転職エージェントの費用はなぜ無料？利用の仕組みや注意点を解説

転職エージェントを利用する際、求職者は基本的に無料で利用できます。ですが「なぜ無料なのか」「後から利用料を請求されるのではないか」と疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

上記の疑問を解消するため、本記事では転職エージェントの費用が無料である理由や仕組みについて詳しく解説していきます。

転職エージェント利用の流れやメリット・デメリット、エージェント以外の人材サービスの紹介まで、網羅して解説していくので興味がある人は是非チェックしてみてください。

転職エージェントの費用はなぜ無料？

転職エージェントを無料で利用できる理由は、紹介先の企業から手数料をもらっているからです。

転職エージェントのビジネスモデルは、企業に転職者を紹介し入社が決定した際に成功報酬という形で紹介手数料を受け取る形式となっています。求人者から受け取る紹介手数料が主な収入源のなるので、求職者から常習を受け取ることはありません。

また、基本的に転職エージェントを含む人材紹介会社は、職業安定法により求職者側から報酬を得ることが禁じられています。そのため、求職者は転職エージェントを無料で利用することが可能となっています。

参考：e-GOV法令検索「職業安定法」

転職エージェントの企業からもらう成功報酬の相場は？

転職エージェントの企業からもらう成功報酬の相場は、入職者の年収の20～30％程度です。

例えば、成功報酬30％の転職エージェント経由で年収500万円の人を入社した場合、成功報酬は150万円とかなり高額です。

厚生労働省の調査によると、民間の職業紹介事業者に支払う成功報酬の料率は平均20.7％となっています。1人あたりの平均手数料額は107万円となっています。

このように人材紹介事業は1人転職性呼応した場合に受け取れる報酬単価が高いビジネスのため、転職者に対して手厚いサポートをすることができるといえます。

転職エージェントが企業から受け取る紹介手数料の相場は年収の20～30％

参照：厚生労働省「職業紹介事業関係」

企業はなぜ転職エージェントを使うのか

ではなぜ多くの企業は、高額な成功報酬を払ってまで転職エージェントを利用するのでしょうか。理由として、企業の採用担当者が転職エージェントを利用することで得られる以下のメリットが挙げられます。

まず一つ目に、転職エージェントが企業よりも先に転職者と面談を行うため、自社に合わない人材を代わりにスクリーニングしてもらうことができます。人気の大手企業等の場合は求人を出すと応募が殺到することもあるため、企業の人事担当者としては転職エージェントを利用したほうが効率的に採用活動が行えるのです。

二つ目に、自社HPで採用ページを作成して人材を募集するよりも、圧倒的に集客力のある転職エージェントを使った方が低コストで人を集められる点です。少子高齢化に伴って人材不足が続いている現代では、自社のみで集客を行うのが難しく、転職エージェントに頼らざるを得ない状況といえます。

最後に、優秀な人材にリーチできる点があります。会社に利益をもたらし成長の原動力となるような人材はなかなか見つかりません。そこで転職エージェントの高い集客力を活かすことで、優秀な人材が自社の選考を受けてくれる確率を高めることができるのです。

転職エージェント利用の流れは？

ここでは、転職エージェント利用の流れを紹介していきます。

以下のようなフローで利用が進みます。

それぞれ解説していきます。

①利用申し込み

まずは転職エージェントに利用申し込みを行いましょう。

転職エージェントを利用するにあたって、以下のような情報をフォーム入力や履歴書の提出を通して提供する必要があります。

申し込みが完了すると転職エージェントにサービス登録されます。

②面談（電話・対面・web）

転職エージェントに登録した後は、担当キャリアアドバイザーと初回の面談を行います。

面談は対面以外にも電話やwebで対応することが可能です。在職中の転職活動で、時間を節約したい人には電話やwebがおすすめです。対面と特に内容は変わりません。ただし対面に比べるとやや情報は伝わりにくいでしょう。

転職エージェントとの面談は、以下のようなことが行われます。

これまでのキャリアの振り返り・棚卸し

担当のキャリアアドバイザーの質問に答えながら、これまでのキャリアの振り返りや強み・スキルの棚卸しを行います。転職のプロであるキャリアアドバイザーが客観的な視点で強みを見出してくれるといったメリットもあります。

