保育士試験の難易度はどれくらい?合格率推移や注意点を解説

保育士試験の難易度はどれくらい?合格率推移や注意点を解説
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保育士は受験資格さえ満たしていれば社会人でも挑戦可能な人気の国家資格です。

ですが、保育士を目指している人の中には「保育士試験って難しいの?」「どれくらい勉強すればいいのか分からない」と考えている人も多いようです。

本記事では、保育士試験の合格率や難易度、合格のための勉強方法について解説していきます。

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目次

保育士試験の基本情報

保育士試験とは、筆記試験と実技試験(学科試験)に合格することで、保育士資格を取得できる試験です。保育士資格は児童福祉法に基づいた国家資格のため、根強い人気があります。

保育士試験は毎年4月と10月の年2回実施されており、難易度は高めといわれています。ただし、筆記試験で合格した科目は3年間有効のため、1度の受験で合格できなくても継続して挑戦している人も多い国家資格です。

資格名保育士
管轄省庁こども家庭庁
資格の種類国家資格
試験頻度年2回
試験科目筆記試験
学科試験
試験団体HPhttps://www.hoyokyo.or.jp/
参照:こども家庭庁「保育士になるには」

保育士試験の受験資格

保育士試験の受験資格は、基本的に学歴ごとに以下の通り定められています。

学歴受験資格
大卒誰でも受験可能
※保育士と関係のない学部・学科でもOK
大学在学中、
もしくは中退
2年以上在籍した経験があり、62単位以上取得している者
※保育士と関係のない学部・学科でもOK
短大卒誰でも受験可能
※保育士と関係のない学部・学科でもOK
短大在学中誰でも受験可能
※保育士と関係のない学部・学科でもOK
※年度内に卒業できなかった場合は合格とならない
専門学校卒業学校教育法に基づいた専修学校であること
卒業した学校が2年以上の専門課程であること  
上記2点を満たす場合は受験資格あり
※保育士と関係のない学科でもOK

上記をひとつでも満たさない場合は下記どちらかの条件を満たすと受験資格あり
平成3年3月31日以前に卒業(保育科以外)
平成8年3月31日以前に卒業(保育科)  
専門学校在学中学校教育法に基づいた専修学校であること
卒業した学校が2年以上の専門課程であること
上記2点を満たし、現在在学中であれば受験資格あり
※保育士と関係のない学科でもOK

上記を満たさない場合は下記どちらかの条件を満たすと受験資格あり
平成3年3月31日以前に卒業(保育科以外)
平成8年3月31日以前に卒業(保育科)  
高卒平成3年3月31日以前に卒業の場合は受験資格あり

それ以降が卒業の場合、下記どちらかの条件を満たしすと受験資格あり
平成8年3月31日以前に卒業(保育科)
2年以上かつ2880時間以上の受験資格のある児童施設で勤務経験がある
中卒5年以上かつ7200時間以上の受験資格のある児童施設で勤務経験がある
参照:全国保育士養成協議会「受験資格」
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「勤務経験」

※上記はいずれも学校教育法に基づいた学校に在学・中退・卒業している者が対象

大学や短期大学、専門学校は単位や在籍年数、卒業の年月日などによって受験資格の有無が決定します。

最終学歴が高校卒業や中学卒業の場合は、卒業の年月日や保育所など、対象施設での勤務経験によって受験資格の有無が分かるため確認してください。

受験資格の条件に当てはまらない場合は、受験資格認定が必要となります。

参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「受験資格認定(知事認定)の申請方法」

また、最終学歴が海外の人は、事前に以下を確認しておきましょう

参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「海外の学校を卒業した方の受験資格について」

保育士試験は筆記試験と実技試験の2科目

保育士試験は一次試験の筆記試験と二次試験の実技試験があります。筆記試験に全て合格した人が後日、実技試験を受ける流れです。

保育士試験は全国の各都道府県ごとに1ケ所設置されており、受験の際には受験票や資格のコピーなどが必要です。

筆記試験

筆記試験はマークシート方式で、全9科目100点満点のうち6割以上で合格となります。一度合格した科目については3年間有効です。

試験科目は以下の通りです。

試験科目満点合格点
保育原理10060
教育原理及び社会的養護10060
子ども家庭福祉10060
社会福祉10060
保育の心理学10060
子どもの保健10060
子どもの食と栄養10060
保育実習理論10060
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは」

