転職エージェントを利用するにあたり、こんな風に考えている人は多いのではないでしょうか?
- 「転職エージェントに登録したけど、活用しきれていない気がする」
- 「転職活動=転職エージェントのイメージがあるけど、何か気をつけることはある?」
- 「自分に合う転職エージェントって、どう見極めればいいの?」
いざ「転職」を考えた時に、これらの疑問や不安が浮かぶ人も少なくないでしょう。
近年、「転職」は一昔前より身近なものとなりました。「転職エージェント」についても同様に、面談を経験した方、利用を検討した方、あるいは友人知人からその話を聞いたことがある方も増えてきたのではないでしょうか。
ただ、身近になったとはいえ、「転職」はとても大きな決断です。
転職エージェントを利用する機会も人生でそう何度もあるわけではないですし、重要だからこそ情報収集をするなかで、SNSやネット上のネガティブな声に触れ、登録や利用に躊躇してしまう方もいるかもしれません。
しかし!「転職支援のプロ」とも言える転職エージェント。活用しきれないのはもったいない!
本記事では転職エージェントの役割とビジネスモデルを解説しつつ、以下の「転職エージェントの活用方法」をお伝えしていきます。
- 結局、どんなサポートをしてくれるの?
- 経験者だからこそ分かる、利用するメリットは?
- 良い転職エージェントと出会いやすくするには?
- 転職エージェントを利用する上で気をつけた方がいいことは?
転職エージェントは、求職者の転職活動を多角的にサポートしています。
本記事では、その具体的なサポート内容、メリット、トラブル時の対応や活用のコツを、大手転職エージェントでの勤務経験を持つ元キャリアアドバイザーである筆者が、実体験に基づいた情報を交えて詳細に解説します。
この記事の読者の皆様が転職エージェントをより効果的に活用し、理想のキャリアを築く一助となれば幸いです。
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転職エージェントとは?
転職エージェントは、「採用したい企業」と「転職したい求職者」の間に立ち、双方のニーズを満たすための仲介役を果たしています。
具体的には、以下の2つの役割を持っています。
転職エージェントの役割
- 企業の採用支援
- 求職者の転職支援
それぞれの役割と転職エージェントのビジネスモデルについて、下記に詳細を解説していきます。
企業の採用支援
採用を検討している企業から、求める人材の経験・スキル、人物像、給与などの条件を詳細に確認し、これを基に求人情報を保有します。
転職エージェントが要件に合った人材の紹介や、転職希望者へのアプローチも行うことで、企業は自社のみで採用活動するよりも手間が省け、採用成功の確率が高まります。
求職者の転職支援
一人ひとりの経験や希望を詳しくヒアリングし、保有求人の中から適した求人を提案します。
転職エージェント内部で蓄積している情報の提供や、応募や内定に向けた支援も行うため、求職者は自分一人で転職活動するよりも情報・支援を得られやすくなり、転職成功に近づくことができます。
全国に何百万社とある企業と、何百万人といる転職希望者。
その転職エージェントの「取引先(企業)」と、登録のある「利用者(求職者)」との間で、双方の情報を整理して、出会いを繋げる役割をしています。
転職エージェントのビジネスモデルを解説
次に、転職エージェントはどのように収益を上げているのか、ビジネスモデルを見てみましょう!