希望条件のすり合わせ

希望する職種や業界、年収、働き方など条件のすり合わせを行いましょう。この時点で希望条件がふわっとしている場合でもキャリアアドバイザーとコミュニケーションを重ねる中で明確化してくることもあります。

また、求職者の希望する条件が、現在保有しているスキルや能力、経験でも実現可能か、といったアドバイスも客観的に行ってもらえるでしょう。

転職の軸や目的の明確化

なぜ転職したいのか、転職で実現したいことは何なのか、大切な転職の軸や目的を明確化することも面談の中で行います。キャリアアドバイザーと話をすることでぼんやりしていた転職の軸がはっきりしたという人も多いです。

面談は1回で終わることもあれば、複数回にわたって実施されるケースもあります。

また、注意点として面談で転職意欲が薄いと判断されてしまった場合は、サポートが手薄になってしまいます。転職エージェントのキャリアアドバイザーも営業数字に追われているため、成功報酬につながらない求職者にはあまり時間を割けないものです。

面談時にはやる気をアピールする、過去の職歴や希望条件をすぐに答えられるように事前準備しておくといったことをするとよいでしょう。。

③求人の紹介

面談でわかった求職者の希望条件やスキル・職歴に合わせて、エージェントがマッチした求人を紹介してくれます。

転職エージェントによって、保有している求人の数や傾向が異なります。そのため、自分に合わないエージェントを選んでしまうとマッチした求人が紹介してもらえないことも。転職エージェント選定を慎重に行う、複数併用するといった対策を行いましょう。

④応募

キャリアアドバイザーに紹介してもらった求人の中から、気に入ったものに応募しましょう。エージェントによっては面接日程の調整までしてもらえることもあります。

また、応募数は「20社応募してください」と言われることも多いですが、そこは自分次第なので気になる求人にいくつか応募することをおすすめします。

⑤並行して書類作成や面接対策のサポート

求人紹介と並行して、選考が通過しやすくなるように書類作成や面接対策のサポートをしてもらえる転職エージェントが多いです。

書類作成では履歴書や職務経歴書の添削をしてもらえます。フォーマットに沿った正しい書き方ができているか、強みをわかりやすくアピールできているか、細かな文章の間違えはないかといった視点でチェックしてもらえます。

また、面接対策では、実際にキャリアアドバイザーと1対1で面接練習をできるところが多いです。転職のプロであるアドバイザーから、第三者の視点でアドバイスがしてもらえますので積極的に活用するとよいでしょう。時に、これから選考を受ける企業で実際にあった質問と回答例を示してくれる場合もあります。

⑥内定

転職エージェント経由で内定が決まったら、入社するかどうかの確認が行われます。

内定承諾を催促されるケースもあります。転職先で働くのは自分なので、催促されたからと言って焦らず、入社したいと思った会社をしっかりと見極めることが大切です。

⑦内定後の給与交渉や退職のサポート

転職エージェント経由の内定先に入社を決めた後も、以下のように入社までサポ―トをしてもらえます。

給与交渉など、自分ではなかなか企業に言い出しづらいものです。転職エージェントは経験値が豊富で企業との交渉にも長けている場合が多いので、遠慮せず積極的に相談しましょう。最大限に活用することが大切です。

転職エージェントのメリット

転職エージェントを利用するメリットは以下の通りです。

転職エージェントを効果的に活用することで上記のようなメリットを得られるため、転職活動を通して実現したい目標の達成に近づくことが可能となります

それぞれ詳しく解説していきます。

自分に合った求人を代わりに探してくれる

転職エージェントは、面談で得た情報をもとに求職者の条件に合った求人を紹介してくれます。

自分自身で転職サイトから求人を探すのは、意外と時間も手間もかかるものです。また、膨大な量の求人情報から自分に合った求人を見逃してしまうこともあります。転職エージェント経由であればその部分を代行してもらえるので時短につながるでしょう。

また、「自分のスキルや強みがなにかわからない」という方も、転職のプロである転職エージェントを利用すれば、自分では気づいていないスキルや強みを活かせるピッタリな求人を紹介してくれる可能性が高いです。

「忙しくて求人を探す時間がない」「自分に合った求人がなかなか見つからない」という方にとって、転職エージェントを利用することは大きなメリットだと言えます。

好条件な非公開求人を紹介してもらえる

転職エージェントは、好条件な非公開求人を抱えている場合があります。

非公開求人が一般に公開されていない理由には以下のようなものがあります。

上記のような理由から、企業はあえて求人を非公開にして、転職エージェントに採用を任せているケースがあります。

大手企業勤務や好待遇求人等、非公開求人には魅力的な求人が多く含まれています。転職サイトや各企業のホームページではなかなか出会えないような求人も、転職エージェント経由であれば見つかる可能性があると言えるでしょう。