合格した筆記試験科目は3年間科目免除(詳細は後述)を受けられるため、1発合格が出来なくても何度も挑戦することで資格を取得できる可能性を高められます。

幼稚園教諭免許、社会福祉士などの資格を持っている人は一部科目が免除されます。

実技試験

実技試験は筆記試験を全科目合格した後日、実施する試験です。音楽に関する技術・造形に関する技術・言語に関する技術の3科目のなかから2科目を選んで受験します。

実技試験は2科目を選択して6割以上の30点で合格になります。合格率は約80%以上あるため比較的高いといえるでしょう。また、幼稚園教諭免許を持っている人は実技試験は免除となります。

試験科目満点合格点
音楽表現に関する技術5030
造形表現に関する技術5030
言語表現に関する技術5030
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「実技試験(後期)概要」

それぞれ詳しく解説していきます。

音楽に関する技術

音楽表現ではピアノ・アコースティックギター・アコーディオンで2つの課題曲から弾き語りをします。課題曲は実技試験ごとに変わりますので注意してください。

更に音楽表現では採点不可となる場合があります。内容は下記のとおりです。

以下の場合は採点の対象外となる
  • 歌をうたわずに曲の伴奏だけ弾いた
  • 伴奏だけ演奏して歌をうたわなかった
  • 伴奏を和音でなく、単旋律のみを用いて歌をうたった

※令和7年度からはアコーディオンでの受験ができなくなるため注意

「音楽に関する技術」に求められるスキル
  • 保育士として必要な歌の技術
  • 伴奏の技術
  • リズム
  • 総合的に豊かな表現
造形に関する技術

造形表現は色鉛筆を使って、保育の特定の場面を描く試験です。

「保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写や色使いなど)ができること。」が求められ、試験当日に提示されたテーマ(問題文・条件)を満たして表現することが求められます。

明確な採点基準は公表されていないため不明ですが、試験において提示されたテーマを分かりやすく表現することが重要と言われています。

「造形に関する技術」に求められるスキル

保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写や色使いなど)ができること

言語に関する技術

言語表現は4つの課題の中から1つのお話を選び3分間の素話をします。素話とは人形もイラストも使わず、自分の言葉だけで子ども達に物語を聞かせることです。

令和5年の言語表現の課題は以下の4つ
  • 「ももたろう」(日本の昔話)
  • 「おむすびころりん」(日本の昔話)
  • 「3びきのこぶた」(イギリスの昔話)
  • 「3びきのやぎのがらがらどん」(ノルウェーの昔話)

慣れ親しんでいる物語も多くあり、事前に台本を用意して練習ができるため、受験者数は多い傾向ですが合格の難易度はやや高めといわれています。

「言語に関する技術」に求められるスキル
  • 保育士として必要な基本的な声の出し方の技術
  • 表現上の技術
  • 幼児に対する話し方

筆記試験は科目合格制度有り

筆記試験は科目合格制度を取り入れています。

筆記試験は9科目ですが、例えば1回目の試験で3科目合格すれば、2回目は6科目の受験で済みます。

合格した科目の有効期限は3年間(合格した年度を含む)

有効期限が切れた科目は合格が無効となるため注意しましょう。

※例外として「教育原理」「社会的養護」はどちらも合格点(6割以上)を獲得した場合のみ合格となります。どちらか片方のみでは合格扱いには有らないため、注意しておきましょう。

また、合格の有効期限内に限りますが、保育所や児童養護施設などの対象施設で保育をしている人が、一定の勤務年数や勤務時間を満たしている場合、合格科目には最長5年間の有効期限が与えられます。

有効期限の内容と必要な勤続年数・勤務時間の条件は以下のとおりです。

有効期限勤務年数勤務時間
3年なし(無条件)なし(無条件)
4年1年以上1440時間以上
5年2年以上2880時間以上
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「免除・一部科目合格の有効期間について」
参照:一般社団法人全国保育士養成協議会「筆記試験合格科目における合格科目免除期間延長制度について」
※勤務年数と勤務時間は別の施設で合算しても可能