ビジネスモデルを把握することで、転職エージェントを利用する際にそのサービスの背後にある意図や動機をより理解しやすくなり、結果としてより効果的な活用方法やコツが掴みやすくなります。
成功報酬型の仲介業
一言で表すと、「成功報酬型の仲介業」です。
転職エージェントがクライアント企業に人材を紹介し、その人材が採用されると、企業から報酬を受け取るビジネスモデルとなります。
この報酬は「紹介手数料」とも呼ばれ、一般的には求職者の想定年収の30%前後が相場とされています。例えば年収500万円の場合、約150万円前後の利益が発生します。
特に採用が難しい職種や、人手不足の企業では、相場よりも高い手数料率が報酬として設定されることもあります。
求職者は無料で利用できる
このビジネスモデルのおかげで、求職者は書類の添削、面接対策、企業情報の提供など、転職活動に必要なサポートを無料で受けることができます。
転職活動は多くの疑問や不安を抱えるもの。そんな中、時間や回数の制限なく、情報を持った相手に相談できるのは、転職活動の大きなアドバンテージにもなります。
早期退職した場合は返金制度が適用
転職エージェントが報酬を得るのは、紹介した求職者が入社した月末や、翌月末が一般的です。しかし、新しく入社した人がすぐに退職してしまった場合、高額な紹介手数料が無駄になってしまうため、企業にとっては大きな損失です。
そこで、このようなリスクを緩和するために、多くの転職エージェントは「返金制度」を採用しています。
これは紹介者が早期退職した際に紹介料の一部を返金する制度で、退職までの期間に応じて返金の割合が変わり、一般的には3ヶ月前後の保証期間が設定されています。退職が早ければ早いほど、返金の割合も高く設定されているのが特徴です。
転職エージェントが求職者のためにも頑張ってくれる理由は?
「企業が転職エージェントにお金を払っているのだから、エージェントは企業側の都合だけを考えて動くのでは?」と疑問を持つ方も少なくないでしょう。特に、「転職を無理に勧められる」「良い企業だと誤った情報を伝えられる」といった転職エージェントに対するネガティブな意見は、時折耳にすることがあります。
しかし、転職エージェントのビジネスモデルを考えると、そういった疑念は払拭されます。転職エージェントが求職者のためになるように動いてくれる主な理由は以下の3点が挙げられます。
転職エージェントが求職者のために動く理由
- 成果報酬型のビジネスモデル
- 求職者のニーズを無視できない
- 徒労にしないための情報すり合わせ
成果報酬型のビジネスモデル
エージェントは「成果報酬型」であり、求職者が企業から「内定」を得て、さらに「入社」することで初めて報酬が発生するのです。
これは、単に企業の都合だけを優先しても、報酬は得られないことを意味します。
求職者のニーズを無視できない
求職者が興味を持たない企業に応募することはありませんし、無理に面接を受けさせても内定は得られません。
そして、内定が出ても、求職者が入社を望まなければ紹介手数料は発生しないため、転職エージェントの努力は報われません。
このため、求職者の希望やニーズを真摯に受け止め、適切な企業を紹介する必要があります。
徒労にしないための情報すり合わせ
さらに、求職者が短期間で退職すると、売り上げたはずの手数料を企業に返還しなければなりません。
これを防ぐためには、企業の魅力的な情報だけでなく、入社後に懸念となるような情報も事実に基づいて情報提供することで、「話と違う!辞める!!」という事態を避けることができます。
転職エージェントのビジネスモデルは求職者の成功を前提としています。
この構造があるため、希望する企業への内定獲得を共に目指し、一丸となって取り組むことができるのです。
転職エージェント利用の流れ
では、実際にどんな流れで転職エージェントを利用し、どのようなサポートを受けることができるのでしょうか。順を追って見ていきましょう。
転職エージェントを利用する際の流れは以下の通りです。
転職エージェント利用の流れ
- 転職エージェントに申し込む(無料登録)
- 転職エージェントから連絡
- キャリアアドバイザーと面談
- マッチした求人の紹介
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 応募・面接
- 内定・退職交渉・入社
転職エージェントに申し込む(無料登録)
転職エージェント利用の第一歩は、公式ホームページからの会員登録です。
この登録は無料で、気軽に始めることができます。ここでの情報入力が、後のサポートの基盤となりますので、正確かつ丁寧に行いましょう。
転職エージェントから連絡
登録が完了すると、通常1週間以内に転職エージェントからキャリアアドバイザーとの面談の連絡が届きます。
この段階で、あなたの転職活動が本格的にスタートします。
キャリアアドバイザーと面談
次に、キャリアアドバイザーとの1対1の面談が行われます。
この面談は、対面、オンライン、電話のいずれかの方法で実施され、所要時間は約1時間~1時間半です。
ここでは、あなたのキャリア、希望、スキルが詳細にヒアリングされ、転職の方向性をすり合わせます。
マッチした求人の紹介
転職の方向性が決まった後、キャリアアドバイザーがあなたのスキルや希望条件に基づいて、求人の紹介を行います。
ここで紹介される求人には、一般には公開されていない非公開求人も含まれるため、より幅広い選択肢から希望に合った企業を見つけることができます。
履歴書・職務経歴書の添削
企業への応募前には、キャリアアドバイザーによる書類の添削サービスが受けられます。
誤字脱字のチェックだけでなく、採用担当者が興味を持つような効果的な書き方のアドバイスも期待できます。
応募・面接
選定した企業への応募が始まります。書類選考を通過すれば、次は面接です。
この大切なフェーズにおいては、面接対策を受けることができます。一人で試行錯誤するよりも、自信を持って挑むことができます。
内定・退職交渉・入社
最終面接を通過すれば、いよいよ内定です!