そのため、非公開求人を含めて求人から転職活動を行いたい場合は、まずは自身と相性の良い転職エージェントを探して登録しておくとよいでしょう。

応募先企業の情報を提供してくれる

転職エージェントは、企業の採用担当者だけでなく、経営層とも直接かかわりがあることが多いです。ネット上では得ることが難しい、以下のような有益情報を持っている場合もあります。

求人情報や企業のホームページだけではわからないような情報を事前に提供してもらうことで、面接や企業選びに役立ちます。

また、企業から信頼を勝ち取っているやり手のキャリアアドバイザーであれば、応募先の会社に推薦をしてもらえる場合もあります。推薦をしてもらえると、書類選考が免除されたり、いきなり最終面接からになったりと、特別な選考フローを受けることができます。また、「○○さんの推薦なら、、」と始めから選考で優位に立つことができることもあるでしょう。

転職エージェントを利用する場合のデメリット

転職エージェントを利用する場合のデメリットは以下の通りです。

転職エージェントは転職活動を円滑にするサービスですが、賢く活用するためにはデメリットについても理解しておく必要があります。

上記の代表的なデメリットについて、詳しく解説していきます。

自分のペースで進められない

転職エージェントを利用すると、自分のペースて就職活動を進めづらくなるケースがあります。自分のペースで進められなくなる主な要因は以下の通りです。

転職エージェントのサービス構造上、登録後いきなりすぐに求人に応募することは難しく、一度キャリアアドバイザーとの面談を挟む必要があります。そのため利用申し込みから初回の応募まで大体1～2週間程度期間が必要になる場合があります。そのため、すぐに転職を進めたい人にとっては大きなデメリットでしょう。

また、キャリアアドバイザーと連携して進める必要もあります。進捗確認や求人紹介で頻繁に連絡が来ますので、こまめに返信する必要がありやや手間です。そのため、のんびり進めたい人にもあまり向いていません。

内定が出た後も、成功報酬欲しさから承諾を催促してくる場合があります。言われるがままに、志望度が高くない企業に応募してしまわないよう注意が必要です。

多くの求人を比べることは難しい

転職エージェントは転職サイトなどとは違い、掲載されている求人を比較して検討するのにはあまり向いていません。

「でも、転職エージェントのwebサイトを見ると、求人が大量に掲載されているのでそんなことないんじゃないか」と思った人も多いのではないでしょうか。

実は、転職エージェントが掲載している求人の多くは”おとり求人”と呼ばれ、企業から委託を受けていない求人を勝手に掲載しているものなのです。そのため、実際に応募してみても、エージェントサービスに登録されて他の求人を紹介されるだけというケースが多いです。

一方で転職サイトの場合は、企業と契約して掲載している求人がほとんどなので、見比べながら気に入った求人があれば応募することができます。応募情報は直接各企業に届きます。

担当のキャリアアドバイザーと相性が合わない場合がある

有名な転職エージェントであったとしても、所属しているキャリアアドバイザーのスキルや人柄は様々です。

実績豊富で頼りになるキャリアアドバイザーが担当につく場合もあれば、新人で専門知識を持っていないキャリアアドバイザーが担当になる場合もあります。また、人間同士なのでどうしても相性が悪いといったことも考えられる。

転職エージェントを使って転職を成功させるためには、キャリアアドバイザーとの相性は非常に大切です。自分と合わないなと感じた場合は遠慮せずに担当変更を希望しましょう。直接本人に伝えずらい場合は、転職エージェント自体の問い合わせフォームから依頼するとよいでしょう。

転職エージェント以外の人材サービス｜メリット・デメリットを比較

ここでは、転職エージェントとそれ以外の人材サービスのメリットやデメリットを比較していきます。

それぞれ解説していきます。

転職エージェント

まずは、転職エージェントのメリットやデメリットを改めて整理いたします。

転職エージェントのメリット	転職エージェントのデメリット
・自分に合った求人を代わりに探してくれる ・好条件な非公開求人を抱えている ・応募先企業の情報を提供してくれる	・自分のペースで進められない ・多くの求人を見比べることができない ・担当のキャリアアドバイザーと相性が合わない場合がある ・転職エージェント利用に向いていない人がいる