既に児童施設などで勤務されている方は、自身が科目合格の延長に該当するかチェックしておきましょう。

保育士試験の難易度

保育士試験の合格率は約20%前後となっており、難易度が高めの国家資格といえます。

ここでは、保育士試験の合格率や、実際の合格者が受験した回数から合格の確率を上げる方法を紹介します。

保育士試験の合格率推移

保育士試験の合格率推移は以下の通りです。

試験年度受験者数(人)合格者数(人)合格率(%)
2023年度66,62517,95526.9
2022年度79,37823,75829.9
2021年度83,17516,60019.9
2020年度44,91410,89024.2
2019年度77,07618,33023.9
参照:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和4年度)」
参照:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和5年度) 」

保育士試験の合格率は前述したとおり、2019~2023年の5年間は約20~30%程度を推移しています。

令和5年度の受験者数は66,625人で合格率は26.9%です。

これに対し、同じ保育現場で活躍する「管理栄養士」の国家試験の合格率は49.3%(2024年3月試験実施)、「看護師」の国家試験の合格率は87.8%(2024年2月試験実施)であることから、数字上は保育士の方が合格率が低いことが分かります。

ただし、試験の内容そのものが管理栄養士や看護師より難しいというわけではありません。

養成機関で勉強が必要な管理栄養士や看護師に対し、保育士は養成機関に通うことなく試験に挑戦することが出来るためハードルが低く、結果的に合格率が低くなっていることが推測されます。

参照:厚生労働省「第38回管理栄養士国家試験の合格者発表」

参照:厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表」

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筆記試験の合格率

保育士試験の合格率は実技よりも筆記試験の方が低く、合格率は20%前後です。

試験年度筆記試験受験者数筆記試験合格者数筆記試験合格率
2014年度51,05210,86921.3
2013年度49,9669,65619.3
2012年度51,35310,79221.0
参照:厚生労働省「保育士試験の概要」

一発合格は難しい試験といえますが、筆記試験は科目合格制度があり、合格科目は3年間試験免除となります。そのため、一度で合格できなかったとしても、免除期間内に科目合格を重ねることで試験合格に近づくことが可能です。

実技試験の合格率

実技試験は筆記試験に比べると難易度が低く、80%を越える合格率(以下表を参照)となっています。

試験年度実技記試験受験者数実技試験合格者数実技試験合格率
2014年度8,6117,62688.7
2013年度7,0386,28789.3
2012年度7,6736,60786.1
参照:厚生労働省「保育士試験の概要」

実技試験は明確な採点基準がないので難しく感じるかもしれませんが、合格のハードルは決して高くありません。また、3科目ある実技科目のうちから2科目を自身が選べるという点も、合格率を引き上げている要因の一つといえるでしょう。

保育士合格者の受験回数

保育士試験は筆記試験の科目合格制度があることから、複数回の受験を経て合格に至る人が多くいます。

保育士試験合格時の受験回数は以下の通りです。

合格時の受験回数割合
1回目15.0%
2回目32.9%
3回目22.1%
4回目13.0%
5回目6.6%
6回目10.1%
無回答0.3%
参照:厚生労働省「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究」

保育士試験の合格者の受験回数をみてみると、一発合格するよりも2回目の受験で合格する確率の方が32.9%と高いです。次いで3回目の22.1%も高い合格率といえます。

難易度が高い筆記試験の合格科目は3年間有効です。合格科目が増えることで、2〜3回目の合格率が高くなるといえるでしょう。

保育士試験の合格率が低い理由

保育士試験の合格率が低い主な理由は以下のとおりです。

保育士試験の合格率が低い理由
  • 筆記試験の範囲が広く、内容が難しい
  • 筆記試験は、総合点ではなく科目ごとの合格になるため、得意科目でカバーできない
  • 筆記試験の他に実技試験の両方を合格しないといけない
  • 実技試験は技能だけでなく、保育現場を想定した技術が必要

筆記試験の内容は9科目あり試験範囲も広いです。科目毎ごとに特別な知識が必要となるため、合格点が6割でも難易度も決して易しくは有りません。

また、総合点ではなく、科目ごとの合格となるため、得意科目でカバーできないことも合格率が低い理由といえます。

保育士試験合格に必要な勉強時間の目安

保育士試験合格のための必要な勉強時間は、一般的に100〜150時間ほどといわれています。個人差はあるものの約3〜6ヶ月の学習期間を想定しておくとよいでしょう。

保育士試験は基本的に4月と10月に行われるため、自分が取れる学習時間を逆算して余裕をもって勉強するとよいでしょう。

具体的には、10月の試験を想定し、一日の勉強時間を平日に2時間とすると、1ヶ月で約40時間を勉強にあてられます。4ヶ月ほど勉強すると160時間になるため、5月は情報収取をして、6月から勉強を始めるなどスケジュールを決めてください。