この段階では、キャリアアドバイザーは入社日の調整や年収などの条件交渉のサポートを提供してくれます。
初めての転職の場合、一般的な退職交渉の進め方について助言もあるでしょう。転職を行うにあたり、気になることは遠慮せず相談しましょう。
転職エージェントの効果的な活用方法
転職エージェントを通して選考を進めるメリットは、下記の通り多く挙げられます。
転職エージェントのメリット
- 採用市場、選考に関する豊富な情報を得られる
- 選考突破に向けた各種サポート(添削、面接練習、選考の援護射撃など)うけられる
- 日程調整、応募手続きなどの手間の削減できる
- 無料で利用できる
- 非公開求人にアクセスできる(管理職募集や新規事業など)
- 経歴スキルや希望に加え、内定可能性も加味した求人提案
この中でも、「情報」と「サポート」は、他の転職サービスでは得にくい特筆すべきメリットです。
私もかつて転職エージェントとして活動していましたが、現在は「求人紹介なしのキャリア相談」を手掛ける立場から、これらの要素の真価を改めて感じています。
転職エージェントの持つ広大な「情報量」や多角的な「サポート」は利用するうえで大きなメリットですが、多くの利用者が十分に活用しきれていないのが現実です。
「こんなこともできるの?」と驚かれることも多く、「社内には情報があるものなの?」と知らない方も少なくありません。これらのサービスや情報は、一般的に知られている以上に多岐にわたり、その隠れた価値を最大限に引き出すヒントをお伝えします。
採用市場に関する豊富な情報を得られる
転職エージェントが提供できる「情報」は、一般的なデータにとどまりません。
毎日のように実際の「転職」と「採用」を支援しているので、個人と企業の両方から、まさに“生”の声や動向を見聞きする立場にあります。それゆえに、まだ統計にも現れないような最前線の情報が入ってくるのです。
採用活動から見える、企業の活況度
採用活動は、その企業の経営状況や活動の活発さを示す指標とも言えます。
急激に人員を増やす必要がある企業は、新しいプロジェクトや新規事業の展開、支店の拡大など、挑戦的な取り組みが進行中である可能性が高いです。
また、高額な採用コストを払うことから、そのポジションには大きな期待が寄せられていることも伺えます。実際、私たちが日常的に利用するサービスの中にも、特定の時期に大量の求人が出た背景には、そのような状況があったかもしれません。
市場の動向と先読み
一方で、採用活動が鈍化する業界や、高額な採用コストを避ける動きも見受けられます。
景気が悪くなり始めた時、「新規採用」は一番最初に削るコストとも言われており、特に転職エージェントのように高額なサービスは優先的に削られやすいもの。
「最近は求人が少なくなり始めた」「急に採用が止まってしまった」なんて話題は、採用支援をしている転職エージェントに素早く・たくさん集まってくる傾向にあります。
求人の増減を肌で感じることで、業界全体の先行きに対する慎重な姿勢や、経済的な背景を示唆していることもあります。このような情報は、働きたい業界や現在の業界の動向を知る上で非常に価値があります。
「最近は○○業界の求人、増えてますか?」なんて質問も、動向を掴むにはいいかもしれませんね。
積極的な情報収集で転職を有利に
転職エージェントが保有する情報は、その組織全体としてのデータベースに蓄積されています。しかし、担当者がその全てを把握するのは難しく、自ら情報を話すことは少ないものです。とても有益な情報が多いので、転職活動の際は積極的に聞きにいきましょう。
特に、大手転職エージェントの場合、多くのデータと経験から得られるため、広範な市場の傾向を把握しやすいです。担当者がその場で答えるのは難しくとも、あなたからの質問に対して、担当者が情報を調べたり、社内の専門家に確認をとってくれることも多いです。