ご覧の通り、転職エージェントは転職サポートが受けられる、求人を代わりに探してくれるといったメリットがあります。一方で自分のペースで進められない、求人の見比べができないのは人によっては大きなデメリットと言えるでしょう。

転職サイト

転職サイトは、さまざまな業界や職種の求人が多数掲載された求人情報媒体です。求職者がサイト上で絞り込みや検索を行い、各企業に直接応募できるサービスです。

ネット上で求人を探して、登録後に応募をするだけなので、ほとんど手間なく応募できる点が大きな特長です。

転職サイトのメリットとデメリットは以下の通りです。

転職サイトのメリット	転職サイトのデメリット
・求人情報が詳しく掲載されているので選びやすい ・求人検索機能が優れていて探しやすい ・大企業や専門職の求人数も多い ・登録したらすぐに応募できる ・自分のペースを転職活動ができる ・転職先をじっくり時間をかけて決定できる ・登録しても「面談しませんか？」などのしつこい電話がこない ・自分のことはすべて自分できめることができる	・転職活動に関する相談をすることはできない ・面接対策や書類の添削サービスは基本ない給与などの条件交渉を自分で行う必要がある ・すべて自分で準備を進める必要がある

人材派遣会社

人材派遣会社とは、特定のスキルを持った人材を雇い、その人材を求めている企業に提供する会社です。

派遣会社の社員は企業に派遣され、派遣先の企業の業務に従事するという仕組みです。所属は派遣会社になります。

派遣社員は期間限定で決まった業務を行うことから、正社員よりライフスタイルに合わせた働き方ができる点が魅力です。

人材派遣会社のメリットとデメリットは以下の通りです。

人材派遣会社のメリット	人材派遣会社のデメリット
・プライベートを重視した働き方ができる ・いろいろな職場で幅広い経験が積める	・雇用が安定していない ・責任や裁量の大きい仕事はできないことが多い

人材派遣会社を利用し、派遣社員として働く場合、基本的に期間限定の契約となります。また、派遣先の会社事情で突然契約を打ち切られることも。正社員に比べると安定性に欠けると言えます。また、責任や裁量の大きい仕事は基本的に派遣に依頼しないという会社も多いです。

一方で前述の通り、プライベート重視の働き方ができる点や、幅広い職場で経験を積めるといったメリットもあります。

転職エージェントの費用に関するよくある質問

ここでは、転職エージェントの費用に関するよくある質問に対して、Q&A形式でお答えしていきます。

個人の転職エージェントも無料ですか？

個人の転職エージェントの利用も、基本的には無料です。

転職エージェント事業は、「企業からの報酬」で成り立っているため、個人のエージェントだとしても求職者側から利用料をとるメリットはあまりありません。

また、職業紹介事業者として登録している場合は、そもそも手数料をとることが禁じられています。

成功報酬型求人サイトとはなんですか？

成功報酬型求人サイトとは、求人掲載は無料ですることができ、企業に人材が入社した時点や応募が入った時など成果が出たタイミングで料金を支払うというサービスです。

人材紹介と広告型転職サイトの中間のような存在です。

従来の求人サイトは「求人掲載をするために料金を払う」ことが主流でした。この仕組みだと、お金をかけて求人掲載をしたにもかかわらず、応募も採用もなく費用や時間が無駄になってしまうことがありました。

成功報酬型求人サイトの場合、掲載するだけの時点では料金は発生しません。企業にとってはより効率的な採用活動ができるというメリットがあります。

転職エージェントの費用が無料の理由まとめ

転職エージェントの費用が無料である理由や仕組みについて、おわかりいただけましたでしょうか。転職エージェントは求職者の転職支援が成功した際に、企業から成功報酬を得ることで運営しているビジネスモデルです。

職業安定法により求職者から手数料をとることはできませんので、安心して無料でご利用いただけます。

自分に合った求人を探してもらえる、書類添削や面接対策といった転職サポートが受けられるなど様々なメリットがあるので、積極的に活用することをおすすめします。

ただし中には転職エージェントが合わない人もいます。自分のペースで進めたい、様々な求人を見比べたいと考える人は転職サイトを利用するとよいです。

自分にあった転職サービスを選ぶことが、転職成功のポイントです。