保育士試験に合格するための勉強方法

保育士試験に合格するには様々な勉強方法があります。主な保育士試験対策の方法は以下の通りです。

保育士試験に合格するための勉強方法
  • 独学で勉強する
  • 通信講座を利用する
  • スクールへ通学する

自分の状況や条件にあった最適な勉強方法を選ぶことが合格への近道です。ここでは、それぞれの勉強方法のメリットやデメリットを紹介しますので、自分にあった勉強方法の参考にしてください。

独学で勉強する

保育士試験は独学でも合格を目指すことが可能です。

今は書店にテキストや参考書があり、実技試験のポイントなどもYouTubeで解説してくれます。また、全国保育士養成協議会のホームページで過去の問題も無料でみれます。勉強するには困らない情報は自分で得られるのです。

独学のメリットは自分のペースで学習を進められることです。費用もテキスト代くらいのため比較的安価に学習できます。

デメリットとしては、自分で学習ポイントを絞らないといけないため、時間がかかることや、やる気が出ないときは勉強が進まないことでしょう。

通信講座を利用する

通信教育は、動画学習やポイントを押さえられた独自のテキストが手に入るため、自宅や出先などでも効率よく学習が進められます。

通信教育のメリットとしては、ポイントを押さえた教材で勉強できることです。筆記の添削をしてくれたり、実技試験のアドバイスも動画で配信してくれたりと教材にそって学ぶことで合格までの流れや知識が分かります。

デメリットは、費用がかかることですが、分割も可能な通信教育が多いため、家計を圧迫することはないでしょう。

スクールへ通学する

専門学校などのスクールへ通学する場合は、2〜3年間の学習を経て、卒業すれば試験を受けずに保育士の資格を取得できます。

スクールに通うメリットは、保育実習や学校実習などで保育現場が体験できることです。実際に子ども達と関わることで、様々な経験が得られるでしょう。

デメリットは、大きな費用がかかること、カリキュラムに合わせて通学するため、自分のペースで学習できないことです。社会人なら仕事や家庭があるため、自分の時間がなくなることでストレスをためやすいので気をつけてください。

保育士資格のメリット

保育士の国家資格を取得することで、様々なメリットを得ることが出来ます。主な保育士資格のメリットは以下の通りです。

保育士資格のメリット
  • 転職しやすい
  • 子育てに理解がある職場が多い
  • 資格の更新が不要

それぞれ詳しく解説していきます。

転職しやすい

保育士資格を持っていると、専門職として高い評価を受けます。

そのため、就職先は保育園や児童養護施設など保育士として働くだけでなく、その専門性を活かして、学童保育や幼児教室、おもちゃ会社など幅広い分野で加着が可能です。

また、保育士の求人倍率は3.54倍となっており(2024年1月)、全職種の求人倍率1.35倍と比較すると人材不足が深刻であることが分かります。そのため、就職や転職の際には比較的採用されやすい職種といえるでしょう。

参照:こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」

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子育てに理解がある職場が多い

保育園や子どもと関連のある職場では、子育てに理解のある職場が多くあります。産休や育休などは、しっかりと取得できるだけでなく、急な子どもの発熱や行事でも快く休ませてくれる職場が多いです。

子どものことを第一に考える職場だからこそ、お互い様の関係が生まれ、休みをお願いしやすい環境で働けるでしょう。

資格の更新が不要

保育士資格は幼稚園教諭免許と違い、資格の更新は必要ありません。実際に更新がある資格では、更新に時間が掛かったり、研修が必須だったり、費用がかかるなどの労力が必要です。