これらの情報は、最前線で転職支援を行っているエージェントが肌で感じているものです。
「転職を納得して進めるために」と伝えながら、意思決定に必要な情報は遠慮せずに取りに行きましょう。
選考に関する豊富な情報を得られる
転職エージェントを活用することで、採用選考に関する情報を得られることもメリットのひとつです。
具体的には、以下2つの情報を受け取ることが可能となります。
- 面接フィードバックの受け取り
- 豊富な社内情報の提供
面接フィードバックの受け取り
面接後のフィードバックは、今後の選考に非常に役立つ情報源となります。もはや、転職エージェントを利用する際の「1番のメリット」としてお伝えしたいです。
選考の合否に関わらず、企業からの具体的な評価や感想を受け取ることが可能です。例えば、「次回の面接ではこのエピソードを詳しく話してみてください」や「この点についての評価が特に高かった」といった具体的なアドバイスは、次の選考を有利に進める助言にもなります。
選考に落ちてしまった場合でも、以下のような情報を得ることが出来ます。
面接後のフィードバックで得られる情報
- 経験やスキル面が期待に達しなかったのか
- それ以外の面で”合わない”と判断されてしまったのか
- 面接の練習で乗り越えられそうな指摘か
- 複数社から同じような理由で落ちていないか
このように、面接のフィードバックは他社の選考や次にすべきことと向き合うための貴重な情報になります。
もしどうしても目指したい方向で「経験・スキル」のお見送りであれば、もう少し現職で経験を積む、という判断に至るかもしれません。または、応募する企業群の見直しにも活かせるものになります。
直接応募した場合、こういったフィードバックを受け取ることは難しいですが、転職エージェントを通じてなら問題なく得られる情報なんです。
豊富な社内情報の提供
転職エージェントが提供できるのは、単発の情報だけではありません。長年の取引や転職支援を通じて、多くの企業の内部情報を蓄積しています。
例えば、面接は何回なのか? それぞれの面接で、どんな役職の人が対応する予定なのか? 過去に同じポジションで受かった人/落ちた人は何が評価ポイントだったのか?などです。
また、「毎年○月頃に、A社の第二新卒枠の募集がある」など、公にはスケジュールが出ていなくても、例年の採用支援で得ている情報もあります。
これにより、求職者は企業の詳細な情報や過去の選考の傾向など、通常は得られない情報を手に入れることができます。このような情報は、選考の準備や面接時の対応に役立てることができ、より有利に選考を進めることが期待できます。
選考突破に向けた各種サポートをうけられる
転職エージェントを利用すると様々な情報を無料で得られるだけではなく、選考を突破するための各種サポート(応募書類の添削や面接対策)を受けられる点もメリットのひとつです。
応募書類の添削
履歴書や職務経歴書の添削サービスも提供しています。「書類選考」は、転職活動の最初の関門とも言えます。ここで落ちてしまうと、内定までの道のりが序盤で断たれてしまうため力を入れたいところです。
特に「自己PR」は、一人で作成すると難しいもの。悩んで手が止まりやすいですし、自分の強み(=アピールすべき点)を客観的に判断できないのもあるあるです。
作成した書類に不安があれば、自分から「添削をしてほしい」と伝えても大丈夫です。
応募する企業や職種で重視される点を意識しつつ、アピールポイントを一緒に整理してもらいながら、応募書類を作成できるとベストです。遠慮せずに専門家の力を借りましょう!
