人であれば、「検定合格を目指すべき」だと考えられます。

キャリアコンサルティングに関わる仕事には正解がないケースが多く、少しでも良い支援をして「最適解に近いキャリアサポート」を行うことが求められます。そんな中においては、最新の経済情勢やキャリア理論、カウンセリングスキルは常に自己研鑽しておくことが必須となり、その自己研鑽の結果を確認する手段として「キャリアコンサルティング技能検定」は最適だといえます。

また、キャリアコンサルタント養成講座の講師等の「後進育成」に関わる人も、自己研鑽のために積極的に検定合格を目指すとよいでしょう。

まとめると、キャリア支援を本業にしている人や、キャリアコンサルタント養成講座の講師等をしている人であれば、積極的に検定合格を目指し、自己研鑽と自身のレベルの確認手段として活用するとよいといえるでしょう。

キャリアコンサルティング技能士の難易度に関するよくある質問

キャリアコンサルティング技能士の取得難易度のよくある質問について解説させていただきます。

キャリアコンサルティング技能士2級の合格は難しいですか?

キャリアコンサルティング技能士2級は実務経験が最低3年以上必要なことに加え、実技試験の合格率は20%以下となっており、国家資格キャリアコンサルタントと比べると難易度の高い検定試験といえるでしょう。

キャリアコンサルティング技能士1級は難しいですか?

キャリアコンサルティング技能士1級の難易度は非常に難しく、実技試験の合格率は10%以下となっています。

「指導者レベル」に位置づけられる1級技能士は2023年3月末時点で621人しかおらず、非常に狭き門であることが分かるでしょう。

キャリアコンサルティング技能士取得のメリットはありますか?

国家資格キャリアコンサルタントの上位資格にあたる技能検定に合格することで、顧客に対して自身のスキルを客観的に証明することが可能です。

また、技能検定に合格することでキャリアコンサルタントの最初の更新のための講習が免除されるなどのメリットがあります。

キャリアコンサルティング技能士の難易度まとめ

国家資格の上位に位置づけられた「キャリアコンサルティング技能士」は1級・2級ともに難易度が高く、その分、合格すれば自身のスキルの証明になる資格です。

ただし、独占業務等は無いので「何のために技能士を目指すのか」という目的をしっかり考えたうえで、キャリアコンサルティング技能士取得を目指すとよいでしょう。

キャリアコンサルティング技能士とは?難易度や検定合格のメリットを解説

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