しかし、保育士資格は更新が不要で一生モノの資格です。とても扱いやすく需要も高いため人気のある資格の一つといえるでしょう。

結婚などを機会に氏名が変更になる場合は、申請をして変更手続きが必要となるため注意してください。

保育士資格の注意点

保育士資格を取得して保育士として働くことを検討している場合、以下のような注意点があることも事前に理解しておく必要があります。

保育士資格の注意点
  • 休日がとりづらい
  • 給料は高くない
  • 4月以外のタイミングで転職しづらい

それぞれ詳しく解説していきます。

休日がとりづらい

保育園の働いている家庭に向けて支援を行う福祉施設です。そのため土曜日も保育を行っており、保育士も出勤が必要になります。

また、休日でも日は制作の準備や書類を書くことを求められてしまう保育園もあるようです。

現在はICT化が進み、少しずつ業務が減ってはきていますが、現状はまだ保育士の負担が大きいといえます。

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給料は高くない

保育士の給料は決して高くはありません。

詳しくは後述しますが、保育士の月給の平均は26万4,400円 (平均年収:388万5,000円)です。

全国の平均年収が458万円と比べると約70万円ほど低く、専門性や責任の重さに対し、決して給与が高い職種ではない事が分かります。

参照:国税庁「民間給与実態統計調査」

4月以外のタイミングで転職しづらい

保育士はクラス担任となり、子どもを年度単位で預かります。そのため、年度途中で退職や転職はしづらい現状があります。

保育園への就職状況としては、夏に就職フェアなどで情報が出回り、10〜12月ごろに求人応募が多くなります。そのため4月には保育士の数も揃い、求人が少なくなるでしょう。

しかし、必ずしも求人がないわけではなく、保育士の人数も足りないため、転職に向けて行動すれば就職先もみつかります。

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保育士の年収

保育士の年収は決して高くは有りません。

以下の政府統計をみると保育士の平均年収は約388万円となっており、日本の平均年収である458万円(参照:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」)を下回る結果となっています。

平均給与(月額)平均ボーナス平均年収
264,400円712,200円3,885,000円
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査一般労働者職種」

そのため、高年収を目指したいと考えている方は、「保育士以外の選択肢を考える」か、もしくは保育士としてキャリアアップしていくための方法を考える必要があります。

経験年数別の保育士の年収

保育士は経験年数で給与が上がります。下記の表では、少しずつですが上昇傾向にあることが分かります。

経験年数給与(月額)ボーナス年収
0年21万8,400円4万1,000円266万1,800円
1~4年23万7,200円61万1,600円345万8,000円
5~9年25万4,800円66万1,100円371万8,700円
10~14年26万4,400円73万4,400円390万7,200円
15年以上30万4,000円98万9,300円463万7,300円
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査一般労働者職種」

経験15年以上になると大幅に給与が上がるのは、主任や園長などの役職に就くことが多くなるためだと推測されます。

保育士と同じく深刻な人材不測が続く介護職では「処遇改善加算金」の導入と引き上げにより待遇改善が進められており、保育士においても待遇改善が毎年検討されています。

参照:こども家庭庁「公定価格の処遇改善等加算ⅰ~ⅲの一本化について」

保育士と幼稚園教諭の年収に違いはあるのか?

保育士と幼稚園教諭の年収にほとんど差はありません(以下表を参照)。

職種給与(月額)ボーナス年収
保育士26万4,400円71万2,200円388万5,000円
幼稚園教諭26万7,200円80万8,000円401万4,400円
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査一般労働者職種」

保育士や幼稚園教諭は、子どもといる時間に違いはありますが、幼稚園教諭は一人担任が多いため、その分の仕事量を降園後に行うのが現状です。

仕事量としても、あまり変わらないと判断してよいでしょう。

保育士の主な就職先

保育士は子どもと関わる専門職のため、多くの職場で活躍が期待されています。ここでは保育士主な就職先と働き方について簡単に解説します。

保育士の主な就職先
  • 保育園
  • 認定こども園
  • 病児保育室
  • 院内保育所
  • 企業内保育所
  • 学童保育
  • 児童養護施設
  • 幼稚園
  • ベビーシッター

保育士の職場は、多岐にわたるため、自分の働きたい環境を見極めることが重要でしょう。自分の長所や強み、やりたいことなどを踏まえて、確認してください。

保育園

保育園は0〜5歳児の子ども達を預かる施設です。子どもの特徴や発達段階に合わせて指導計画を立てて、活動内容を決めます。年齢が異なる縦割りクラスや同学年が一緒になって活動する横割りクラスがあるなど、様々な保育園があるのが特徴です。

公立保育園や私立の認可保育園、認可外保育園など多くの保育園があるため、どこに住んでいても保育士として働けることが魅力です。

認定こども園

認定こども園は、幼稚園と保育園が合併した施設になります。施設の中に保育園預かりの子ども(2号・3号認定)もいれば、13時に迎えがくる幼稚園預かりの子ども(1号認定)がいる形です。活動内容は、どちらも同じ活動をすることが多いですが、幼稚園型認定こども園や保育所型認定こども園などの4つの形態があります。