面接対策
いざ書類選考に通過したら、次は「面接」ですね。ここでも面接対策のサポートも提供します。
採用面接には、頻繁に聞かれる「定番の質問」が存在します。内容をまとめている転職エージェントも多いので、まずは定番の質問に対する回答を用意してから挑むことが大切です。
とはいえ、面接は「人対人」のコミュニケーション。自分一人の練習では気付けないことも多いため、担当のキャリアアドバイザーと会話形式での練習・対策も行った上で、本番に臨めると良いですね。
運営会社によっては、面接の基本を講座形式で提供していたり、対面やリモートでの無料講座を開催していたりします。
「どんな面接対策を行っているか?」を担当のキャリアアドバイザーに聞いて、準備をして面接に臨みましょう!
選考突破に向けた援護射撃
面接が終わった後、誰しもが「あの時、こう言えば!」とか「もっと熱意を見せればよかった!」といった後悔に苛まれること、ありますよね。あるいは、面接を経て「この企業に絶対入りたい!」という決意が固まる瞬間もあるでしょう。
そんな時、転職エージェントにその感情や思いをしっかり伝えることで、ポジティブな動きにつながることもあります。
選考の途中で感じる不安や疑問、そして面接で伝えきれなかったことなど、すべて転職エージェントに打ち明けてみましょう。そうすることで、次に控える面接に向けた適切なアドバイスや、採用企業へのフォローを得られる可能性があります。
特に、「ここが第一志望!」と胸を張って言える企業が見つかったなら、その熱意を転職エージェントにしっかりと伝えることが大切です。採用企業に対しても、あなたの意欲を強調して伝えてくれることが期待できます。
多くの場合、面接の後には、転職エージェントから感想や志望度合いを聞かれる機会があるはずです。
その情報が何に使われているのかといえば、裏側で必要なフォローをするためでもあります。心強い「援護射撃」をしてもらうためにも、面接後のアンケートには自分の率直な気持ちを伝えましょう。
転職エージェントの効果的な活用方法まとめ
転職エージェントを最大限に活用するためには、まず彼らがどんなサポートをできるのか把握することが大切です。その上で、”依頼したいこと”は要望し、”知りたいこと”があれば情報提供をお願いすると、最大限の支援を受けやすいです。受け身でサポートを待つのではなく、自分のキャリアビジョンや希望をしっかりと伝えていくことで、エージェントもあなたが望む適切なサポートをしやすくなります。
ただし、転職エージェントはあくまで「サポート役」であり、最終的なキャリアの道はあなた自身が選ぶものです。自分の意志をしっかり持ち、エージェントと協力して、理想の転職を実現していきましょう!
次の章では、「自分に合う転職エージェントの選び方」に焦点を当てていきます。どのエージェントがあなたのキャリアを最も支援できるのか、良いエージェントとはどんな人なのか、一緒に考えていきましょう。
自分に合う転職エージェントの選び方
「おすすめの転職エージェントはどこですか?」
これは、キャリア相談を受ける際、いちばんよく聞かれる質問です。実際、登録を考える段階になると、多くの企業の中からどれを選べば良いのか迷いますよね。
さらに、担当者との相性も考慮に入れるべきかもしれません。何をもって「良い担当者」とするかは、人それぞれ異なります。
ここでは、できるだけ一般的でありながらも実践的で役立つ「自分にぴったりな転職エージェントの選び方」をお伝えします。
「総合型」か「特化型」かを意識しよう
転職エージェントには、「総合型」と「特化型」の2つの主要なタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、自身のニーズに合ったほうに登録することで、期待するサポートを受けやすくなります。
総合型エージェント
総合型エージェントは、多岐にわたる業界や職種の求人を扱っています。社内では業界や職種ごとに担当チームが分かれており、あなたの経験業種に応じて担当者に割り振られるのが一般的です。
「転職エージェント」と検索した時に上位表示されるような、”名前を聞いたことがあるサービス”のほとんどは総合型です。
総合型エージェントのメリット・デメリットは以下の通りです。
総合型エージェントのメリット
- 求人数が多い
- 多岐にわたる業界や職種の求人を一手に取り扱っているため、1社の登録で、幅広い選択肢から希望に合った求人を見つけることができます。
- 情報量が多い
- 扱う求人の規模と比例して、運営会社も大手であることがほとんど。転職希望者や企業との取引が多く事業運営年数も長いため、過去の蓄積情報も含めた情報量が強みです。
- 対応実績が多い
- 多くの転職希望者と接点を持っているため、さまざまな転職のケースや対応経験も蓄積されています。
総合型エージェントのデメリット
- 担当者の質にバラつきが出やすい
- 総合型≒大規模な企業では担当者の数も多く、その結果、スキルレベルに差が見られることがあります。大手の転職エージェントほど、「すごく良かった」と「とても残念だった」の声が二分する要因でもあります。
- システマティックな対応傾向
- 多くの転職希望者を抱えているため、個別対応よりも一定のフローに沿った対応をされる傾向にあります。
求人の紹介時点だと、システム上で希望要件や経験スキルを自動判定して、合致した求人を大量に案内されることもあります。「情報量が多すぎて整理できない」「自分に合った求人を厳選してもらえない」など、機械的な対応についてネガティヴな声が上がりやすい点でもあります。
特化型エージェント
特化型エージェントは、特定の業界や職種、地域や属性(例:士業、医療専門職、外資系企業、第二新卒など)に特化して求人を扱っています。
運営会社として特定の領域に力を入れているので、社内の担当者個々人は、より細分化された専門性や強みを持って応対しています。
特化型エージェントのメリット・デメリットは以下の通りです。
特化型エージェントのメリット
- 専門性が高い
- 特定の業界や職種、属性に特化しているため、その分野に関する深い知識や情報を持っています。自社の業界特有の事情や専門用語など『前提となる話』を共有しやすく、面談において希望や要件を伝えるときにストレスが少ないとの声が多いです。
また、特化型ならではの「ニッチな求人」に辿りつける可能性が高まります。 - 同じ境遇や条件の転職ケースが多い
- 同じような境遇や条件の転職希望者が多く、その経験を活かしたサポートが受けられます。
例えば、専門職ならではのキャリアパスの悩みや、第二新卒やフリーターなど経験が浅いゆえにぶつかりやすい壁、子育て中でどう転職活動を進めれば良いかなど、「あるある」なケースとして有用な助言を得やすいです。
特化型エージェントのデメリット
- 幅広い選択肢からは選びにくい
- 「狭く深く」で求人を取り扱っているため、専門外の求人は少なくなります。まだ方向性が決まっておらず、色んな求人を見ながら決めたいタイプの方には使いにくいかもしれません。
- 登録できる人の条件が厳しい
- 特定の経験や資格を前提としているため、その条件を満たしていないと登録できない場合があります。自分の経歴・属性に近い特化型サービスを見つけましょう。
複数社に登録をしよう
転職を成功に導くためには、企業選びだけでなく、転職エージェントの担当者との相性も極めて重要な要素となります。
よくある質問である「どの転職エージェントがオススメですか?」には、一概に答えることが難しいのです。その理由は、担当者との相性が、時として企業選び以上に転職活動に影響を与えるからです。
初回面談で相性を確認
そこで、転職エージェントを選ぶ際の一つの手法として、2〜3社のエージェントに登録し、初回の面談を通じて、自分と相性の良い担当者を見つけるアプローチをおすすめします。
求人の紹介を受けた直後にすぐに応募を始めるのではなく、各社の面談を終え、その後に「メインで利用するエージェント」を選定する方法がスムーズかもしれません。
上述した「総合型」と「特化型」のエージェントは、それぞれの特徴を活かすために1社ずつは登録を検討してみると良いですよ。
小規模エージェントほど相性を重視すべき