働き方としては、保育園と変わりはなく、0〜5歳児の子どもを預かる施設です。

参照:こども家庭庁「認定こども園概要」

病児保育室

病児保育室は、病気や感染症などで集団生活ができない子どもが、保護者が就労など家庭で看られないときに利用する一時預かり施設です。

主な施設場所は病院、診療所、保育所などにありますが数が少ないのが現状です。検温したり、子どもの様子をみたりしながら医師や看護師と連携を取りながら保育をします。

子どもの様子に異変がある場合は速やかに保護者に連絡することも仕事になるため、落ち着いて対応できる人が向いているでしょう。

院内保育所

院内保育所は主に病院内で働く医療従事者の子どもを預かる施設です。そのため夜間保育があったり、シフトの時間がバラバラになったりするケースがおおいでしょう。

夜間保育の場合は夜間手当がつくため、給与は比較的高くなりやすく、子どもの人数も少ない傾向があるため保育士にとっては人気の勤務先になっています。

企業内保育所

企業内保育所とは、企業が運営する保育所です。事業所内保育所と企業主導型保育所の2つがあり、認可の有無や子どもの対象年齢などが異なります。

活動内容は保育園と変わらない活動をしますが、行事が少なく、持ち帰りの仕事がなかったり、福利厚生もしっかりしているため、働きやすい環境として人気があります。給与も企業が支払うため、比較的高めの園が多いです。

学童保育

学童保育は、放課後に小学1〜6年生までが集まり、宿題や遊びをしながら保護者の迎えを待つ民間施設です。

学童指導員の役割として、宿題を教えたり、おやつの用意をしたり、児童と一緒に遊ぶなどが仕事内容となります。普段は昼ごろから出勤し、準備をして児童を待ちますが、夏休みなどの長期休みは朝から夕方まで勤務することが多いです。児童は体力があり、力が強いため、体力に自信がある保育士を採用する傾向があるようです。

児童養護施設

児童養護施設とは、不適切な養育を受けたり、保護者がいない場合に、子ども達が生活する社会的な養護施設です。子どもと過ごす時間が長く、乳児以外の18歳までの子ども達が児童養護施設で生活しています。

働き方は、家庭で子どもと関わるように家族のように過ごすことで、人との関わりで生まれる信頼関係や愛情の回復、自立支援などを目的に活動をしています。もともと心のケアが必要な子ども達が一緒にいるため、トラブルの対応や保護者との連携も仕事の一つです。

午後から出勤し朝まで働くなどの勤務体制もあることが特徴です。

幼稚園

保育士は幼稚園でも勤務できます。

担任をするには幼稚園教諭免許が必須ですが、保育補助としはタラう場合は幼稚園教諭免許や保育士資格は必要ありません。

しかし、保育士資格を持っていると無資格よりも採用されやすいでしょう。また、延長保育の担当は保育士資格でも可能です。

ベビーシッター

ベビーシッターとして働くには、個人でベビーシッターを行う場合と派遣社員として働く場合の2種類があります。また、ベビーシッターは厳密には保育士資格は必要ありません。しかし、利用者にとっては保育士資格を持っている安心感から、依頼が増えることがあります。

ベビーシッターのメリットは働く時間や時給を自分で決められる点です。空いた時間に効率よく働きたい人におすすめです。

都内などはベビーシッターの需要が高いですが、地方では利用者数が比較的少なく、副業として働く人が多いのが現状です。

保育士の難易度・合格率まとめ

保育士試験の難易度について、解説しました。保育士試験の合格率は約20%前後と比較的難しい試験です。しかし、筆記試験の合格科目は3年間有効で、実技試験の合格率は80%を超えています。

スケジュールを決めて、一発合格ではなく、2〜3回目の受験を視野に入れることで、計画的に合格率を上げることができるでしょう。

また、保育士試験合格後は、保育士として働ける機会が増えるでしょう。現在は保育士不足といわれており、求人に対して保育士が足りていない状態です。保育士が活躍できる職場も多いため、手に職をつけて働くことができます。

保育士試験の難易度は決して低くありませんが、合格することで新しい道が開けるため、努力する価値のある資格です。未来を作る子どもと関わる仕事をやってみたい人は、ぜひ、保育士を目指してみてください。

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