特に、親身な対応に強みがある、会社規模が小さいエージェントほど担当者との相性をしっかりと確認することが大切です。なぜなら、担当者の変更が難しいことが多く、場合によっては他の担当者がいないこともあります。
活動がスタートしてから不安を感じても、手戻りが発生しやすくなるため、最初の段階でしっかりと相性をチェックしましょう。
豊富な情報と比較の材料を
複数のエージェントを利用することで、多様な情報やサポートを受けることが可能となります。また、それぞれのエージェントがどのような対応をするのか、どのような特徴があるのかを比較し、理解することもできます。
これにより、自分自身の転職活動に最も相性のいいサポートを受けやすくなります。
良い担当者を発見するキラークエスチョン
転職エージェントに相談するにあたり、良い担当者を見つけるキラークエスチョンがあります。それは、以下の質問です。
「なぜこの求人を紹介してくれたんですか?」
面談で一通りお話をして、求人を紹介されたタイミングで尋ねてみてください。
ひと口に『良い担当者』を定義するのは難しいですが、それでも、あなたの支援をしっかりしてくれる担当者であれば、この質問には嬉々として答えてくれるはずです。
理由の説明に必要な3つのポイントとその奥深さ
「なぜこの求人を紹介してくれたんですか?」という質問に回答するためには、転職エージェントの担当者は以下の3つのポイントを抑える必要があります。
- あなたの経験の市場価値
- 企業が求める具体的な経験・要件
- 入社によるキャリアの発展性
これら3つの要素をしっかりと押さえ、それぞれに対する明確な理由をもって特定の求人を推薦する。これが、『腕の良い担当者』の特徴です。
まず、面談を通じてあなたのキャリアや経験をじっくりと把握し、それが市場でどう評価されるのか(①)を洗い出します。そして、それをもとに「この経験とスキルなら、どの求人がマッチするか?」という視点(②)で提案を行います。なぜなら、転職エージェントはあなたが内定を得て、実際に入社することで初めて報酬を得るビジネスモデルを持っているからです。だからこそ、リーチが難しい、いわゆる高嶺の花とされる求人を強く推すことは少ないのが現実です。
次に、あなたが「これだ!」と思う求人を選ぶことも大切です。たとえば、内定が得やすいとされる求人であっても、あなたが乗り気でなければ話は前に進みません。そこで、あなたのキャリアにおける希望やビジョンをしっかりと把握し、それを実現可能な求人を提案する(③)ことが重要となります。
このプロセスは、あなたの話を真剣に聞き、あなたが行動を起こすほど魅力を感じる提案ができる担当者でなければ実現しません。
それだけに、この「なぜこの求人を紹介したのか?」という質問は、担当者のスキルや理解度を測る、まさにキラークエスチョンとなるのです。
担当者との面談はお互いの理解を深める対話の場
ただし、担当者の説明があなたのイメージと異なる場合でも、見切りをつけるのは早すぎます。もしかしたら面談の中で伝えきれていなかったり、お互いに情報が不足していることがあるかもしれません。
「私はこんなキャリアを積みたい」「仕事内容は魅力だが、給与面の折り合いがつかない」「勤務地は譲れるので、もう少し幅広い提案がほしい」といった具体的なフィードバックをすることで、お互いの理解を深め、より精度の高い求人紹介を受けることができます。
後悔しないための転職エージェント活用ワンポイントアドバイス
転職活動を後悔の無いものにするために、転職エージェント活用に関するアドバイスをご紹介します。
転職エージェントを活用する際は、以下の3点をおさえることが重要になります。
- 相性が悪い場合は担当者を変更できる
- 書類準備で登録後のスタートダッシュを決める
- 「キャリア相談」と「転職エージェント」を併用する
相性が悪い場合は担当者を変更できる
決して多くはないものの、担当者との相性によっては、転職活動の成否に影響をきたすような対応に直面することもあるかもしれません。
- 連絡が遅い、放置される
- フィードバックがもらえない
- 適切な求人の紹介がない
- 相談の時間を全く取ってもらえない
こんな時はどうすればいいのでしょうか?
担当者とのコミュニケーションに不満を感じたり、サポートが十分でないと感じた場合、担当者の変更を要望することは可能です。直接伝えるのが難しい場合は、運営会社の窓口を通じて変更の要望を伝えましょう。
担当者の変更を要望する際、その理由や不安点をしっかりと伝えることで、エージェントはより適切な対応をしてくれるでしょう。担当者変更の要望が「クレーマー」として受け取られることは少なく、誠実に対応してくれる企業が多いです。担当変更の要望は転職エージェント内でも重く受け止めるのが通常で、より経験が長い人や職位の高い人が後任になるのが一般的です。
書類準備で登録後のスタートダッシュを決める
転職エージェントに登録する際、履歴書や職務経歴書を前もって用意しておくことは、意外と大きな利点になります。
なぜなら、転職に対する本気度を示すものとして、エージェントからの評価を高めるからです。特に採用の繁忙期(1〜3月)においては、転職への意欲が高そうな人を優先的に対応をすることもあります。
履歴書・職務経歴書の作成は難しくない
とはいえ、登録時に提出する書類は完璧でなくても大丈夫です。履歴書は基本情報を記入するだけなので、実はサクッと作成できます。
職務経歴書には時間がかかるかもしれませんが、多くの企業が職種別のサンプルを提供しています。それを土台に作ると、自分でいちから作成するよりずっとスムーズです。
完璧な書類を目指すより、まずは手元にある情報で作成し、登録後に添削をしてもらう進め方をおすすめします。
この一手間で、登録後の流れがスムーズになりますよ!
「キャリア相談」と「転職エージェント」を併用する
転職エージェントとキャリア相談(キャリアコンサルタント)、これら2つのサービスを組み合わせることで、あなたの「キャリア」は一層豊かになります。
それぞれの強みを活かして、多角的な視点からキャリア支援をしてもらいましょう。
転職エージェント:転職のプロがサポート
転職エージェントは、その名の通り、転職活動を専門的にサポートしてくれるプロです。
ただし、そのアドバイスは転職活動に特化しており、社内でのキャリアアップや副業に関する相談には限界があります。ですから、転職を真剣に考え、その道を選んだ時にフルに活用するのがおすすめです。
キャリア相談(キャリアコンサルタント):転職に限らないサポート
一方で、キャリアコンサルタントへのキャリア相談は転職だけでなく、現職でのキャリアアップや副業、さらには仕事の枠を超えた広い視点でのアドバイスも提供します。
彼らは「転職」を目的としていないため、提案が誘導的であると感じることも少なく、素直に助言を受け入れやすい環境があります。
併用のメリット:転職の是非からサポート
キャリアコンサルタントとの相談を通じて、まずは転職が本当に適しているのか、もし転職するならどの方向が良いのかを考えます。
そして、「転職」が選ばれた時点で、転職エージェントをフル活用し、餅は餅屋として、その専門的なサポートを受けるのが理想的です。
この2つのサービスをうまく併用することで、あなた自身のキャリアを多面的に、そして深く理解し、計画を練ることができるでしょう。
\ キャリアの悩みは専門家へ相談! /
転職エージェントの使い方まとめ
転職活動は、新しい環境に踏み出すための大きな分岐点です。
本記事では、転職活動を考える方に向けて、「転職エージェント」に焦点をあてて、フル活用する術をお伝えしてきました。
世の中には、いろんな分野に「プロ」がいます。
転職エージェントは、その中でも特に「転職支援のプロ」として、あなたの次なるキャリア選択をサポートします。彼らが持つ独自の情報や、採用企業との間に立つからこそできるサポートは、あなたの転職活動の大きな手助けとなります。一人では気づかなかった可能性や選択肢と出会うこともあるでしょう。
一方で、あくまで「転職支援のプロ」であり、サポート役であることをお忘れ無く。
自分のキャリアの舵取りは自分で行い、気持ちや要望をしっかり伝えて、適切なサポートを依頼しましょう。
転職活動を経て、希望の会社に内定・入社をしても、そこで終わりではありません!
新しい環境に飛び込めば、また新しいキャリアの悩みが生まれるかもしれません。
そもそも「転職」すべきなのか? 「仕事」以外の手法でも課題解決できないか?
そんな「転職」の枠外にまで悩みが広がる時は、「キャリア支援のプロ」であるキャリアコンサルタントの存在も思い出してくださいね♪
転職エージェントは、転職活動の強力なサポートとなる存在です。しかし、その活用方法や選び方によって、その効果は大きく変わります。本記事の情報が、自分に合ったエージェントを選び、転職を成功させるための一助となれば幸いです!